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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
本編

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SKILL IN THE SHELL

 突然やってきた、香苗さんの同期だというA級探査者の鈴山さんと、世界最高峰のS級探査者の一人、マリーさん。

 どうしたことかそこに、みんなご存知A級トップランカーの御堂香苗さんも加わって、哀れ新米探査者の山形公平くんは場違いにも程があるグループに巻き込まれることになったのでした。

 

「ファファファ。極東でずいぶん、ややこしい新米が出てきたと聞いてやってきたら……長生きはするもんだねえ。まさかこんな子に会えるとは、ファファファ」

「は、はあ。どうも」

 

 やたら俺を見てくるマリーさんの視線が、異様に鋭くて怖ぁ……何この人、なんでこんなガン見してくるの?

 白髪を綺麗に整えた、腰は曲がっているものの所作の優雅な老婆なんだが、さすが歴戦の探査者だけあって眼力がヤバい。人殺せるってこれ、俺殺されるってこれ!

 ただ、今の台詞を聞く限りでは俺、そこそこ評価されてたりする? 命拾い、できそう?

 何やら隣で香苗さんが、興奮したようにお婆さんに質問していた。

 

「マリーさん、公平くんの、救世主様の偉大さが分かるのですね!?」

「御堂ちゃんの様子も大概おかしいねぇ。まあ、分からんでもないかね。こんな少年見たら、そのくらいの年頃だったら私でもそうなりかねん」

「それでは、やはり!」

「偉大かどうかはさておいて、一目見て分かるさ……恐らくはこの時代を拵えた何者かが、喉から手が出るくらいに待ち望んでた子だって、ねぇ。何より私のスキルがそう言っている」

「スキル、が?」

 

 詳しいことはホテルで話すかねぇ。そう言って、マリーさんは俺を引っ張って外に出た──力強っ! え、めっちゃパワフルじゃ〜ん。

 当然ながら香苗さんと鈴山さんも付いてきている。同期ゆえの気安さで鈴山さんが話しかけるのを、しかし香苗さんは冷淡に相手していた。

 

「最近の御堂、ずいぶん彼に執心だってどこでも噂だよ。僕も例のチャンネルを見たけど……何がそんなに気に入ったんだい?」

「は? すべてですけど? むしろ分かりませんか鈴山には。公平くんの偉大さ尊さ素晴らしさが、まさかA級探査者であろうあなたがわからないと?」

「え。い、いやあ、まだ彼の人となりも知らないからさ。実力はたしかにずば抜けてるし、何なら僕以上かも知れないけど。そこじゃないんだろ? たぶん」

「良い機会です、彼を見ていてください。少なくともすべての探査者が手本とすべき、尊き姿勢が見られるでしょう」

「そ、そっかあ。マリーさんが一発で気に入ったくらいだし、本当になにかあるんだろうな」

 

 辛辣ぅ! いやでも、同期だからこのくらいの方が気心知れてる、のか?

 

 正直、同期の男性と聞いてちょっとヤキモチは抱きかけたよ。そりゃそうだ俺だって男の子だし。

 でも今のやり取りの、少なくとも香苗さんの方に何の温度も感じられないのを聞くだに、むしろ鈴山さんに隔意を持ちかけたことを謝りたくなった。ごめんなさい。

 

 というか鈴山さんも、素直にめっちゃ俺のこと見てくるな……マリーさんが何かを俺に見出してきたことも併せて、何やら過剰な期待をされつつあるのかもしれない。勘弁して?

 言ってる間にホテルに着いた。組合本部から徒歩10分とはまた、ずいぶん近場だなあ。

 というか大通りに近い立地でめっちゃ大きい建物とか、これ相当お高いホテルじゃね? さすが金持ち集団探査者の管理組織、金持ってるねえ。

 

 さておきホテルにチェックイン。既に手筈は整っていて、めっちゃスムーズに案内された。通路からドアから壁から床から、一々品の良い雰囲気の広々したホテルだ。

 当然部屋だって大したもんだ。今回豪勢にも探査者一人ずつ一部屋割り当てられる大盤振る舞いっぷりで、何なら1フロアまるごと貸し切ってるんだとか。成金かよ。

 

「さて、まあ落ち着いて話そうかね。おいで山形……あー、公平ちゃんと呼んでも?」

「あ、はい。光栄です、マリーさん」

「ファファファ、そう固くならない。御堂ちゃんほどじゃないにせよ、私ゃあんたを気に入りかけてるんだ」

 

 それってつまり、気に入らないと判断することもあるってことですよね怖ぁ。

 老獪さも感じさせるマリーさんに従い、ソファに腰掛ける。隣に香苗さん、テーブル挟み向かい合ってマリーさん、その隣に鈴山さんだ。

 なんとも場違いだ、しかし。部屋もロイヤルって感じで品よく豪華だし、窓からの眺めもすごく良いけど高過ぎて高所恐怖症の俺には無理だし。もっと言えば俺以外のこの場にいる人たち、探査者として雲の上の存在ばかりだし。

 

 こんな人たちが俺に何の用だよ、特にマリーさん。

 恐々とする俺を見て、微笑み彼女は切り出した。

 

「えー、何だったかね。そうそう、私が公平ちゃんに感じた確信、かね。まあ率直に言うとね、スキルが反応したんさね」

「スキル、ですか? 《鑑定》とか?」

「いんや? そんな汎用じゃない、特別製のスキルさ。70年も前、私に初めて芽生えたスキルでもあり……今日、公平ちゃんに会うまで一度も何の反応もしなかったスキルでもある」

「えぇ……?」

 

 何ですかそれ、怖ぁ……

 年季の入ったホラー話をするマリーさんは、懐から探査者証明書を取り出した。

この話を投稿した時点で

ローファンタジー日間、週間、月間1位、四半期3位

総合日間12位、週間13位、月間6位

それぞれ頂戴しております

本当にありがとうございます

引き続きブックマーク登録と評価の方よろしくおねがいします

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― 新着の感想 ―
[一言] 手にしてから一度も発現しなかったスキルが、70年前からあった。 システムさん、どゆこと? 下手したら100年前から「救世主の従者専用」的なスキルがあったの?(_’
[気になる点] そういや関口はおらんのかな
[一言] ゴースt スキルが囁くんですねわかります システムさん「スキルの海は広大だわ」 リーベ「いま荒野ですけどね」
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