世界的に有名な探査者の集団が〜、山形一族と〜、出会った〜(滞在記風に)
車でここまでやって来た宥さん達とはここで別れ、俺達はワームホールを潜って親元の家へ帰還を果たした。
時刻は昼過ぎ、もうみんなご飯食べ終わったかな、まだ食べてる頃かな。午前中結構川遊びしたこともあってちょっとお腹空いてきた。化物との戦いで消耗したってのもあるしね。
「ふいー、到着到着ー」
「おお……ここが救世主様ご一族発祥の地……!!」
「祈るのやめてもらっていいですかね……」
訪れるやいなや、片膝ついて祈りのポーズをし始める伝道師さんに勘弁してくれと頼み込む。こんなところ一族に見られたらいよいよ言いわけができないよ。
一旦、みなさんには庭先で待ってもらいつつ俺とリーベで家の中へ入る。この大人数だし、話し合うにしてもどこか広い場所を使わせてもらえると助かるんだけどなあ。
「ただいまー!」
「ただいま戻りましたー!」
「あ、公平! リーベちゃん!」
「みんなー、公平とリーベちゃん帰ってきたよー!」
居間ではリューさんや春香、夏子さんや父ちゃんはじめ何人かが昼ごはんを食べ終えて、団欒の時間を過ごしていた。お菓子をつまみつつテレビなんか見ながら、のんびりアレコレ話しているのだ。
そんな中、あからさまに慌ててる俺達が割って入るのも申しわけないけどこれも仕事だ。帰還の旨を告げればリューさんに春香がすぐさま反応し、台所に行ってたらしいじいちゃんばあちゃんや母ちゃんが戻ってきた。
じいちゃんばあちゃんが特に慌てた様子で俺達に寄って来る。
「公平! それにリーベちゃんも話は分かっとる。なんぞこの辺で、大変なことが起きとるんじゃな」
「ああ、まあ。早期に手は打ったししばらく大丈夫だけど、WSOの人達や探査者の先輩方に来てもらってる。ちょっと話し合いをしたいから、10人くらい入れる部屋を使わせてもらっていいかな?」
「もちろん! さあさ、外は暑いから皆さんにもあがってもらって」
「ありがとうございますー!」
さすがにリーベから連絡を受けているからか動揺は少ないけれど、それでも不安は大きそうだ。大した事件もない田舎に、突如起きた緊急事態だしそうもなるか。
リーベがみんなを招きに行っているうちに、俺はひとまず一族みんなを安心させるべく光り始めた──リラックス効果の強いシャイニング山形パワーを発揮したのだ。
「みんな、お騒がせしてごめんなさい」
「こ、公平……すごい光ってる。川の時より、ずっと強くて優しい……」
「近くのダンジョンで、ちょっとしたトラブルが起きちゃって。その対応のために今から俺の仲間達が一部屋使わせてもらいます。みんなに何かが起きることはないし絶対に起こさせないから、どうか安心してゆっくり寛いでいてほしい」
「シャ……シャイニング山形……」
「しゃいにん、ぐー!」
本腰入れて発光した俺の姿は、さすがに午前中ちびっ子達に見せたのとは光り方が違うぜ。
唖然として俺を見ながらしかし、光によって落ち着いていく一族。そして俺の言葉によって平静を取り戻した直後、リーベが仲間達を連れてやって来た。
「お連れしましたー! あれ、公平さん? なんで光ってるんです?」
「みんな不安がってたからな、ちょっとだけリラックスしてもらおうと思って。もう大丈夫だ」
キョトンとリーベが尋ねるのにそう答えつつ光を納める。彼女の後ろにまします伝道師さんが今にも伝道をしやしないかと不安だったけど、むしろ彼女は俺の言葉に痛ましげな表情を浮かべた。
そして親族みんなに頭を下げて、言う。
「お世話になります。救世主山形公平様と今回、ともに事態の収拾にあたります伝道師にしてS級探査者、御堂香苗です」
「御堂さん……っ! マジだ、本物の伝道師だ!」
「超有名人じゃん! うわ、すっごい綺麗!」
「畏れ入ります。皆様におかれましては盆の大切な時期、こうしてお邪魔しますことをどうかお許しください。皆様の生活をしっかりとお護りいたします、よろしくお願いします」
「へ、へへー! よろしくお願いします!」
香苗さん、探査者としての意識はすごく高くて清らかだしね。
せっかくのお盆の帰省中に、降って湧いたダンジョン絡みのトラブルに不安がる市民のみなさんに対して、どこまでも高潔に探査者然として振る舞ってくれている。
すごくありがたい話だよ。
本物の名家のお嬢様からの言葉に、どこまで行っても一般市民な山形一族全員が畏まってしまった。
だが話はそれだけに留まらない。他のメンバー、とりわけ社会的地位が極めて高く香苗さんより有名なソフィアさん……のフリをしたヴァールとマリーさんの二人も、WSO理事として挨拶してくれたのだ!
「みなさま、ご機嫌麗しゅう。WSO統括理事、ソフィア・チェーホワと申します。この度はご協力くださり感謝に絶えません。みなさまの、そしてこの地一帯の平和は必ずや護り通しますので、なにとぞみなさまはいつも通りの盆をお過ごしくださいませ」
「あー、どうも。いつも公平くんにゃあお世話になっておりますよ、ファファファ! WSO特別理事のマリアベール・フランソワと言います。しがない老婆ですがこちらの面々と同様、みなさんの当たり前の日々ってやつを守り通しますから何卒、よろしくお願いしますよ。ファファファ!」
ソフィアさんとして挨拶するヴァールに、俺の親族相手ということもありいつもより一層物腰穏やかなマリーさん。
こうなるとうちの親族のほうがすっかり震え上がっちゃってまあ、ガチガチに緊張しちゃってるよ。
特にじいちゃん、若い頃はこの二人のファンだったみたいだからね。すっかり面食らって固まっちゃってるや。
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