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妖怪居合婆さんと妖怪年齢不詳があらわれた!

 その後おかし三人娘は、近くにいた関口くんのほうにも挨拶に行った。実際には3人というか、チョコさんが他二人を引っ張って彼のところに突撃していった感じになるのかな。

 相変わらず関口くんラブ! って感じの情熱を纏って絡んでいくチョコさんは、誰がどう見たって恋に対して猪突猛進な乙女だ。

 嵐が去ったとばかりにホッと一息ついていた梨沙さんも、一目見てそれを感じ取ったらしく。そのことについて俺と二人、話し込んでいた。

 

「さっきの、チョコさん? 関口のこと好きなんだね」

「みたいだね。普段からすごくまっすぐに、彼にアプローチしてるみたいだよ」

「なるほど……で、アメさんとガムさんはそれを応援してると」

「そう、なるかな? 少なくとも邪魔をする気はなさげだけど」

 

 明らかに関口くんにお熱な様子のチョコさんを、そこそこ距離を空けた遠巻きからアメさんとガムちゃんが眺めている。面白がっているというか、生暖かく見守ってる感じだ。

 探査時はいつも一緒なんだ、当然チョコさんの想いには二人とも気づいているんだろう。あるいは直接、恋バナ的な感じで聞かされているのかもしれないね。

 

 創作ダンスは次の演目に入り、今度は近くの中学校の軽音楽部の子たちがバンド演奏をして、それに合わせてダンスを披露している。

 ギター弾けるのいいなあ、などと思いながらなんとなくそっちに視線を向けていると、不意に梨沙さんがでも、とつぶやいた。

 

「青春って感じだけど……関口の周りの女子からしたら面白くなさそうだね」

「え? ……あっ」

 

 苦笑いして言ってくる梨沙さんに、関口くんたちの周囲を見る。すると、我らがクラスの女子たちが数人、とんでもない目でチョコさんを睨んでいるのを発見してしまった。怖ぁ……

 グループの何人か、いつも彼にくっついている女子たちだ。ご多分に漏れず関口くんの外見と、探査者というステータスにすっかりメロメロみたいで、その様子は一学期中しきりに視界に入って来ていた。

 

 なんなら今日だって、そんな調子だったわけなんだけど。そんな彼女らにしてみれば、チョコさんはまさしくいきなり現れた泥棒猫ってなもんなんだろう。

 下手に見てると、ふとした瞬間に視線が合いそうで怖い。ゾッとする思いで俺は視線を梨沙さんに向け、心なし小声で彼女に言った。

 

「ど、ど、どうしよう。し、し、修羅場だよ」

「どうもできないし、する義理もないじゃん私らには。そんなビビったらかわいそうだよ? みんな、恋してるだけなんだから」

「いやそりゃまあ、そうなんでしょうけれども」

 

 不躾な視線と考えだったのは事実なので、梨沙さんにも反論しづらいけど。いやでもやっぱ怖いものは怖いよー。

 関口くんの周りの男子、陽キャくんたちが居たたまれなさそうなのが気の毒だ。同じグループ内で発生した修羅場、逃げるのも陽キャの絆としては難しいんだろう。

 

 リア充も大変だなあ、とそんなことを思う俺。そんな折、背中をちょいちょい、と叩かれる感触があった。

 なんぞや? と振り向くと、そこにいたのは。

 

「お、やっぱり公平ちゃんかえ。さっきぶりさね、ファファファ!」

「あらあら、お友達とご一緒みたいですね。これは申しわけないタイミングでお声がけしてしまったかしら」

「……マリーさん! ソフィアさん!?」

 

 さっきの探査帰りでもお会いした、マリーさんとソフィアさんのWSO役員コンビだ。二人とも軽装ながら、上品な色合いの服を着て並んで俺の前に立っている。

 来てたのか。周囲にリーベたちの姿が見当たらないので、おそらく早めに来て二人で先にいろいろ見て回ってるってところだろうか。彼女らが集合する予定の18時には、まだもうちょい時間があるしね。

 

 しかし、おかし三人娘に続いてマリーさんとソフィアさんまで来るとは……地味に混沌になっていっていませんかねこのホール前。

 この調子だとリーベたちグループまでやって来そうな気がして、なかなかのお祭り騒ぎになりそうな気がしてならない。いや、夜祭だけれども。

 

「公平くん、そちらのお二方って、もしかして……」

「あ、ああうん。ええと、WSOのマリアベール・フランソワさんとソフィア・チェーホワさん。たぶん梨沙さんも、テレビとかで知ってるだろうね」

「ファファファ! "老いぼれ居合ババア"なんつって珍動物特集でも組まれとるのかねえ!」

「あらあら、だったら私は不老不死疑惑のオカルト番組に題材にされてるかも。うふふふ!」

「怖ぁ……」

 

 渾身のギャグのつもりか知らないけど、めちゃくちゃ偉い人たちのそういうジョークはどう答えたものか困るしかない。

 ベナウィさんにうっかりジョークかまされた小早川さんもこんな気持ちだったんだろうなあ。梨沙さんも反応に困っちゃってるよ。

 仕方なし、お二人を宥める。

 

「そういう反応しづらいジョークは勘弁してもらいまして。お二人とも、早めに来てみた感じですか?」

「そうさね。あとまあ、ちょいとした野暮用もあってね」

「古い知り合いが近くに来ているそうなので、久しぶりに顔合わせでもと思いまして」

 

 話を聞くに、お二人はお二人で別な用事もあるみたいだ。

 古い知り合い……誰だろ? S級探査者の誰か、とかかな?

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんかこういう、いろいろな知り合い大集合的な話好きだなあ…長く続いている小説ならではだな。
[一言] ロクな知り合いじゃない気配……?
[一言] 「古い知り合い」の古さの度合いが気になるところ。 あのソフィアさんの古い知り合いだし……
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