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風雲急を告げ、望月救世主を求め

 野菜やお菓子、お刺身やお寿司を大量に買いこんでスーパーを出る。今日のお昼は素麺にお野菜中心だ。

 お刺身とお寿司は夕飯に食べる予定だ。うちはお盆にお肉の類を避けてるため、必然的にお刺し身とお寿司がメインになりがちなのが毎年のことだった。

 

 そうしてえっちらおっちら、それぞれ袋に分けた品々を俺とリューさんで持って運び、しばらく歩いて家へと到着。

 じいちゃんとうちの父ちゃん、洋介おじさんに二宮さん家の健吾さんが揃って縁側に座り、将棋を指したり会話したりしながらも俺達の帰りを迎えてくれた。

 

「ただいまー」

「おう、おかえり! 暑い中ごくろーさん!」

「またたくさん買い込んだなあ。貸せ貸せ、母ちゃん達に渡してくるわ」

「よろしく、正彦おじさん!」

 

 俺とリューさんの持ってる袋を、父ちゃんが受け取り居間に持っていく。ばあちゃんや母ちゃんといった女性陣に渡すんだろう。

 荷物から解放された俺は入り口から入り帰宅。そうして居間に向かうと、購入品を仕分けして台所に持っていったりテーブルに並べたりする真理子おばさんや姫子さんの姿も見られた。

 

「おかえり! お疲れさまみんなー」

「たくさん買ってきてくれましたね、さすが!」

「おつかれー。ちょっと聞いてよみんな、公平の嫁2号に3号が姿を見せてさー」

「夏子さん!?」

 

 いきなり何を言い出すのやら、宥さんとリンちゃんとのまさかの遭遇を明らかにネットの噂話に照らし合わせた解釈で話し始める夏子さん。

 これにはばあちゃんはじめ女性陣はおろか、縁側で将棋を指してたじいちゃん達男性陣も色めきたって集まってくる。

 

 明らかに面白がってるんじゃないよ、山形一族のみなさま!

 何がそんなに気になるんだか、あっという間に一族集結である。仕方なし俺もリーベや優子ちゃんとともに座ると、リューさんに春香が面白がってあれやこれやと吹聴し始めてしまった。

 

「いや驚いたよ、いきなり公平が川から出て国道に出たからさあ。何してんだってみんなでじっと見てたらなんと!」

「動画配信とかもしてる探査者の望月宥さんと、こないだ公平となんか試合? してたシェンさんが車に乗ってやってきてさ! 望月さんなんか"公平様ー! "なんて叫んで大喜び!」

「ダンジョン探査でたまたまこの辺に来てたみたいで、向こうも公平と会うとは思ってなかったみたい。シェン・フェイリンさんだっけ? すごい足技を披露してたわね、こう……足が消えて見えるくらい早い連続キックをシュバババ! って」

「シュババー!」

「しゅばしゅば!」

 

 宥さんはともかくリンちゃんはさすがに、まだそこまで有名じゃないから3人ともおっかなびっくりって感じの説明だけど。宥さんに関しては国内でも割と人気なほうの探査者だからか、話しぶりにも熱が入ってる気がしてならない。

 啓太くんと恵ちゃんなんかはリンちゃんの星界拳のモノマネをしてるね、かわいい。たしかにあの足技は凄まじいし、真似したくなるのも分かるよ。

 

「ほう、ほうほう! そんなめんこい娘さんらが公平の!」

「はあ、本当に嫁がそんなにいるの? はー……公平ちゃんってばいつの間にそんな、大人になっちゃって」

「望月さん……ファンなんだよなあ僕。ねえ公平くん、後で機会があればサインとか──」

「何を、はとこに、おねだりしてるのかなー? 健吾くんー?」

「ひっ……」

「怖ぁ……」

 

 嫉妬深い嫁さんの前で迂闊なことを口にした旦那さんのことは置いておくとして。じいちゃんばあちゃん大はしゃぎである。

 嫁じゃないって言ってもこれ、まともに聞いては貰えないだろうなあ……遠い目をして虚空を見てやり過ごす。リーベが苦笑とともに背中を撫でてきてくれた。たすかるー。

 

 ────と、不意にポケットに入れていたスマホが振動した。電話だ。

 誰だ? と思って取り出すと宥さんからだ。なんだ? さっきの今でもう探査終わったの? って思いつつもちょっと中座して縁側で応対。

 

「もしもし、山形ですけどー」

『──良かった、繋がりました! 公平様、緊急事態です助けてください!!』

「…………!! 何がありました? 落ち着いて、手短に状況を」

 

 それまでの呑気な空気を切り裂く、焦燥に満ちたSOS。明らかに緊急事態が起きているのを悟り、俺は即座に宥さんに尋ねた。

 ダンジョン探査中に何かあったのか? ……何かと出くわしたのか。見当をつけつつ促すと、電話越しの宥さんは焦りつつ、けれどしっかりとした声で端的に状況を伝えてくれる。

 

『た、探査で潜ったダンジョン内に、攻撃のまるで通じない、触れることすらできないモンスターと遭遇しました! フェイリンさんが一人で残って足止めをしてくださって、私達はダンジョンから出て電話しています! 彼女が、公平様を呼んでくれと!!』

「──今そちらに行きます! 神魔終焉結界!!」

 

 聞くやいなや即座にスマホを切り、結界を起動する。大陸風の装束と蒼いロングコートに身を包む、俺の戦闘態勢だ。

 そしてすぐさま居間に戻り、俺はリーベに緊急事態を伝えた。

 

「リーベ! 緊急だ、リンちゃんが危ない!」

「! 分かりました、ついていきます!」

「みんなごめん、急な仕事が入った! 昼ごはんは食べといて!」

「ちょ、え、公平!?」

 

 打てば響く返答はさすが俺の相棒だ。さっきの今でいきなり服装も顔つきも探査者のものに変貌した俺に、唖然とする一族。

 みんなには悪いけどサクッとだけ伝えて、俺はリーベを伴い再び縁側へと出る。そして6枚の翼を生やしたリーベともに、一気に空高く舞い上がった!

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― 新着の感想 ―
[一言] 宥さん変なのに会いがち問題(笑)
[気になる点] >>足が消えて見えるくらい よくよく考えるとなんか妙な言い回し…。 夏子さんもテンション上がってたんでしょうか?
[一言] 用を済ませて戻ってきたらいじられまくるのが容易に想像できるね
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