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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
第二部・第八次モンスターハザード編

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悪の組織あるある:とにかくしつこい

「委員会という組織自体は、ヴァールさんが鎮圧した第一次と、その後の第四次から第六次にかけてのモンスターハザードにおいて存在が確認されている。このへんももう、山形さんは聞いているっぽいね」

「あ、はい。第一次の時に取り逃がした幹部が、第六次の時でも活動していたとかなんとか。香苗さんは聞いてましたか?」

「注意喚起程度には耳にしています。モンスターハザード自体は、予てより資料等で知っていましたが」

 

 倶楽部の上位組織にして、過去何度となく歴史の陰から恐るべき事件を巻き起こしてきた謎の組織・委員会。

 俺はこの間、アンジェさんとランレイさんがヴァールを伴って挨拶をしに来てくださった時に初めて知った話なんだけど、香苗さんは以前から調べたりして知っていたみたいだ。さすがだね。

 

 かつて七度起きたとされるモンスターハザードの、実に半分以上を引き起こしたなんてとんでもない連中もいたもんだ。

 もっというとそんな事件の解決に、大きく関わった人と今こうして話をしているってのも、なんていうかすごい縁だなって思うよ。

 

「第一次がヴァールの活躍で鎮圧されて、第二次がエリスさん。第四次がマリーさんが18歳の頃に起きたとも聞いていますね」

「そうそう! いやあ、第四次モンスターハザードの時は私も参加してたけど、マリーの暴れ方はすごかったよ。気性も荒いことこの上なかったし、歳を取っていい感じに落ち着いたのが嘘みたいだもの」

「そ、そんなに暴れたのですね、マリーさん」

 

 香苗さんが驚いてつぶやく。俺同様、若い頃のマリーさんがそんな血気盛んだったことについて信じがたい様子だ。

 マリアベール・フランソワといえば偉大なS級探査者で、人柄も優しく穏やか、常に優しさを忘れない正しく人格者──というのが俺の感覚なんだけど、たぶん香苗さんも同じように捉えているんだと思う。

 だから、いくら若い頃とはいえそこまで暴れまくったってのは、いまいちピンとこなくても仕方ないところはあるよね。

 ちなみに、とエリスさんが補足説明を付け足す。

 

「葵のお爺さん、早瀬光太郎も第三次の時に活躍した探査者だったりするよ。その縁で私がこの子の面倒を見ることになったのが、えーと16年前だっけ」

「それ初めて会った年ですよね、師匠。弟子入りしてからはまだ5年ですよ」

「あ、そうだった失敬失敬。ハッハッハー」

「師匠たらおっちゃめー! はっはっはー!」

 

 仲良しすぎてもうなんか、姉妹か何かみたいにすら見えてくる師弟の重なった笑い声はともかく。

 まさかの葵さんのおじいさんは第三次モンスターハザードにてご活躍されていた探査者さんだったらしい。

 

 いよいよ縁者ばっかりだ。というかエリスさんの人脈の太さゆえだな、これは。

 不老の存在として、大ダンジョン時代の多くの場面に当事者として関わってきたのだろうし、比例して友人知人も多いのは当たり前の話なんだろう。

 ひとしきり笑い終えて、エリスさんはさてと切り出した。

 

「とまあそんな感じで、懲りずに何度も仕掛けてきては都度、時代時代のトップエースたちにバチボコ叩き潰され続けているのが委員会って組織なんだけど。今回はどうも、やり口を変えているみたいでね」

「自分たちの組織で直接事件を起こすのでなく、下位組織を作ってそれにやらせることにしたみたいなんです。今回の件だと倶楽部ですが、他にもいくつか傘下と思われる組織の存在は見え隠れしています」

「子分を抱えて、そいつらに間接的に犯罪をさせているわけですか」

 

 これまで4回もやらかして、その度に各時代の最強格の探査者たちに止められてきたという委員会。それが今更になって手口を変えたという。

 傘下組織を複数、拵えることができるだけの力があるってのも怖いけど……何よりここに来て突然、手口を変えたってのが不気味極まりない。何のつもりでそんなことを始めたんだ?

 エリスさんは肩をすくめて、俺の疑問に答えてくれた。

 

「37年前に起きた第六次モンスターハザード。そこを最後に委員会は姿を晦ませたままなんだ……今に至るまでの40年近く、それだけの時間があれば向こう側も世代交代していてもおかしくはないよ」

「もっと言うと、やつらが起こした4度の事件の間でもそれぞれ、短くても7年長いと25年の間隔があります。委員会という組織そのものは変わらずとも、中身はそれ相応に変化していっていると見ていいでしょう」

「なるほど……」

 

 たとえ犯罪組織でも、歴史が長いといろいろあるだろうしな。100年近い時の流れの中で、そりゃ世代交代の2回3回くらい起きていてもおかしくないか。

 まして委員会は37年もの間、影に潜んで行方を眩ませていた。その間、倶楽部創設も含めてさぞかしいろいろな変化や暗躍を行ってきたことは想像に難くない。

 

「委員会は直接動かず、手足として倶楽部だのなんだのと創り上げた組織を動かす。シンプルだけど、まあ確実にやりづらくはなってるんだよ、あいつらの今回のやり方は」

 

 やれやれと、ジェスチャーで呆れを表現しつつもエリスさんが言った。

 本丸の委員会だって狙い撃ちたいだろうこの人からすれば、まさしくトカゲの尻尾も同然な倶楽部を間に立てられたってのは……率直に面白くはないだろうなあ。

ブックマークと評価のほう、よろしくお願いいたしますー


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よろしくお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
ヘッドハンティングされかけた勇者ちゃんは当然警備対象だよねぇ。(付属のお菓子な三人組も。)
[一言] なるほどドクロベエ様がドロンボー一味を操るように… 今回山ンプトの無力化に失敗した3人組はお仕置きだべ…!?
[一言] もう600話か はええw おめでとさんです
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