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聖剣とステラが両方そなわり神奈川がオペレータに見える。賢いなさすが精霊知能賢い

 神奈川千尋さん、まさかの非能力者。

 なんとステラから聖剣とステータスを借り受ける形でこの一年、サークルと戦ってきたらしい彼の意外極まる正体に俺は、完全に面食らっていた。

 

 自身の持つステータスを他者に貸し出す、なんてのも初めて聞く話だしできるのか、そんなこと……って感じなんだけど。

 何より今の話、運命の出会いだなんて羨ましい話から何がどうしてそんな、いきなり戦闘力を貸すだの借りるだのなんて話になっちゃったのか。

 成り行きが意味不明すぎてとにかく戸惑うのが実際のところだ。

 

 どうやら神奈川さんを追ってやってきたという、借金取りの犯罪能力者がきっかけらしいけど……

 ヴァールが続けて俺達に、神奈川さんとステラのはじまりを語って聞かせてくれる。

 

「なんとも根性があると言うべきだろうか……神奈川の借金を取り立てに来た連中まで遺跡にやってきたのだ。しかもそいつらは反社会的勢力お抱えの、いわゆるやくざ者の犯罪能力者達だ」

「怖ぁ……いるんだそんなの、本当に」

「嘆かわしい……ヤクザものの映画だけにしておいてほしいですね、そのようなことは」

 

 まるでヤクザ映画によくいる、諸事情あって探査者としてでなく、裏社会で食いつなぐことを選んだ能力者みたいな連中だ。

 しかもそれでやることが借金の取り立てなあたり、裏社会も世知辛いというか、オペレータだからっていきなり頂点に立つとかはできないんだなーってなる。

 

 探査者であることに気高い誇りをお持ちの香苗さんが、そうした反社能力者への嫌悪感を露わにするのを横目でチラ見しつつ、俺はヴァールに話しかけた。

 そんなおっかない犯罪能力者が神奈川さんを追ってきた。それも複数、徒党を組んで。

 緊急避難的にステラが動くのも分からなくもない場面だ。そこは分かるよ。

 

「……捕まれば十中八九殺される、そんな緊急事態だったんだろうな。それで、ステラは神奈川さんにステータスを貸与したってわけか」

「そうだ。聖剣に自身のステータスを紐付けさせたまま神奈川に持たせることで、その間だけはステラのステータスを持つオペレータとして存在できるようにしたのだ」

『言うまでもなく超特例措置だぜ、父様。元々ステラが保管、管理する用に聖剣をスキルの形に落とし込んではいたけどよ、自身のステータスを紐付けすることで一般人を一時的とはいえオペレータに仕立て上げるなんて、スキル《聖剣》にしかできねえ芸当さ』

「なるほど、なあ」

 

 ヴァールとシャーリヒッタの話を受け、俺はついつい感嘆の吐息を漏らした。

 咄嗟の機転というか、聖剣を管理するにあたってスキルという形でパッケージングしていたのを逆手に取った、ステラの発想の上手さをここは讃えるべきかもしれない。

 

 異世界の兵器である聖剣を、システム領域に近い階層で管理するとなると元の物質状態のままではいろいろ不都合が多い。

 それゆえスキル《聖剣》という形の枠に当て嵌めてステラのステータスに付与することで、スマートな形での聖剣の保管と維持ができるようにしたんだけれど……彼女はさらにそれを利用して、自身のステータスをスキルに紐付けするという荒業に打って出たのだ。

 同じくステラの行為に気付いたリーベが、呆れ返った様子で話す。

 

「異世界の概念をそのままこの世界のスキルの枠組みに嵌めた結果、他のスキルよりも改変できる余白が大きかった……だから本来できないはずの紐付けを行なえた、とー。いえまあ、だからってそんなことするんだーって感じですけどー……」

「"ステータス欄にあるスキルの項目から聖剣を呼び出す"プロセスを逆手に取って、"聖剣から逆説的にステータスを呼び込む"プロセスに変えたわけだな」

『ぶっちゃけバグに近い挙動で本来なら処罰ものだがよォ、なんせ聖剣自体が本来この世に存在しないモンだからなー。現世の理、因果に対して一切干渉してないからルール上問題ないんだよなー』

「上手く考えたなあ、ステラ……」

 

 聖剣と自身のステータスを一つの枠組みに詰め込んだことで、聖剣を持った者がステラのステータスを読み込めるよう、本来のものとは逆なプロセスをどうにか成立させたんだな。

 これによってステラが顕現させた聖剣を、神奈川さんが持つことで逆説的に神奈川さんがオペレータであるという論理を導き出すことができる──すなわち聖剣を手にしている間、神奈川さんはステラのステータスを借り受けたオペレータとして存在できるわけだ。

 

 信じられないほどに献身的なことをする。ステラがそんなことをするに至ったのは紛れもなく神奈川さんを護るためのことなんだろうけど、一体彼に何を見出したんだろうか?

 ……いやでも、その。こっ恥ずかしい物言いになるけど、誰かを愛して尽くすことに、そんな理屈的な理由なんてないものかもしれないしなあ。

 

 たとえば一目惚れした相手が目の前で殺されかけていたら、我が身を擲ってでも助けに行くのは理解できる話ではあるし。

 どうやら少なくともステラのほうは、神奈川さんに相当入れ込んでるみたいだしね。

 

『これも愛のなせる業ってやつなのかもなァ。こないだ関東の倶楽部を制圧する時にちょっとだけ会ったけどよ、メチャクチャ神奈川千尋にベッタリだったんだぜ、ステラのやつよう。オレ初めて見たぜ? 精霊知能がなんの縁もない人間にあそこまで肩入れするところ』

「…………まあ、一年前にワタシが初めて二人とコンタクトを取った際、既に思わず顔が赤くなるような光景を繰り広げていたことはたしかだな」

「そんなに」

 

 ヴァールがそこまで言うほどのバカップルぶりなのか、その二人……

 女性陣が瞳を煌めかせているのがなんか怖いけど、なるほど。神奈川さんのほうも満更でなく、ステラの想いを受け入れてくれているのかもしれないね、今のを聞く限りだと。

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よろしくお願いしますー

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― 新着の感想 ―
[一言]  すみません、雑談のつもりで混乱させるつもりはありませんでした。現代では国が暴力団と一つにまとめたこともあり一般的に同一視されています、なんならヤクザも一般人には手を出さないなんていう決まり…
[一言] ヤクザと極道は本来は別もんだぞ、元々戦時中の自警団として設立され運営費用にシャバ代を強引に取り立てたことも事実だけど一般人には手を出さなかった、むしろ警察の方がひどかったのが正常化した時に自…
[一言] 神奈川さんが主人公なストーリーが裏で進行していたのか……www
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