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星界拳が受けた屈辱は、星界拳で返せ!!

 さてメンバーも揃ったし話し合いといきたいところだけれど、いかんせんここは山中で落ち着ける場所とは到底言えない。

 件の化物が封印されているダンジョンだってすぐそこにあるしね。2日は完全に封印されているから問題ないので一旦、さらに空間転移してうちの親元の家に行ってそこで話そうかという流れになった。

 

「救世主様の御尊父様の生家……まさに聖地、救世の光が崇めるべき土地の一つとして挙げるに相応しいでしょうね、使徒宥」

「そのとおりです伝道師香苗。まさか偶然探査に赴いた先が聖地だったなんて、僭越ながらこの望月宥、救世主様との深い縁を感じずにはいられません。ああ、身も心も信仰が駆け抜けていきます」

「また一つ"領域"に進みましたね。私も負けてはいられません……!」

「何の話なのだ、お前達……」

 

 どんな時も変わらぬアレさの二人組み、そう伝道師アンド使徒のコンビがまた素っ頓狂な信仰論をぶち上げている。信仰が駆け抜けるだの領域だの、段々彼女達の中で確固たる宗教観が確立されていっているような気がしてならない。怖ぁ……

 呆れて口を挟むヴァールだけれど忘れてないか? 説明会と祝勝会やった日にお前も使徒として目をつけられてるんだぞ。

 

「もちろん我らが救世主様への尊崇の念の話です使徒ヴァール。あなたにもいずれ分かる日が来ますよ使徒ヴァール」

「使徒……うむ、まあ、以前にそんな話を早口でされたな。ワタシはいいが、ソフィアがな……」

「お前はいいのかよ……」

「他の誰かならともかくあなただからなあ……ワタシとて大恩があるのだ、信頼はしているよ」

 

 クールで冷静で知的なんだけど割と天然なところのある精霊知能なヴァールちゃんが、ものの見事に宗教勧誘に引っかかってしまった。

 ソフィアさんまで巻き込むつもりはないのが救いといえば救いだろうか。

 

 そういう地味に隙のあるところ、なんていうかたしかに三女っぽいよなーなどと思っていると、彼女はスマホを取り出してどこぞかに連絡しはじめた。

 手短に3つ4つ言葉を重ねると、それきりスマホをしまって俺達に告げる。

 

「WSOのエージェントに連絡をつけた。このダンジョンは目処が立つまで我々組織の監視下に起き封鎖処置を行う。その間に山形公平、あなたの帰省先にて会議を行わせてほしいが……構わないか?」

「もちろんだ。リーベ、連絡は?」

「はいー! バーッチリ済ませましたよー!」

 

 さすが統括理事、ダンジョンの封鎖を鶴の一声で指示してくれたらしい。これなら万一何かあったとしても、すぐ俺達に連絡が来るね。

 同時にリーベに確認すると、彼女は彼女で親元に連絡してくれていた。ピースサインを見せつつ朗らかに笑う。

 

「緊急事態ってことで快く引き受けてくださいましたー! 大したおもてなしはできないけど是非お越しくださいとのことですー」

「旅行じゃないんだけどな……ま、助かる。それじゃ行こうか」

「うむ。情報の擦り合せと状況の把握、そして対策の話し合いだな」

「お家まではリーベちゃんがお運びいたしますよー! えいっ、《空間転移》!」

 

 今できることは粗方やったし、いよいよ移動するか。

 リーベがワームホールを開く。ここで宥さん達やリンちゃんとはお別れかな。彼女達には根本的に関わりのない話だし。

 ──と、思ってたんだけど。

 

「ヴァール様、公平さん! 私も、私も参加したい!!」

「リンちゃん?」

「あの化物、悔しいけど今の私じゃどうにもできない……でも、せめてやつの末路はみたい! あと、できればやっぱり一発くらい有効打を入れたい」

「あー……」

 

 不意にリンちゃんがそう言って、俺達の戦いに参加する意志を表明してきた。

 たしかに、彼女からしてみれば悔しい結果だろうしな。誇らしい星界拳の一切が無敵だのすり抜けだの空間転移だのわけの分からないインチキに阻まれて終わりでは、この子の正統継承者としてのプライドは傷つけられっぱなしだろうし。

 

 鼻息荒くするリンちゃん。

 そんな彼女に加勢するように、サウダーデさんも語りかけてくる。同じ武術家として、気持ちはよく分かると仰ったのだ。

 

「俺からもお願いしたい。先程、シェンさんから少しだけ経緯についてお聞きしたが……拳法家にとっては屈辱的な体験だったことには間違いない。彼女の無念、せめてやつを倒すところを見せれば少しは晴れるやもしれん」

「あの決戦をともに駆けた仲間だ、いてくれるなら心強いことこの上ないねえ。ファファファ!」

「ミス・フェイリンの強さはなんら疑う余地がありませんからねえ。私からもお願いしますよ」

 

 マリーさん、ベナウィさんまで続けて頼んでくる。お二人にとっては、リンちゃんはアドミニストレータ計画最終決戦をともに戦い抜いたという強い絆で結ばれた仲間だ。歳は離れていても、友人として願うところに応えてあげたいのだろう。

 

 もちろん俺も同じ思いだ。ヴァールに相談する。

 

「俺が来るまでの間、彼女が例の化物を食い止めていた。やつのインチキ体質3つ乗せ状態を、それでも2つまでは突破した実力は相変わらず本物だ。そしてその経験から、何か突破口だって見つかるかもしれない」

「うむ……分かった、フェイリン。お前の力も借りたい。済まないが我々と同行を願う」

「謝謝! よろこんで協力します!!」

 

 さすがにダメ押しで俺まで頼み込んだら、ヴァールも断りきれないみたいだ。協力を請うという形で、リンちゃんの同行を認めた。

 

 先月の邪悪なる思念との最終決戦メンバー、それに加えてエリスさん葵さんとサウダーデさん。加えて後で再度呼び出す精霊知能のヌツェンとシャーリヒッタ。

 とんでもないメンツだ、大集結って感じだな……それだけ件の化物は大問題だってこともあるんだけれどね。

 ちょっとこう、ワクワクするものはあるかも。

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― 新着の感想 ―
[一言] リンちゃんが行く行かないの話をしてるってことは宥さんは行けないのか。
[一言] なんでしょう・・・親戚一同にハーレムの一員認定されてまんざらでもない顔をする 御堂『教皇』様や望月『大司教』様がいる【幻視】が見えます・・・ 現人神【シャイニング山形】様の父親筋親戚を巻き…
[一言] サラッと親戚一同が集う親の実家で自称娘を召喚する気になってるけど、大丈夫なんですかね、バーニング谷形さん…?(世間体が炎上的な意味で)
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