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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
本編

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90/1842

システムさんの切札

 名前 マリアベール・フランソワ レベル1487 ランクS

 称号 ソードマスター

 スキル

 名称 ディヴァイン・ディサイシヴ

 名称 居合術

 名称 気配感知

 名称 環境適応

 名称 身体操作

 名称 状態異常耐性

 名称 精神異常耐性

 

 

「つっよ」

「やはりS級ともなれば、レベル4桁も当然ですか」

「才はなくとも私ゃ、70年もダンジョン踏破してるからねえ。御堂ちゃんほどの麒麟児ならそうさね、あと10年くらいでこんくらいにゃなるさね、ファファファ」

 

 御堂さんですら化物級のレベルだったのだが、文字通り桁違いの次元をマリーさんは示してきた。これがS級か……ヤバぁ。

 というかこの人、剣士なんだな。居合とはまた、ずいぶんコアなところを攻めるというか。見た目からは想像できないけど、とにかく強いんだろうなあ。勝てる気が一切しない。

 

『いやいや公平さん? 今現在のあなたでも、スキルがフルに発動したら勝てますよ? モンスターおよび邪悪なる思念特効も30倍までパワーアップしてますし、《誰もが安らげる世界のために》、今なら恐らく50倍まで出力出せますし』

 

 と、リーベが言ってくる。いやそれ、モンスターか邪悪なる思念を相手に、絶対に負けてはならない戦い前提の話でしょう。マリーさんとそんなシリアスな戦いになるとは思えないし、発動できないスキルなんて、ないのと同じだよ、同じ。

 

『ぐぬぬ……なら、まだ及びませんね悔しいですがっ。でももうちょっとすれば追いつき追い越せですよ! あなたの力は、こんな程度のところで敗北感を味わうものじゃないんですから!!』

 

 お、おう。そうか、まあ無理せず頑張るよ。

 何やらヒートアップしている脳内に多少引きつつ、俺は本題に入る。

 

「それで、俺に反応したっていうスキルは……もしかしてこの、《ディヴァイン・ディサイシヴ》ですか?」

「御明察。詳細はこっちの紙に記載してあるよ。いつ何がきっかけで変な反応を示すか、それこそ一生をかけて待ち続けてきたからねえ」

 

 嬉しそうに皺の刻まれた顔を笑顔にして、マリーさんは一枚の紙をテーブルに置いた。

 スキル《ディヴァイン・ディサイシヴ》の効果についてだ。

 

 

 スキル

 名称 ディヴァイン・ディサイシヴ

 効果 救世技法/現在封印中

 

 

 ──救世技法? なんじゃそら。

 意味の分からない効果に困惑していると、脳内で声が響いた。

 

『あー……決戦スキル持ちですか。公平さんと接触できたんなら、そりゃ封印は解かれてますねー』

 

 と、リーベの声。おいおい、なんだか不穏だな。

 マリーさんを見る。楽しそうに微笑んだまま、彼女は続けた。

 

「ここに書いてあるとおり、何やら封印中だったんだけどね。君を見た瞬間、音声アナウンスが流れたのさ。《救済者確認、救世技法のロックを解除します》ってね」

「救済者ぁ……?」

「公平くんを、システムさん側も救世主と認めている!?」

 

 思わぬ言葉に、思わず香苗さんが興奮しだすのを横目にしつつ、俺はリーベに問いかけた。

 リーベさんや、さっき何か反応してたな? 何、これ。

 

『んー……と。まあ説明するとそのスキル、決戦スキルと言いましてこちら側の用意した切札なんですよ。あなたの本当の敵、邪悪なる思念の本体を弱体化させるために作られた、謂わばアドミニストレータを補佐するためのスキルですねー』

 

 アドミニストレータを、補佐するスキル? 何ともはや、ずいぶんと重要そうな話が出てきたな……

 リーベ、続きを聞かせてくれるかな。場合によっては言葉を選びつつだけど、マリーさんにも伝えないとだし。

 

『構いませんよ。ええとー、邪悪なる思念の本体は強力すぎて、アドミニストレータだけでは到底、勝ち目がなかったんですよ。ですのでシステムさんは決戦に備えて、ヤツの力を大幅に削ぐ特別なスキルを4つ、用意して人間に与えたんです。ヤツを殺しきるために、ヤツを滅ぼしきるために。それが決戦スキル《救世技法》ですねー』

 

 突如与えられる情報の洪水。うーん、物騒な上に容赦がない。

 興奮する香苗さんが、何やら経緯をマリーさんたちに熱弁しているのが見えるが今は無視して、俺はリーベの言葉から情報を噛み砕いて整理した。

 

 アドミニストレータ──俺のことだろう、もはやそこは疑うべくもない──だけの力では、恐らく邪悪なる思念の本体には勝てないとシステムさんは考えた。

 そこで、邪悪なる思念の力を一部、削ぎ取るスキルを特別に作り、人間に与えたのだ。それが救世技法なる4つのスキルであり、マリーさんの《ディヴァイン・ディサイシヴ》はその一つだと言うことだろう。

 

 だけど、疑問は残る。

 マリーさんは70年前にこのスキルが発現したと言っていた。俺と接触するまでにずいぶん開きがある。これは、一体?

 

『……決戦スキルは所有者が死ぬか、スキルの使用が困難になった場合、他の資格者に引き継がれる仕組みになっているんですよ。増えることも減ることもない完全に一点物、唯一無二のスキルなんです』

 

 は? スキルが引き継がれる? 別の誰かに?

 聞いたことない話だ。スキルは遺伝しないし譲渡や交換もできない。できて精々、取得条件の判明しているスキルについてレクチャーするくらいだと覚えているんだが。

 

『ええ、普通はそうですねー。ただ決戦スキルだけは、アドミニストレータになり得る人がいつ現れるか、システムさんにもわからなかったので特別仕様なんです。ですから今回、こうして封印が解除されたのも、完全にたまたまなんですねー』

 

 なんだそれは……肝心なところでアバウトというか、出たとこ勝負というか。システムさん意外といい加減だね?

 頭を抱えつつも俺は、呆気に取られるみんなに顔を向けた。

この話を投稿した時点で

ローファンタジー日間、週間、月間1位、四半期3位

総合日間13位、週間13位、月間6位

それぞれ頂戴しております

本当にありがとうございます

引き続きブックマーク登録と評価の方よろしくおねがいします

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― 新着の感想 ―
[気になる点] マリーさん一番最初は大変だったのではスキルはあるけど発動しないってほぼ生身の身体能力と運動神経で戦えと言うことに そういえばステータスのスキル表記って習得順?
[良い点] これはつまり、ロリばばぁヒロイン候補のおばあちゃんだった、ってこと?(_@ [一言] ※なお、ロリばばぁになるとは限らない
[気になる点] 逆に若返る恐れだってあるさ!
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