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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
第二部・第八次モンスターハザード編

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えっなんだって!?スレイブコアの正体がアレだって!?

 その日の昼過ぎ、予定していた通りに御堂本家に来客があった。ソフィアさんにマリーさん、サウダーデさん、そしてベナウィさんだ。

 揃って当主の博さんに挨拶を済ませた上で俺の部屋まで来た。倶楽部に関する情報共有と、今後の方針について話すためである。

 

「休暇中のところ申しわけありません皆様方。倶楽部幹部……いえ、もはや残党と言うほうが適切でしょう。残党の火野や鬼島につきまして、得られた情報がありますのでぜひ、共有したいと思いまして」

 

 微笑むソフィアさんに、一同が軽く頷く。テーブルを囲んで今、これより話し合いが行われようとしていた。

 御堂の人達に挨拶する都合、今は彼女もソフィアさんの人格を表出させているものの……こと倶楽部の話となればやはり、ヴァールに切り替えるつもりらしい。

 ほら、もうバトンタッチしようとしていらっしゃる。

 

「これより先はヴァールに任せますね。それでは────む、う。ここは、そうか……話し合いの場だな、マリアベール」

「ですねえ。御堂本家は公平ちゃんの仮宿、予定通りの時刻と場所ですよ、ヴァールさん」

 

 目を閉じ数瞬、ソフィアさんの気配が明確に変じる。裏表が切り替わり、ヴァールの気配が表に出たのだ。

 一つの身体に2つの魂。重なり合った状態でいるがゆえに、気配の上ではまるでコインの表裏のようにひっくり返ったイメージになる。

 

 ちなみにどちらかが表出している間はもう片方の意識がないらしい。

 記憶の連続性がない、というよりは話を聞くに外部の情報を一切得られない状態にあるようなのだ。意識ってものが身体のどこにあるのかという疑問と絡めるとなんか、不思議な話ではあるよね。

 

 まあそれはさておき、ヴァールは周囲見回し、マリーさんの簡単な説明を受けて納得したように頷いた。

 そして今回も司会進行役として語り始める。

 

「さて、それではこれより倶楽部幹部・青樹佐智の事情聴取を経て得られた情報の共有とそれに伴っての今後、残る幹部である火野と鬼島に対してどう動くかを話したいと思う」

「ヴァール、青樹さんの来歴については昨日、私のほうから公平くんとエリスさん葵さんには伝えています。ですのでそのあたりは省いてもらって大丈夫です」

「助かる。その辺も倶楽部と直接的な関係が薄いにしろ、話しておかなければならない部分ではあったからな」

 

 香苗さんからの報告に満足そうにうなずく。

 青樹さんが倶楽部幹部に至るまでの話、もっと言えば今般、改めて師弟が和解したあたりの話はすでに聞いているからね。

 

 今後の倶楽部について話すにあたっては微妙に関係ない部分ながら、火野も絡んでいる話だし説明しないわけにもいかなかったんだろう。

 それを事前に済ませておいていたわけなので、ヴァールとしても手間が省けてありがたいだろうなって思う。

 

 とりもなおさず彼女は話し始める。

 青樹さんから得た、倶楽部に関しての新情報だ。

 

「まずはじめにだが、ようやく判明したことがある。スレイブモンスターの正体……その製造の要と思しきスレイブコアの正体だ」

「! 青樹さんをあんな化け物にした、原因の物質……!」

 

 スレイブコア。スレイブモンスターを生み出すために用いられている謎の物質。

 人間に食べさせることでバグモンスターをも生み出してしまう、俺やヴァール達システム側の存在からしても一切得体の知れない、不気味な物体だ。

 

 そのコアの、正体がついに割れたのか……! これは非常に大きな進展だ。

 スレイブコアの正体が分かれば元になった物質や製造法も特定できる。そうすれば対策だって、いくらでも打てるからな。

 

「話を受けて今朝方、ダンジョン聖教の神谷からも報告があった。ウィリアムズの得たデータがすべて解析し終えて、スレイブモンスターの詳細な製造法が判明したとな。そしてそれは青樹の供述とも一致する」

「つまり、互いの信憑性に裏が取れた?」

「そういうことだ……正直、にわかには信じられない、信じたくないものではあるがな」

 

 加えてダンジョン聖教のほうでもルートは違えど、ほぼ同じタイミンクで同じ真実に辿り着いたらしい。これでブラフ、あるいはガセの可能性はある程度、なくなったと思っていいかもしれない。

 

 ただ、ヴァールの反応が気になる。

 どこか憂鬱というか、苦い表情を浮かべているのだ。あまつさえ信じられない、信じたくないとまでつぶやいている。

 彼女をしてここまで言わせるなんて、相当衝撃的な何かがスレイブコアに隠されているみたいだけど……一体なんだ?

 

 見ればマリーさんもサウダーデさんも、ベナウィさんまでもが深刻な面持ちでいる。この人達も事情聴取に立ち会って真実を知ったんだろうが、ここまでの表情を見せるなんて。

 

 そこはかとなく嫌な予感を覚えつつも先を促す。そして明かされたスレイブコアの正体は、俺にとってもひどく衝撃的なものだった。

 

「単刀直入に言おうか──ダンジョンコア。あれをどうやってか加工して精製したのがスレイブコアだ。本来の機能を失い、別の機能を持つに至っている」

「────なんだって」

 

 息が止まる。

 ダンジョンコア。それを、加工したのがスレイブコアだというのか。

 人間は、システム領域の産物にまで手を加えていた……!?

今日から一日一回、0時更新に戻ります。よろしくお願いしますー

ブックマークと評価のほう、よろしくお願いいたしますー

別作品ニューワールド・ブリゲイドもよろしくー(宣伝)


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書籍、電子書籍ともによろしくお願いいたしますー

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― 新着の感想 ―
[一言] 信じたくないでしょうね。 今となっては異世界の魂を救うための物が魂を隸属 させるために使われるなんて。
[一言] むしろそのクラス以外であんなことできたらそっちのが問題
[一言] その時システムさんは……「な、なんですってー!(AA略」
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