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ゲームの難敵はみんなとワイワイ騒ぎながら攻略したい!

 親族の集まりの中でも全然余裕で携帯ゲームしてるリューさん。よっぽど楽しいRPGゲームなんだな、ちょっと気になるかも。

 でもこんなところでそんなことしてると怒られるんじゃないかなーと彼のご両親、洋介さん真理子さんご夫妻を見ると、案の定ながら真理子さんが大分ピキピキ来ていらっしゃるよ怖ぁ……


 受験勉強そっちのけな上、盆の集まりでまでゲームしてたら親としてはそうなるよね……

 ただ啓太くんや恵ちゃん、あとはとこの二宮さんご夫妻も興味津々に見てるもんだからギリギリ怒られないで済んでいるみたいだ。後で言われるとは思うけど。

 

「どーなってんだよこのボス、どんなにダメージ与えても自己再生状態なんてバフが付いてるから即、全回復しやがる」

「リューさんそこは強い技で一気にバーって倒すんだよ!」

「ばぁーっ!」

「いやさっきから最強火力で攻めまくってんだけどさ、HP高すぎてちっとも削れやしねえんだよー」

 

 そんな風に去年の俺と同じ、いや輪をかけてひどいリューさんだけど、どうやらボス攻略で詰まっちゃってるみたいだ。啓太くんや恵ちゃんからアドバイスを受けつつ、いやでもーと呻いている。

 素麺と天ぷらをいただきながらなんとなし耳を傾ける。隣ではリーベが、アイを抱いたじいちゃんばあちゃんと仲良く話をしているね。時折俺のほうにも話が来るから応対していると、二宮さんご夫妻もリューさんのゲームに口出しした。

 

「状態異常とか効かないの? 毒とか火傷とか、麻痺とか」

「その辺も試してみたんすけど、駄目っすわ。自己再生そのものは一旦上書きできるんすけど、何ターンかしたら元の木阿弥っすよ」

「ギミック系のボスか……道中にヒントとかあったりするんじゃないか?」

「あー……ちょっとリセットして調べてみますわ、これじゃ戦いになんねえ」

 

 二宮さんとこの健吾さんも姫子さんも割とゲーマーなんだよな……去年とかみんなでボードゲームしたっけか。

 ちなみに我が家だと母ちゃんがそこそこゲーマーなんだけど、もっぱらパズルゲーム主体でRPGにはそんな興味もない。優子ちゃんも似たようなもんで、だからリューさん達からは離れたところで春香とうちの親達と話をしている。平和だねえ。

 

 ふう、なんだかんだ結構食ったな。素麺も天ぷらもほとんどなくなって、俺とリーベの箸も止まる。

 これ以上食べると晩御飯に支障が出そうだ。いやー美味しかった! 腹ペコなのがすっかり満腹だよ、やっぱ夏ってば素麺だよね!

 

『こんな時間にこんな食べて君、本当に晩ごはん食べられるんだろうね……? 御馳走を前にお腹いっぱいでもう無理とかさすがに怒るぞ僕も』

 

 アルマが訝しみつつ尋ねてくるけど、その辺も考えてちゃんと腹八分目に抑えてるよ俺もリーベも。

 俺だって晩御飯は晩御飯で楽しみたいしな。その前にまた、あの化物の対策を考えるので頭を悩ませる羽目になるだろうしカロリー消費もきっとバッチリだろう。コマンドプロンプトの演算能力はとかくカロリーを使うからお腹が空く……といいなあ。

 

 願望かよ! という脳内邪悪なる思念さんのツッコミを華麗にスルー。さしあたりくつろぎがてらリューさん達のやり取りに耳を傾ける。

 俺もかつてはゲーマーだったし、気になるっちゃ気になるんだよねー。

 

「えーと……んー。直前の町にそれらしいヒントとかあるんじゃって思ってたけど、ないな」

「この町出たらそのままイベント入ってボスだろ? さすがになんかあってもいいと思うんだけど。なんか町特有のイベントとかないのかな、これまでと違う要素とか」

「ん……そういやなんか、新規アイテム売ってたな。これまでの店には売ってなかった、状態異常を回復するアイテム。そのくらいしか思いつかないけど」

「状態異常……"自己再生"もステータス異常じゃないの?」

「…………!!」

 

 おっ、なんかヒントっぽいものを見つけたみたいだ。ギミック系のボスって大体直前にヒントとか、攻略に必須な新要素があったりするんだよね。

 しかしダメージを即座に回復するボスとは……まるで例の化け物みたいだ。もっともあっちは無敵状態で、因果がないから状態異常を回復することもできないんだけど。

 現実は厳しいなあ。

 

「……駄目だ、アイテム使っても"自己再生"が剥がれねえ」

「これは……リューくん、一旦毒を付与してからアイテムを使ってみてくれないか?」

「へ? わ、分かった────おおお!?」

「できた!?」

「いけたー」

 

 キーアイテムらしいものを仕入れて再戦したものの、手応えがないことに苦しむリューさん。と、そんな折に健吾さんがふと、何かに気づいたらしく指示を投げた。

 言われるがまま、おそらく毒を付与してからアイテムを使ったんだろうね……どうやら今度はうまくいったみたいで、リューさんも啓太くんも恵ちゃんも喝采をあげた。

 

「静かにしなさい隆太郎!!」

「アッハイ……すみません……」

「怖ぁ……」

 

 そしてリューさんだけ真理子さんに叱り飛ばされてしまった。かなしい。

 まあ気持ちは分かるけど今のはリューさんが悪いよ。受験も親族もそっちのけでゲームしてはしゃいでたらそりゃどやされちゃうって。

 

 しかし、自己再生単独では剥がれなかったのに毒と一緒だと剥がれたのか……どういう理屈だ?

 遠くから眺めつつも、なんだかんだすっかり俺まで夢中になっちゃった。健吾さん、よく気づいたなー。

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― 新着の感想 ―
[一言] 状態異常やHPを回復するようなプラスの効果を与えるアイテムを敵に対して使うって、結構盲点だったりするんですよね まぁ、アンデッドにそれ系のアイテムを使うのはよくあるけど、それ以外の相手だと…
[一言] お腹いっぱいで晩御飯が食べれなかったら因果を操作するしかないな。 化け物の封印など食の前には小さきことさ。
[一言]  きっと油汚れと同じなんだよ、水だけじゃ擦っても落ちにくいけど洗剤で浮かせば水で流すだけで落ちるのと一緒なんだ!
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