大集合!懐かしのあの人達
異世界の神をも救え、というワールドプロセッサからの言葉も胸に現地へ向かう。家から歩いて20分程度のところにある山の麓の野原は、広々としていて近くに民家もないという、決戦に絶好のポイントだ。
一旦そこに向かい、ヴァール達と合流してからことに臨むわけなんだけど……ひとつ異様なものを察知して俺は、息を呑んでいた。
「なんだ、この数……すごい数のオペレータが野原に集まってる」
「スキルの負担分散用ですねー……どのくらいいるんです?」
「…………ざっと50人はいるぞ」
「50!?」
すさまじい気配の多さに驚くリーベ。俺も、驚愕を禁じ得ないでいる。
頭数があればいいわけだから、実力に関係なく可能な限り集めてくるという話ではあったけど。昨日の今日でよくこれほどの数を揃えてきてくれたな、ヴァール。
これならスキルの負担についてはほぼ分散しきれる。一人あたり、少々の違和感を覚える程度にまで抑えられるだろう。
野原が見えてきた。気配の通り、多くの探査者がそこにはいる。
まるで何かの祭りか大会かって感じで、机を並べて飲み物と食べ物をズラッと用意して……酒盛りは流石にしてないけど、リラックスした様子で賑やかに過ごしていた。
「えぇ……?」
「な、なんですこれー……?」
「────来たか、山形公平、後釜」
唖然とする俺達。なんでこんな感じになってるのか、まるでわけがわからない。
と、目聡く察してやってくる影が一つ。今回人を集める役目を担ってくれて、おそらくはこの状況を拵えた張本人。WSO統括理事ヴァールが、話しかけてきたのだ。
軽く挨拶しつつも戸惑いがちにこれは一体? と指差す。
彼女はうむと頷きながらも、どこか誇らしげにことの経緯を語った。
「人員を集めるにあたり、ワタシやマリアベール、御堂香苗といった人脈と社会的に高名な立場の者から近隣の全探組に触れて回ったのだが……あなたが危機的状況にあると聞きつけ、協力者が続々と名乗りを挙げてきてくれてな」
「え、俺?」
「うむ。話を聞くにこれまで、あなたと大なり小なり関わりを持った者達が次々に協力してくれたのだ──どうか、よく見てあげてくれ。きっと知り合いばかりのはずだ」
心底から嬉しそうにそう言われて、俺は慌てて集団を見た。
たしかに、見知った顔が大勢いる……みんな俺に気付いて、手を振ってくれている!
「ああっ! 公平様! 我らが救世主様がご降臨されました!」
「も、望月さん……今日はやめませんか? そのノリ……」
「あははっ! 宥ってば昨日もだけど、本当に彼のこと大好きなんだねー!」
「しかし分かる気がする。頼りがいというのか、そういうのがあるからな。年下なのに……」
「俺達をあのリッチから助けてくれた……シャイニング山形! くぅ、姉ちゃんの言ってた通り雰囲気あるぜ!」
「あの時も相当強かったけど、今もっと強くなってるんだろうね。すごいなあ」
宥さん、望月さん、それに昨日お会いした宥さんのパーティーメンバーの人達。加えて、あれは……見覚えがある男の人と女の人達。
春先のリッチ戦の時、助け出すことができた人達だ。こないだ竜虎大学に行った際、男の人のお姉さんとも話をしているね。
あの人達も駆けつけてくださったのか……
「おお? おーいみんな、我らがシャイニング山形がやってきたぞー!」
「今回は彼の使うスキルの負担をみんなで背負うって話でしたね……実際の戦闘はしなくていいけど報酬も出る。はあ、毎回こういう仕事ばかりならいいんですけど」
「何言ってんすか掛村さん! だからこそせめて応援で、戦う人達の背中を押すんすよ! 熱っ血っ、バーニングだぜシャイニングーッ!!」
「直接会うのは久々だけど、やっぱ騒がしいなあ奈良くんは、わははは!」
こちらもかつてお世話になった人達だ! 探査者ツアーの時に一緒に探査した新田さん、掛村さん、奈良さん!
他にもツアーで見た顔がずらりと並んでる。これはあれだな、今でもメッセージアプリで繋がってる面々だ。ヴァールの要請に応じて、総動員で駆けつけてくれたのか。
と、なるとあのお二人も……いた!
「ウェェェェェェイ! ノッてこーぜウェウェウェーイ! フゥーッ! ヤマちゃん来たぜっフーゥッ!!」
「いつもこのノリなのかい? 彼……実力派だけど個性的というか、なんというか」
「いつも大体こうですね、鈴山さん。タカちゃん……高木くんのこうした振る舞いは、コンビを組む者としてありがたく思っています。僕が地味ですからね、彼くらいでないといけない」
「な、なるほど……」
「ウェイウェイウェェェェェェイ!!」
探査者ツアーといえばもちろんいると思ってたよ、タカちゃんナカちゃん! こと、イケメンチャラ男パリピ高木さんとどこぞかの山で鍛えられたらしい中島さん。
香苗さんの同期でありこちらもツアーの際にお世話になった、鈴山さんと話しているね。
すごい……ツアー関係者だけで20人はいるよ!
しかしこれだけではない。かつて俺が邪悪なる思念との戦いの中で知り合い、触れ合った人達。
培ってきた絆が他にも、この場に集結していたのだ。
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