タカちゃんナカちゃん+スズちゃん。これが新生チャラ男トリオだ!
異様な展開になってしまったおかし三人娘やその指導役さん達とは一旦お別れして、俺はまた宴会の中をうろつく。
結局明後日の朝にはアメさんのお家に寄らせてもらって始原の連中と話し、その後にやってくるガムちゃんを交えてスキルとか称号について知っていることをまた、話させてもらう流れになった。
始原の4体を見るのも久しぶりだな、最後が何年前だっけ? セーフモード入った後で輪廻に乗る前だから、大体120年か130年くらい前だったかな。
その場凌ぎとはいえ一時の猶予を得たシステム領域に現れて、適当な精霊知能相手にダラダラと数年くらい駄弁って帰っていったんだ。セーフモード前からもそんなことを平気でしていたんだから、やっぱりあいつらちょっとおかしいよと思う。
お互い初対面ってことになるからどういう雰囲気になるのかも微妙に分からないけど、あいつらノリが軽いしそんな凍った空気にはならないだろうとは思う。
今、近づいてきている究極の陽キャパリピさんほどじゃあないけどね。金髪に日焼けした肌がいかにもって感じのチャラ男さんが、俺に向けて爽やか? な笑みを向けてくる。
「ウェェェェェェイ! ヤマちゃんお疲れっすフゥーッ! ダイジョバダイジョビダイジョブダイジョべダイジョボ? なんかカッケェスキルだったじゃーん!!」
「お、お疲れ様です高木さん。ありがとうございます、今日は来ていただきまして。おかげで助かりました」
「ドンマイドンマーイ気にすんなってェ、困った時はお互い様っしょォ? ウェイウェーイ!!」
怖ぁ……相変わらずテンションがすごいよぉ……
いきなり肩を組んで密着してくる彼、高木さんに俺は毎度ながらの戦慄を禁じ得ない。
探査者ツアーで知り合ったこの人は、見かけやノリは極めて軽いんだけど非常に理性的でかつ頼りになるすごい人だ。
竜虎大学でもお会いした時には愛用の槍で宥さんと互角以上の模擬戦を繰り広げていて、探査者としても優れた実力を誇っている。
俺としてもドラゴン騒ぎの発端に居合わせて、ともに難局を切り抜けたということで尊敬とともに厚い信頼を寄せるに足る人だと思っているよ。
思ってはいるんだけどそれはそれとして、俺の知る中でも一番のチャラ男さんムーヴをしてくるため、この身に宿る陰キャの血が畏怖を禁じ得ないところもたしかにあるのだ。
「ナカちゃんもスズちゃんもォ、ヤマちゃんのことマジパネェつってベタ褒めフィーバーっしょォ! っすが救世主っていうかァ、でもなんであっちで伝道師サン盛り上がってんだろうねタカちゃんマジ不思議」
「そこについては僕も本当に不思議ですね……って、中島さんはともかく、スズちゃんさん?」
タカちゃんさんをして不思議と言わしめる、向こうの伝道師さんについては陽陰関係なしに摩訶不思議としか言いようがないため一も二もなく頷くとして。
ナカちゃんこと高木さんの相方である中島さんとともに出てきた、スズちゃんさんなる名前を聞き拾う。
スズ、鈴? 鈴山? まさか鈴山さんのことをしてスズちゃんって言ってるのかこの人?
嘘でしょ年齢はともかく探査者としてはかなりの先輩だよあの人、香苗さんの同期なんだしもうじき10年選手のはずなんだけど?
年功序列はそこまで気にしない界隈とはいえ、明確に格上だろう相手なのは間違いない。
そんな人にまさか、ねえ? と考えていると……タカちゃんさんに続いてナカちゃんさんこと中島さんと、鈴山さんがやってきた。
高木さんに苦笑いしつつ、鈴山さんが話してくる。
「僕のあだ名らしい。この年でちゃん付けされる日が来るとは思いもしなかったよ……久しぶりだね山形くん。数ヶ月見ないうちに、ずいぶんと高いところに昇ったみたいだ」
「やあ、山形くん先月ぶりだね。何かとんでもないスキルを使ったみたいだけれど、体は大丈夫かい?」
「鈴山さん、中島さん……お久しぶりです。俺なら大丈夫ですよ、皆さんのおかげです」
高木さん同様に探査者ツアーで知り合ったお二人、中島さんと鈴山さんに会釈する。なんか不思議な組み合わせだな、このお三方は。
ツアーで意気投合したらしくてこないだ、竜虎大学ではコンビを組んでいたタカちゃんナカちゃん。この二人については分かるんだけど、スズちゃんこと鈴山さんはそもそもA級だし香苗さんの同期だしでそもそもツアー参加者とは別枠って感覚が強い。
それが三人一組、いわゆるトリオみたいに一緒にいるってのは経緯が気になるよなあ。ヴァールに呼ばれてたまたま近くにいたってだけにしては、お互い気安いし。
首を傾げていると高木さんが気を利かせてくれたんだろう、俺から離れてお二人に近寄り、その肩を組んでニカッと笑った。
「元々俺とナカちゃんのコンビでやってんだけどさァ、こないだバッタリスズちゃんと出くわしてェ。なんかパーティー離脱したってんでじゃあ俺らと組まねー? って話して今トリオでやってんすわ俺らウェェェア」
「パーティーを離脱? どうされたんですか、鈴山さん」
「大したことじゃないよ、単に他のメンバーが九州のほうに河岸を移すそうだから、関西にいたい僕が一人離脱したってだけさ。いやまあ、こうなるのは予想外だったけどね」
経緯説明に併せて肩をすくめる鈴山さん。苦笑いしているけれど高木さんを振りはらうでもないあたり、トリオを組むこと自体には否やがなさそうだ。
そうか、パーティーメンバーの中で意見が割れて離脱するってことも当然あるのか……基本ボッチでの探査だったからあんまり実感はないんだよね、その辺。
「探査者ツアーにいたんだし、一人ぼっちもなんだし良ければ是非って、僕とタカちゃんで頼んだんだ。実力ある先輩探査者ってこともあるし、得難い仲間を得られたと思うよ」
「まあ今んとこ実力差ありすぎっから師匠役ってか指導担当みたいにしてもらってっけどォ、言うてすぐに追いつくんでよろしくっすよウェェェェェェイ!!」
高木さん、中島さんコンビが気炎を上げる。お二人はそれぞれD級とE級、対して鈴山さんはA級だ。現時点ではどうしても格的に差があるだろう。
だからこそ追いつけ追い越せで頑張るんだと、真面目なこの人達はそう意気込んでいるわけだね。
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