表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
843/1838

なにっ一年前までモテるどころか友達もろくにいなかったいとこが美女に囲まれている!

 お互い初対面ってことで改めて、俺と宥さんのパーティーメンバーの皆さんは互いに名乗りあった。

 お互いそれぞれのチャンネル──俺のは例のあのチャンネルだから厳密には違うんだけどね──で知っている分、直接会っての挨拶は初めてだから緊張する話だね。

 

「改めましてこんにちは! 宥と同じパーティー所属のC級、福島あかりです! よろしくね、シャイニング山形くん!」

「同じくC級、枚方博子だ。よろしく頼む」

「えっとー。D級の椎名冬姫よー、よろしくねー」

「D級、霧島峰加。よろしく」

 

 それぞれ明るい系、王子様系、おっとり系、クール系って感じで個性あふれる人達がそれぞれ紹介してくる。

 揃って美女なのがこれまた、宥さんのチャンネルが人気出る理由も分かるってもんだね。

 

「ご丁寧に痛み入ります。ええと、C級探査者の山形公平です。日頃、宥さんやフェイリンさんには大変お世話になっております。どうぞよろしくお願いいたしますー」

 

 次いで俺も名乗る。もうなんか普通にシャイニング山形と呼ばれてるからアレだけど、どうにか山形公平の名前は覚えていただきたいよね。

 シャイニングシャイニング呼ばれてるとなんかね、本当にシャイニングって単語だけで反応しちゃいそうになって困るの。

 

 共通の知り合いである宥さん、リンちゃんを引き合いに出しつつ頭を下げれば、彼女達も合わせて会釈してくださる。

 まあ、こんなもんかな? まさかの再会に変に呼び止めちゃったけど、これからこの人達ダンジョン探査に行くんだよ。俺が邪魔しちゃいけなかったね。

 

「えと、みなさんこれから探査なんですよね。すみません引き止めてしまって。お仕事無理せず、安全最優先で頑張ってください」

「ありがとー! いやー私達もまさか、こんなタイミングで噂の救世主に会えるなんてびっくり! 良かったね宥!」

「はい! これぞまさに運命です! 伝道師香苗がこの場にいれば、間違いなくそう謳っていたことでしょう!」

「怖ぁ……」

 

 もはや宥さんのテンションや言動が探査者でなく、使徒のそれに変貌しちゃってるよ。句読点がグッバイする寸前じゃない? これ。

 もし彼女が言うように香苗さんがこの場にいたら、確実に収拾がつかないぶっ飛び方をしていたんじゃないかって気がする。

 

 そしたらのどかな田舎があっという間にカルトのサイケな光景に早変わりだ。盆に何してんだって周辺住民から叱られるようなことにならなくてよかったと、正直内心でホッとするところはあるよね。

 今頃、月後半に迫るS級探査者認定式に向けて準備をしているだろう香苗さんに想いを馳せる。そんな俺だが、ふとあらぬ方向から視線を感じた。

 さっきまでいた川の方だ、振り向くとそこには。

 

「宥さんに、リンちゃんだー……探査に来てるのかなあ?」

「ちょ、ちょちょおいおい! 望月宥さんのパーティーにあれ、いつぞや公平とバトルしてたカンフーっ子じゃないのか!? マジかよ肉眼だと余計に美女と美少女じゃん!!」

「公平……嘘でしょ、あの誰からもモテなさそうだった公平が、女の人に囲まれて楽しそうに鼻の下伸ばしてる。そんな……」

「地味にとんでもないこと言われてますねー公平さんー……でもでもー、まさかこんなところでお会いするなんてー」

 

 遠くから俺を見て、ひそひそ話をしている親戚一同+リーベの姿がそこにあり、俺はげっ! と顔を引きつらせた。

 からかわれること確定な光景をバッチリ見られちゃってるよこれ。昼飯時に死ぬほどからかわれるやつだこれ。

 

 参ったなあ……っていうか、この距離からでも聞こえてるからな春香! モテなさそうってなんだとお前、その通りだよ! 何か問題がありましたか!?

 失礼極まりない同い年の親戚少女に向けてよっぽど叫びたい気分だけれど我慢、我慢。どうあれそろそろ宥さん達は引き続きダンジョンに向かうんだ、親戚達への質疑応答はそれからすればいいんだし!

 

「えーっと! あー、みなさんどのくらいの規模のダンジョンに潜られるかは分かりませんけど、どうかお気をつけて。リンちゃん、星界拳の凄さはきっと、画面の向こうのリスナーさん達だって魅了できるよ。頑張ってね!」

「謝謝! 公平さんとの模擬戦によって我が星界拳、新たな領域に突入した! その技の冴え、今こそ世界に魅せる時!!」

「そうそう! その意……え、何? 新たな領域?」

「うん!」

 

 ものすごーくいい笑顔でサラッととんでもないこと言ってる!

 リンちゃんの星界拳、進化したの? 俺との模擬戦がきっかけで? マジで? 驚きと困惑に慄く。

 まさかそのうちまた俺と模擬戦するつもりで、対探査者用に仕上げてきたとかじゃないだろうね? 悪いけどもう二度と戦いたくないよ、急所狙いマジで怖いもん……

 

 大学での味わった星界拳の恐ろしさを思い出して戦慄しつつ、車に乗り込み再出発しようとする宥さん達を俺は見送る。

 思いがけない出会いだったけど、お二人ともお元気そうで良かった。パーティーメンバーのみなさんも、リンちゃんという規格外のことはさておいてそれぞれの目標に向かって頑張っていってもらえたらいいと思うよ。

 

「それでは行って参ります、公平様! 終わったらメッセージをお送りしますね!」

「救世主くん、バイバ~イ!」

「公平さん、そのうちまた探査しよう! 再見!」

「ああ、そのうちね! みなさんさようならー!!」

 

 大きく手を振り、仕事へ赴く探査者達を見送る。

 お盆の帰省の最中、なんだか一つ思い出ができた気分だよ。

ブックマーク登録と評価のほうよろしくお願いしますー


【お知らせ】


「攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」のコミカライズが配信されております!

 pash-up!

 ( https://pash-up.jp/content/00001924 )

 様にて閲覧いただけますー

 

 能勢ナツキ先生の美しく、可愛らしく、そしてカッコよくて素敵な絵柄で彩られるコミカライズ版「スキルがポエミー」!

 漫画媒体ならではの表現や人物達の活き活きとした動き、表情! 特にコミカライズ版山形くん略してコミ形くんとコミカライズ版御堂さん略してコミ堂さんのやり取りは必見です!

 

 加えて書籍版1巻、2巻も好評発売中です!

 ( https://pashbooks.jp/tax_series/poemy/ )

 よろしくお願いしますー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] まだまだこんなもんじゃないんだよハーレム救世主はw
[一言] 哀れ春香ちゃん……あの人、ちょっとでも目を離すとすぐに美女や美少女に囲まれるから、つよく生きるんだよ……
[一言] 春香ちゃんの脳破壊がすすんでいく・・・
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ