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うちの県へと帰っていく人達

 さて、概ね片付きもしたということで改めてみんな、ヴァールのスキル《空間転移》で帰っていく。行先はうちの県と隣の県の全探組施設、無人の大会議室だ。

 転移系スキルなんて超絶レアというか、一般に出回らないスキルだから当初はみんな困惑していたみたいだけれど……ヴァールやマリーさん、サウダーデさんが直々に今回見たものは内密にと頼み込んだため、揃って情報の秘匿が行われることとなった。

 

 それでも多少は漏洩するだろうけど、元よりヴァールというかソフィア・チェーホワは存在そのものが都市伝説めいた人だからね。

 不老の存在のやること、何があってもおかしくないって風潮は日本のみならず世界規模であるから、転移系スキルにしても彼女ならやりかねないってことで納得されることは大いに期待できる話だった。

 

「それじゃあ帰るわ、山形は自由研究サボんなよー。香苗さんも、S級認定式頑張ってください!」

「急に呼ばれたが中々、すごいものを見せてもらったよ」

「最近の若い子ってすごいのね……いろいろ自信なくすわー」

 

 まずは開いたうちの県の全探組へのワームホールに、次々帰路につく探査者達。関口くんや斐川さん、荒巻さんも俺と香苗さんにひと声かけて去っていく。


 関口くんともさっき、自由研究について話を聞いたんだけど……彼も探査者関係のテーマで製作中みたいだ。自慢の人脈で知人の探査者を集めて、いろいろやってるんだってさ。

 さすがリア充パリピ陽キャは、やることなすこと派手で規模が大きい。サクッと大きめの方眼紙に"複合・派生スキルの獲得条件"あたりでもまとめちゃおうかなーって考えている俺とは大違いだ。

 

「それでは先生、明後日の朝に実家でお待ちしております! 伝道師香苗さんも、信仰の道についてはまたいずれ詳しくお話をお聞かせくださいませ〜!」

「もちろんですとも、使徒天乃。使徒宥ともども、御方の偉大さ素晴らしさをともに分かち合いましょう」

「あーあ、アメ姉壊れちゃったぁ……パイセーン、どーしてくれるんすかパイセーン」

「ア、アハハ……山形さん、アメさんを泣かせるようなことはしないでくださいね?」

「するわけないでしょ!?」

 

 むしろ地獄めいた様相にこっちが泣きたいくらいだと、俺は苦笑いするチョコさんに反論する。

 お次に去っていくのはご覧の通り、おかし三人娘なわけだけど……アメさんが宣言通りに伝道師の元へ教えを請いに走ってしまい、めでたく使徒認定を食らってしまわれた。なんてこった!

 

 関口くん達指導員さん達はひたすら微妙な顔をしてるし、チョコさんはただただ苦笑いを浮かべるばかりだし、ガムちゃんに至っては割と呆れたような力ない笑いを浮かべて俺を肘でグリグリってしてくる始末だ。

 俺にどうしろって言うのか。もうこうなった以上は手遅れですよ。さしあたり明後日、始原の4体絡みでアメさんとガムちゃんには会いに行く予定だしそこでまた説得でき……できるかなあ? できたらしてみたいかなーって思う。


 神社住まいだし、元々信仰してる神が怒ってやしないかと戦々恐々だよ、今から。

 怖ぁ……ってなってると立て続けに使徒の襲来だ。今度は宥さんとその仲間の皆さん、そしてリンちゃんだね。

 

「お疲れ様でした公平様! お盆休みの中でも偉大な御姿を示してくださり、この不肖の使徒めは感涙にむせぶ次第です!」

「泣かないでください……お願いしますから……」

「宥ってばホント、入れ込んでるわねえ……」

「分からなくもないけどね。本当にすごいもの見たし、シェンさんもだけどさ」

「ん! 次の撮影でもバッチリ披露します! 真道星界拳!!」

 

 相変わらずドン引きものの信仰の姿に、俺はおろかパーティーのみなさんも遠い目をするばかりだ。

 それでも彼女から離れないあたり、宥さんがどれだけ人気のある素敵な人かが窺える気はするね。


 一方で結果としてお蔵入りになった動画撮影を、ところを変えてまたやる気でいるのがリンちゃんである。

 今回、宥さん達とコラボする気で臨んだのにまさかの偽りの神の器との遭遇という逆ウルトラCになっちゃったしね。真道星界拳という新地平を切り拓いてやつにリベンジしてくれたはいいものの、元々の目的としては不完全燃焼もいいところだ。

 コラボもやり直しってことで気炎をあげているわけだね。


「化物にリベンジできたし、姉ちゃんにも久々に会えた! 元気そうで良かった! 公平さん、ありがとうございます!」

「いやいやこちらこそ。真道星界拳、見事なお手前でした」

「えへへ、うん! まだまだこれからもっと私、強くなるね!」

 

 照れ笑いを浮かべつつもなお、果てない高みを目指して強さを追い求めるリンちゃんの姿はどこまでもストイックだ。

 さっきはランレイさんの、スキル《闇魔導》を組み合わせた双魔星界拳と自身の真道星界拳の違いや類似点についていろいろ姉妹で話し合ってたみたいだし、シェン一族は本当に強さに貪欲だなって感心するよ。

 

 なお、その後ろでヴァールが暖かな目をしながらドヤ顔で深く頷いていたのも俺はバッチリ見ていたりする。

 まるでシェン一族はワタシが育てた、と言わんばかりの見事な後方保護者面だったのが見てて面白かったです。はい。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] アメさんの実家へは、山形くんだけで行くんでしょうか?事情を話したら、リーベも同行したり(ついでにアメさんとの正式な顔合わせも兼ねて)…。 と思ったけど、リーベ+「始原の4体」だと、話…
[一言] 後方保護者面は後方彼氏面じゃないわけで、となれば、それは「サマーセーターを肩から背中にかけて前で軽く結ぶアレ」ですか。いわゆる業界のPさんってやつ。
[一言] その自由研究、出典はどうするつもり!?
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