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キャーリューサーン!

 親族のみなさん、とりわけ親世代にあたる人達とは挨拶を交わして、俺達も空いてる座席にひとまず座ることにした。

 久しぶりの親元の家、馴染みは薄いけど不思議と落ち着くのは、やはり幼い頃から毎年帰省しているからだろうね。

 

 俺とリーベ、優子ちゃん。そしてその間をアイが転がったり跳ねたり戯れたりして遊ぶのを、親族のみなさんが興味津々に見ている。

 やっぱりモンスターってか、ミニチュアサイズだけどドラゴンだからね。気になるよねそりゃあ。

 

「きゅーきゅうーきゅううー。きゅきゅ、きゅー」

「アイちゃん、この家の匂いが気に入ったみたい。あちこち嗅いでるよ兄ちゃん」

「独特だもんな、この家。少なくとも初めての匂いだろうし、気になってるのはたしかだなあ」

 

 畳を嗅いだり机を嗅いだり家具を嗅いだり。親戚に自重してか空を飛んだりはしてないけれど、それでも珍しいどころの話じゃない光景だ。

 あの生き物は何? とか飛ぶの? とか、おじさんおばさん方の質問等に父ちゃん母ちゃんに殺到しているのを横目に見る。

 

 どうせ親族が質問攻めしてくるだろうからそこは俺達に任せとけ! と事前に言ってくれてたからね。ありがたくお言葉に甘えさせてもらいます。

 リーベと優子ちゃんがアイと戯れている横で俺は一人、襖の開かれた開放的な縁側の外を見た。庭という名の空き地とその背後に控える雄大な山々が眩しい日差しに照らされて、いかにも夏って感じでノスタルジー。

 

 うーん、改めてだけど帰省したって感じ。

 なんだか近頃いろいろあったのに比べてあまりにのどかな光景に、一気に肩の力が抜ける心地で俺はふうーとため息を吐いた。

 ──と、そんな俺に近づいてきて、話しかけてくる親戚が2人。さっき言ってた洋介おじさんの息子さん娘さん達だ。

 

「どしたー公平、ンなため息ついて。救世主もお疲れってかー?」

「ん……あ、リューさん。久しぶり」

「おー、久しぶりー」

 

 人好きするにこやかな笑顔で話しかけてくるのは、いとこ兄妹の長男、山形隆太郎さんこと通称リューさん。

 俺の2つ年上で今年高校三年生のお兄さんで、たしか先月あたりで18歳になってるんだったかな。いとこの中では一番年長さんということもあって毎年、子供達だけで集まって遊ぶ時にはリーダーみたいな感じで振る舞っている。

 

 茶髪で日焼けしてるから、いかにもチャラっとした風貌だけど実はアニメオタクだったりする、俺としても趣味の合ういとこさんだ。

 そんなリューさんに、続いて女の子が話しかけた。

 

「探査者になってから、テレビに出たりネットで祀られたりして大変みたいだし、せめて親元でくらいのんびりさせたげなよリュー兄。あ、久しぶり公平! 一年ぶりだけどアタシのこと、覚えてる?」

 

 まくしたてるように俺にも声をかけてくるその子。黒髪のショートヘア、前髪を左右に分けてヘアピンで留めているのがチャーミングな彼女は今しがた自分で言っていたとおり、リューさんの妹だ。

 

 山形春香。俺と同い年のいとこで、そのこともあってか昔から帰省する度に遊んだりしているという昔馴染みの女の子である。

 たぶん探査者になる前だと、中学で同級生だった桜井と並び距離感の近い女子だったと思う。今はまあ、香苗さん筆頭にいろんな縁に恵まれてるからアレだけど、昔からという意味では割と唯一無二の関係性だね。

 

 そんな春香と一年ぶりの再会。

 リューさんもだけどなんだか妙に懐かしくて、俺は口元を緩めて彼女に応えた。

 

「もちろん、忘れるわけないよ。元気そうで何よりだ、春香」

「……何もう、大人みたいな顔しちゃってー。ちょっとムカつきー」

「ムカつかれた!? なんで!?」

「あんたもっとへニャった顔して怖ぁ怖ぁ鳴いてたじゃん。やっぱアレ? 御堂さんとか望月さんとか、そこのリーベちゃんとか美女美少女たっくさん侍らせて大人の階段昇っちゃったの? 元服しちゃったの?」

「しとらんわ! 高校生になったり探査者になったりいろいろあったりしたんだから、ちょっとくらい大人びたっていいだろ!」

 

 へニャった顔して怖ぁ怖ぁ鳴くってもはや怪生物だろ! 少なくとも去年の俺は普通の人間だったんだからそこまで言われたくないわ!

 あまりにもあんまりな言葉に思わずツッコむと、春香はカラカラ笑って俺の隣に座る。リューさんも側に座って、毎年恒例の集まりを形成していく。

 当然近くにいるリーベや優子ちゃんもその輪に加わるわけで、あっという間に5人、子供達だけのコミュニティが出来上がっていた。

 

「ね、ね! アイちゃんってその子、モンスターなのにペットなの!?」

「いろいろあって公平さんが助けた子なんですよー。可愛いですよー!」

「きゅ! きゅうきゅう、きゅ〜」

「リーベちゃんって子、公平の嫁1号なんだって? お前ギャルゲー主人公かよこの野郎ー、いろいろネットで言われてるぞお前、ハーレム救世主だのシャイニング女誑しだの年上キラーだとかよー」

「ネットの噂を真に受けないで!? 春以降交友関係はめちゃんこ広がったけど、巷で流れてるようなことは一切、してないから!」

「いやでもリューさん、うちの兄ちゃんの最近の日常ってマジで常に美女が最低一人は密着してるよ。侍らせまくってるよ」

「優子!?」

 

 5人、あーだこーだと騒ぎ合う。向こうは向こうで大人達が同じように話に花を咲かせているけど、こっちも中々の賑わいっぷりだ。

 今年はコミュ力ブッチギリなリーベもいるから、なおのことみんな仲良くやれそうだなあ。

 早速兄妹とも物怖じせず話し始めている彼女の対人能力に、陰キャとして背筋が凍るものを覚えつつも俺は、寄ってきたアイを抱き寄せてその頭を撫でくりまわした。

参考までに山形家一族一覧をば


 山形三郎……祖父

 山形八重……祖母

 

 正彦……父

 由紀……母

 公平……長男

 優子……長女

 

 洋介……叔父

 真理子……叔父嫁

 隆太郎……いとこ長男

 春香……いとこ長女

 

 夏子……叔母

 啓太……いとこ長男

 恵……いとこ長女

 

 二宮健吾……はとこ

 姫子……はとこ嫁

 里穂……はとこ長女

 

あくまで参考なので覚える必要とかまったく無いですー

ブックマーク登録と評価のほうよろしくお願いしますー


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 よろしくお願いしますー!

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― 新着の感想 ―
[一言] しょうもない事が気になった。 夏子さんって死別?離婚? (旦那さんの記載が無かったから、ふと気になって^^;)
[一言] でもジッサイ、怖ぁ……って時々鳴いてるやん?
[一言] システム網コマンドプロンプト目ヒト科山形属 ヤマガタコウヘイ 鳴き声:怖ぁ怖ぁ 顔の作り:へにゃった顔 こうですね!
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