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どうせお泊りするなら観光だってしたくなるよね

 翠川の取り調べを経ての現状確認と、次にするべきこと……すなわち青樹さんが管理している隣県の拠点を制圧する作戦について、一同共通の認識を得て。

 ひとまず今回はそこで解散となった。話し合いの終了である。

 

「各組織代表者のみ残り、引き続いて制圧作戦に向けての協議を進める。実働メンバーについては解散でいい。ご苦労だった」

「遠路はるばるのご足労、まことにありがとうございました」

 

 司会進行を勤めたヴァールと、書記を行っていた烏丸さんが頭を下げる。そして一時、話し合いが終わったことで張り詰めていた雰囲気が弛緩した。

 はあ、終わったぁー。当たり前だけど緊迫した話とかも出てたし、やっぱり肩が凝る時間だった。

 ぐっと背筋を伸ばす。身体が解れていく感覚に目を細めると、隣の香苗さんが俺に話しかけてきた。

 

「お疲れ様でした公平くん。この後、ちょっとお話があるのですがいいですか?」

「ええ、構いませんけど……何か事件とか?」

「あ、いえ。ほら、私の実家に来てくださるじゃないですか。その関係と言いますか、一応の打ち合わせですね。護衛のエリスさんや葵さんも含め、説明させていただこうかと思いまして」

「あー……」

 

 微笑み答える香苗さん。ちょっと嬉しそうにも見えるのは、俺がこの人の実家に寄らせてもらうからだろうか?

 前に一度、ドラゴン騒ぎの直後に訪れたことはあったけど、今回は親戚の人達もやってくるって話だからその時とはいろいろ、勝手が異なるのかもしれない。

 それを思えば事前にある程度、話を通してもらえるのはありがたいよね。俺は頷いた。

 

「分かりました。俺もこの後は予定ないですし、行きましょう」

「ありがとうございます。それではお二人も呼んできますね」

 

 早速立ち上がり、能力者犯罪捜査官のお二人の元へと向かう彼女を見送る。なんとなく浮かれ気分な空気を醸している背中に、そんなに嬉しいのかなと首を傾げつつも微笑ましさを覚える。

 香苗さんの実家、正直楽しみなのと怖いのとが半々なんだよね、正直。なんだかんだ豪邸にお泊りってワクワクもあれば、まだ見ぬ親戚御一同様に取り囲まれていじめられてしまいそうって不安もあってドキドキしている。

 

 あとせっかく隣県での滞在なんだから、あちこち観光してみたいよなーって気持ちもあったり。いやまあ、近々では倶楽部拠点制圧作戦を展開するからそんな遊び呆けてもいられないんだろうけど。

 有名な市場とか行ってみたいんだよなあ。年末になるとたまにニュースとかで繁盛ぶりが報道されてるけど、前から気になってたりするし。

 香苗さんの実家からもさほど離れてはいなかったと思うし、行けるものなら行ってみたいもんだわ。

 

「うどんにそば、串焼き、唐揚げ、天ぷら。うーん、腹減ってきた」

「ミスター・公平。お昼の思案ですかな?」

「私らもご相伴に預かれるかねえ、公平ちゃん? ファファファ!」

「あ、ベナウィさん、マリーさん」

 

 ニュースで見て心惹かれた、その市場で売られているらしいグルメの数々を想像してよだれを垂らす思いでいると、ベナウィさんとマリーさんが俺の元までやってきていた。

 お二人ももう解散となり自由の身だ。だからか俺をお昼に誘ってきてくださっているね。

 香苗さんとの打ち合わせもあるし、俺は少し考えてからこう答えた。

 

「ええと。香苗さんやエリスさん、葵さんとこの後ちょっと話があるんですよ。たぶんお昼ごはんを食べながらになりますし、彼女達がいいと言ってくれたら俺はみんなで食べたいですね」

「なら決まりさねえ。おーい、御堂ちゃーん」

 

 話すや否や、すぐさま香苗さんに声をかけるマリーさん。こういう時この人、めちゃくちゃストレートに行くからすごいなって思う。

 見れば、香苗さんはエリスさん、葵さんにも話を持ちかけているところだ。それが声をかけられてこちらを振り向き、3人揃ってやってくる。合計6人、うーむ大所帯。

 香苗さんが、マリーさんに問いかけた。

 

「はい、どうされましたかマリーさん?」

「なんぞ話をするみたいだけど、お昼ご飯にするなら私らも加えてもらえないかねえ? ベナウィと二人で飯ってのは、いかにも味気ない」

「それにせっかくこうしてお会いしたのですから、話す機会は多いと嬉しいものですからね。何せ今月末にはもう、我々もホームに帰りますし」

「あ……そう言えばそうでしたね」

 

 あんまり意識してなかった事実に思わずつぶやく。そういやそうだ、マリーさんにしろベナウィさんにしろ、あるいはリンちゃんソフィアさん、ヴァールにしても……みんな今月末でそれぞれの居場所に帰っていくんだ。

 あくまで彼らは説明会、および祝勝会の名目での一時バカンスに来ているだけだからね。それがなんの因果か、来日してまでも厄介ごとに巻き込まれているのは、なんだか申しわけないなあ。

 

 とはいえ、またベナウィさんと一緒に戦えるのは嬉しい限りだ。本当はダンジョン探査であってほしかったけど……スレイブモンスターもモンスターなわけだしね。同じということにしておこう。

 マリーさんにも、風間さんというすごい腕利きさんを味方に呼んでいただいたみたいで頭が上がらない。

 本当、この人には出会った時からずーっとお世話になってるよ。

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― 新着の感想 ―
[一言] これでもか! というくらいの戦力……なんなら世界の命運がかかってるときのレベルであるw
[一言] 確かに、マリーさんには戦闘面でも精神面でもお世話になったので、頭が上がんないだろうなぁ…(「山形公平」個人としても、「システム領域側のコマンドプロンプト」としても)。
[一言] 親戚一同に救世主を紹介できるから、狂信者がうっきうきしてる……
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