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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
第二部・第八次モンスターハザード編

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お偉いさんばかりの中に放り込まれた哀れな山形

 能力者犯罪対策課の隣りにある、小さな会議室。

 そこには軽く20人分くらいの席とテーブルがあり、そのうち2つにはすでに男性と女性が座っていた。

 見覚えがうっすらある顔だ。春先、本当に探査者になって間もない頃にお会いしたことがある。

 

「え、と……全探組の新川さんと、WSOの烏丸さん?」

「おお、山形さん。覚えていてくれているとはとても光栄です」

「お久しぶりです、山形さん。お元気そうで何より」

 

 男性のほうがたしか、日本における全探組の理事を勤めていらっしゃる新川さん。そして女性のほうがWSO日本支部で局長補佐だったか、をしていらっしゃる烏丸さんだ。

 うろ覚えの割にベストアンサーだったみたいで、お二人揃ってにこやかに会釈してくれている。

 

 失礼がなくてよかったけれど、そもそも各組織のお偉い方々がなんでここに?

 そろそろ俺だけ場違いなんですけど。久々に味わうよこの感覚、周りは社会的立場や名声のある方々なのに、一人ぽつねんとパンピー山形くんが紛れ込んでいるんだ。地獄だよこれ。

 

 視線でヴァールに疑問を呈すると、彼女はそれに答えて説明してくれた。

 

「昨今の倶楽部にまつわる状況を鑑み、我々WSO本部はWSO日本支部は元より日本の全探組、警察庁、およびダンジョン聖教と協力関係を結びことにあたることとなった。今回の協議においては顔合わせの意味もあり、各組織の責任者を呼んでいる」

「そ、そうなんだ……その、ということは今さっき一緒に来られた方は、警察の?」

 

 怖ぁ……ってことは関係各所のお偉いさんを、片っ端から呼んでるってことかよ。

 そうなるとさっきから、冷や汗をかいてことの成り行きを静観していらっしゃる隣のおまわりさんの方も当然、相当な役職の方なんだろうなあ。

 

 この方についてだけお伺いしないってのもアレだし一応聞いては見るものの、いよいよ狼の群れの中にひつじが一匹迷い込んだみたいなぼっち感に苛まされそうだ。

 俺の質問に、おまわりさんがアッハイと短く答えて名のりをあげた。

 

「遅ればせながら初めまして。私は警察庁は能力者犯罪警察局で局長をしております、郷田です。どうぞよろしく」

「け、警察庁……そ、そうですか。あの、山形です。よ、よろしくおねがいします」

「お噂はかねがね。今回の件は皆様方と足並みを揃えて対応して行きたく思います」

 

 うわぁ、やっぱり局長クラスじゃ~ん。しかも警察庁って、県警どころか国家レベルじゃないですかやだー!

 新川さんにしろ烏丸さんにしろ郷田さんにしろ相当な大物三羽烏でビビり倒しちゃう俺ちゃん。いやでも、こっちにはヴァールってかソフィアさんだっていてくれるんだと内心で彼女を頼る。

 

 彼女達こそ泣く子も黙る世界レベルの大物、WSOの統括理事様なんだ。そんな人とそれなりに親しくやらせてもらってるんだから、仮に俺がなんかやらかしても即退場とかってならないはずなんだ。

 心の中で必死に平静を保ち、あまつさえ虎の威を借る狐そのものな思考を展開する俺。脳内でアルマさんが呆れたようにつぶやくのが聞こえた。

 

『君さあ、もしかしなくても社会的権威に弱すぎるだろ……世界全体における格で言えば君、そもそもこんな小さな星1つってレベルじゃないだろうに』

 

 うるさいよ! だって相手は社会的に地位のある方々なんだぞ、一般探査者なんて秒で塵芥にされてしまうんだ、主に社会的に!

 そしてコマンドプロンプトだのシステム領域だのの話は、それが通じる場所でのみ通じるのだ。アルマの言い分にも一理はあるけれど、人間社会においてのコマンドプロンプトなんてぶっちゃけパソコン用語にすぎない。

 格もへったくれもあったもんじゃないのだ。

 

『やれやれ、世界の物差しが小さすぎて未だ、僕や君のスケールは測れないってわけか。やはり不完全なものは愚かで醜いね。評すべきモノを正しく評するだけの、知恵も感性も持ち合わせてはいないのだから』

 

 あ、出た。傍迷惑な完璧主義。

 さすが何百年と拗らせてきただけはあり、ちょくちょく垣間見せるんだよねこいつ、"完全なる存在"への執着を。

 そのせいでいろんな世界、多くの魂が犠牲になった挙げ句にこいつ自身までこの有様なのにね。

 

『うるさいよ! もういい、勝手に塵芥相手にペコペコしてなよバーカバーカ! お昼ご飯はこいつらになんか豪勢なものでも奢らせろ! お偉いさんならそれくらいさせろよな!!』

 

 すっかりプンスカしちゃってアルマさんたら、とんでもない無茶振りかました挙げ句に終いに黙り込んでしまった。

 まあ、本気で怒ってるわけじゃないのは分かるんだけどね。そろそろこいつの機微も判別がつけられるようになってきたあたり、魂レベルで一緒なのって影響大きいよなあって感じるよ。

 

「よし、それでは各自好きなところに座ってくれ。話し合いは急務だ」

「行きましょうか公平くん。私の隣にぜひ、お座りくださいませ」

 

 ちょうど会話が途切れたタイミングでヴァールの呼びかけがあった。同時に香苗さんに手を引かれ、彼女と横並んで座る。

 すぐに婦警さんがコーヒーを人数分用意してくれて、そこから話し合いが始まった。

ブックマークと評価のほう、よろしくお願いいたしますー


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よろしくお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
[一言] アルマ的評価だと伝道師が一番正しいということにw
[良い点] 山形はよくよく考えてみれば権力者と素面で縁を結んでいて、 ある意味コミ強だな。 [気になる点] 今回の話とは関係ないのですが質問させて頂きます。 スキルや称号で獲得した本人にデバフ(例えば…
[一言] 人に囲まれて緊張しちゃうときは、人を野菜だと思えばいいのだ!
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