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せっかちさんはレベル上げせずにサクサク進めるから、稀によく詰んだりすることがある

 健吾さんの機転により、無事にボスの攻略法を見いだせたらしいリューさん。テンション上がりすぎて真理子さんにキレられたのは御愛嬌ということにしたいところだ。

 というかどういうギミックだ? 毒ごと剥がせば無力化できるなんて、そんなヒントがどこかにあったんだろうか?

 すっかり気になる俺同様、姫子さんも気になったのか旦那さんに尋ねていた。

 

「健吾くんすごい! え、どうして分かったの?」

「別のゲームでそういうテクニックがあったんだよ。そのままじゃ剥がせない状態異常を別の状態異常で上書きして、それを剥がせば丸裸にできる、みたいな。まさかと思って試してもらったけど本当にそのタイプのボスだったなんて……実質ノーヒントなのは酷い気がするなあ」

「なんだそりゃ……」

「えぇ……?」

 

 どんなギミックだよ、そしてなんでノーヒントだよ。

 いやまあ、ヒントについては見落としてるだけな可能性が高いんだけどさあ。


 状態異常を状態異常で上書きして、それを回復することで元々の状態異常ごと剥がす。言われてみればあってもおかしくはないギミックだけど、地味な上に仕様かバグか判別のつきにくい話だし正攻法じゃまず思いつかないだろう。

 いろいろ試して正解を引くか、今回の健吾さんのようにたまたま別のゲームでそういう事例があったことを知ってたりしないと一発でクリアできない。そういうデザインにしてるわけだね。

 

「一応、攻略サイト見てみようか……あった。けど……これは」

「健吾さん?」

「……本来はレベルを上げて火力で一気に攻め入るのが正攻法みたいだ。でもどうしても攻略できないとか低レベルクリア用の救済措置として、裏技的に今やった上書き解除の方法も用意されてるっぽいね。ユーザーがあれこれ考察してるよ」

「て、低レベルクリアなんてしてないんすけど……」


 愕然とリューさんがつぶやく。今のやり方はそれやりこみ用のルートだよーって言われたら、やりこみなんてしてる覚えのない彼からしてみればそりゃ面食らうよなあ。

 どれどれ? と健吾さんのスマホを覗き込んだ姫子さんが、攻略サイトの情報から推測して言う。


「推奨レベルは35、だってさ。リューくんのパーティーは大体15とかそこらだし、意識してなくても低レベルクリアになってるね。ちょっとレベル上げ意識してみたらどうかなあ」

「くっ……さっさとクリアしないとゲーム取り上げられるからってサクサクしすぎたか……!」

「それで推奨レベルの半分以下で辿り着けるのか……」

「リューさんすごーい」

「きゃー!」


 どうやらリューさんなりに受験のことは気にしているようで、それで低レベルクリアみたいなことになったんだな。それにしたって推奨されてるレベルより20も下ってのはどうかしてる。素でやってるってゲーム巧すぎない?

 感心しつつも俺はしかし、今のやり取りからぼんやりと思い浮かぶところがあった。例の化物の攻略法、やつから《玄武結界》を剥がすための方策である。


 ──状態異常を状態異常で上書きして、それを解除することで剥ぎ取る。

 もちろんゲームじゃないんだ、そっくりそのままでは到底上手くは行かないだろうけど、あてはある。一つだけ。



『…………!! そうか、その手があったか! ははは、いいね公平! 面白いよそれ、やってみなよ! 手伝ってあげるからさ、僕も!!』


 

 脳内のアルマさんも乗り気だ。まあ俺の考えを知ればこいつならこうなるよな。

 ごちそうさまとじいちゃん達に告げ、すっくと立ち上がる。休憩時間はまだまだあるけど、こうなったらそれどころじゃない。

 俺はリーベを見て、告げた。

 

「リーベ。休憩終わりだ──名案が思いついた」

「えっ!? ほ、本当ですか公平さん!?」

「ああ。リューさんと健吾さんのおかげだ」

 

 急に名前を呼ばれてリューさんと健吾さんが、ギョッとして俺を見る。今の俺ってばいかにもシリアスめな感じだし、なんか余計なことを言ったかとか思ってるのかもしれない。

 だけど逆だ、むしろ最高のアドバイスをくれたんだ。無敵の化物、魂も因果さえも持たない怪物をすべて無力化するための、最善の策を俺に与えてくれた。

 そんな二人にサムズアップして、示す。

 

「二人ともありがとう。お陰で厄介な案件を片付ける、目処が立つかもしれない」

「お、おう。そうか」

「そ、それはー……よかった?」

「というわけでごめんみんな、またちょっと席を外すね……リーベ行こう、この戦いにはお前が必要だ」

 

 今、思いついた作戦はおそらく実現すれば100%確定でやつを倒せる。

 《玄武結界》の無敵を、いや《座標変動》や《次元転移》といったバグスキルのすべてを、存在しない因果さえ乗り越えて剥がし切ることができるだろう。

 

 だがその実現のためには必要不可欠な存在がいる。

 その一人であるリーベに声をかけると、彼女は喜色満面に立ち上がり、俺に抱きついた。

 

「はいー! かわいいかわいいリーベちゃんにお任せくださいー! どんな無茶難題でもー、ぜーんぶまるっとサクッと一発クリアして見せちゃいますよー!!」

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― 新着の感想 ―
[一言] 真理子母さん、大学に入るより遙かに大きな偉業だよ。国際機関から忖度してもらえるレベルじゃないかなあ
[良い点] 毎日投稿なのにちゃんと話が進んでいるところ 凄いと思います [気になる点] 後の話を読んでなのですが アルマ「手伝ってあげるからさ、僕も!!」が、自分の権能関連であるのだからもっと偉そうに…
[一言] お前が必要だ、なんて言われたら、めっちゃ嬉しくなるリーベちゃん
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