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そして何よりも!コミュ力が足りない!!

 関口くんとおかし三人娘たちの、再起に向けてのリスタートが切られた。ここからが彼と彼女たちの、本当の指導の始まりってわけだね。

 じゃあ具体的にどうしようかって話になると、勢いやテンションだけではどうにもならないところもある。ここに関してはまず、関口くんが自分の言葉で説明していくみたいだった。

 

 ダンジョンの最奥、コアを回収しての帰り道を歩きがてら。指導教官として忌憚なく思うところを述べていく、彼の言葉を三人娘は真剣な面持ちで聞いていた。

 

「まず、それぞれの問題点をざっくり確認しよう……チョコ」

「はい!」

「君はとにかく考えなしに突っ込みすぎる。モンスターと見るや即座に突っ込んでしまっては、連携も何もあったものじゃない。ガムがさっきも言っていたように、独り善がりでみんなを困らせる動きだ、それは」

「う……そ、そうですね」

 

 始まるダメ出し。とりあえず問題点の洗い出しから始めるつもりのようで、まずはチョコさんの課題から関口くんはつらつらと述べていく。

 さっきも言われていたとおり、とにかく何も考えずに真っ先に突っ込んでいって事態をややこしくするムーヴ、それそのものが彼女の抱える問題点だ。

 

 事前の打ち合わせをどれだけしていてもモンスターと見れば斬りかかる暴走癖。本能的に行動するタイプの探査者もそりゃいるだろうけど、その本能が明後日の方向を向いていたらとんちんかんな動きになるのは明白なのだ。

 力なく、けれどしっかりと指摘を受け入れるチョコさんが、自分のやり方に対してそこまで頑なではないのがせめてもの救いか。

 次いで関口くんは、アメさんを呼んだ。

 

「アメ」

「は、は~い……」

「仲間の予期しない動き、この場合はチョコの独断専行だな……に対して、慌てふためくのは仕方ない。けれど、その時点でもう考えることを放棄して、誰かしらの指示を待つ癖があるだろ? それが常に悪いことだとは言わないけれど、戦闘においては誰かの負担を大きくしてしまうばかりだ。今回で言うと、ガムだな」

「わかってるの。わかってるんだけど……つい、頼っちゃうのよね〜……」

 

 心底から困った様子でつぶやく彼女。思えばこの人は、自身の問題については常に自覚的だ。だからこそ年下で、しかも口の悪いガムちゃんの指示にも素直に従っているんだろうな。

 

 テンパリがちなのは単純な経験不足だろうからじき、解消されることだろうし。指示待ちタイプなのはそれはそれでいい。

 世の中いろんな人がいるし、自分で考えるのが得意な人も、誰かの指示に沿って動くのが得意な人も、それぞれ適切な場面でそれぞれに輝くことができるからね。

 多様性を尊重する上でも、人々の個性や各自のあり方を容認する意味でも、一概に善し悪しを測ることはできない。

 

 ただ、こと今回、ダンジョンにおけるパーティ戦闘という場面においては……チョコさんにペースを乱された結果テンパッてしまい、ガムちゃんが指示を出さなければ行動不能になる、という結果になってしまっている。

 改善しなければ、パーティとして正常な機能は果たせないだろうというのもまた、事実としてあるんだよね。

 

 最後にもう一人。

 3人の中で一番負担の大きかったガムちゃんへ、関口くんは言葉を向ける。

 

「そして、ガム。君の場合は──」

「現状に問題がある割には解決しようとせず、文句と愚痴だけいっちょ前。おまけになまじチョコさんとアメ姉の面倒を見てる自負があるから、二人を馬鹿扱いしてる……ってとこですかね。自分で言うのもなんですが、能力や動き自体は文句つけるとこってないはずですよ、私」

「ん……」

 

 指摘しようとした矢先、当の本人からの自己申告がつらつらと述べられた。

 どうやらこの子も、自身の抱える問題については自覚的のようだ……なんなら具体的に言語化して伝えてくるあたり、アメさん以上に現実的かつ具体的に現状を見据えている可能性もある。

 

 文句やら愚痴が多いってのは、そこは正直仕方ない部分もあるので別にいい気もする。

 実際、自信ありげに言うだけはあり彼女だけは非常にうまく立ち回れている。それなのに何が悲しくて、年上二人の暴走やら思考停止のフォローに駆け回らなければならないのかって話だ。多少苛つくってのは当たり前の話だろう。

 

 問題解決だって言っちゃえば関口くんがちゃんと指導すればいい話だ。ガムちゃんがそこまで責任を感じる必要なんてないように思う。

 関口くん自身もそう考えているようで、すぐに彼女に対してこう答えた。

 

「前者に関しては俺の指導範囲だ、俺にこそ問題があるんだから、黙っていて正解だよ。それより後者だ、口が悪すぎる。とっさに指示を投げられるのは立派だけど、それも言い方ってものがある。煽りや喧嘩を売るみたいになったら損するのは自分だぞ」

「……ですよねー」

 

 肩をすくめて苦笑い。自分自身の辛辣さや毒舌ぶりについて、やはり言われるだけのことはあると自覚してる様子だ。

 たしかに、個性と呼ぶにはいささか言葉遣いが荒かったからね。単なる悪口みたいな指示になってしまったら、せっかくパーティ全体を考えている彼女なのに、みんなに嫌われていってしまうかもしれない。それは、悲しいことだと思う。

 

「動き方や考え方については、新潟さんが一番上手というか、一般的なのですけどね。やはり他者との連携ともなれば、頭ごなしなコミュニケーションは嫌厭されるものですから」

「結局、人と人とのやり取りですもんね」

 

 香苗さんの言葉に俺は頷く。

 つまるところ、コミュ力ってのがパーティには求められるのだ。それはガムちゃんだけでなくチョコさん、アメさんにとってもそうだろう。

 今回問題になっている連携のちぐはぐさも、そこに起因している部分は少なくないのだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] ミスターソロボッチ(脳内同居人あり)の山形君にコミュ力の必要性を説かれる……w
[気になる点] 今更だけど主人公必用?本筋の面白い話を置いておいてサブキャラだけで進む話の解説役してるだけ。
[一言] >関口くんとおかし三人娘たちの再起に向けてのリスタートが切られた。それはまあいいんだけれども。 若干飽きてきてる? おざなり感が滲んできてるぞ
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