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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
番外編

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人の急所をよくない目で見てくる娘

 香苗さんやリンちゃん、ベナウィさんは今回のイベントにおけるメインゲストらしく、控室にとおされた上で会場にて登壇するらしい。

 なんでも午後から、香苗さんとベナウィさんがちょっとした対談を行うそうで。新米S級探査者とベテランS級探査者のやり取りってんだから、マニアには垂涎のトークショーだろう。

 

 会場であるホール内の一室、講堂に移動する。いかにもここで授業を行いますよと並ぶ、長テーブルと椅子。

 どこに座っても見やすいように、講壇を底として遠くなるほど座席が高くなっていく、料理器具のボウルのような構造になっていた。

 めちゃくちゃ本格的な講堂だ。感動して思わず呟く。

 

「大学って、やっぱりこんなとこもあるんですねー……」

「この施設もつい数年前、新築されたそうなんですよ公平様。さっきの休憩所とは別に食堂があったりして、普段授業がある時は盛況なんです」

 

 宥さんが解説してくれる。正直、今ここに続々と入ってくる、イベントに参加される方々だけでも結構多いなあって思うのに、日頃はこれよりずっと多いって言われても想像がつかないんだよね。

 さておき、適当な位置に座る。手前すぎず奥すぎず、ちょうどいい感じに真ん中の場所だ。

 

 小早川さんと藤代さんはもうすでにいない。あの二人もイベントスタッフだからね、予期せぬ限界化で一時離脱したものの、本来は催し物の準備に大忙しなのだ。

 左に望月さん、右にリーベと美女と美少女に囲まれた状態で、俺は腰を落ち着けてイベントの開始を待つ。もうあと数分だ。受付をした際にもらったタイムテーブル表を眺め、呟く。

 

「ええと? 最初にカレッジサーチャーズによる研究発表と活動成果の披露会。それからですか、スペシャルゲストによるトークショーは」

「それで午前の部は終了。午後からは希望する二手に分かれて、一方は模擬戦闘演習会の実演と見学ですね。もう一方はその時間帯、伝道師香苗とベナウィさんの座談会見学です」

 

 なるほど。午前は全員一律だけど、午後からは二手に分かれるのか。

 ていうか模擬戦闘演習会ってなんだろう。戦うのかな。そんなつもり一切せずに今日、ここにいるんですけど。

 俺の戦闘スタイルは徒手空拳だから問題ないっちゃないけど、だからといってはいわかりました、俺が戦いますってテンションにはなりづらいかなあ。

 

「この模擬戦闘演習会っていうのは仮に参加した場合、探査者は絶対に戦うとかなんですかね?」

「あ、いえ。あくまで希望者だけですね。望まない方は見学という形になります」

 

 思わず宥さんに質問すると、とてもありがたい答えが返ってきた。

 そりゃそうだよね、みんながみんな、探査者と殴り合いしたいわけじゃないなんて当たり前だ。希望する人だけでそういうのができるってのは、希望しない俺にしてみれば非常に助かるよ。

 リーベがそもそも、と尋ねる。

 

「モッチー、そもそもこの演習って、探査者同士で戦うんですかー? たしか規則では、そういうのって駄目だったようなー……」

「そうですね、通常であれば御法度です。ですが演習や模擬訓練の形で、全探組に許可を得た上であればそうした行為も認められるんですよ。もちろん、怪我や事故がないように最大限の準備をしていなければ、そうした許可は決して下りることはありません」

 

 淀みなく答える宥さん。たしかに新規探査者教育の際、ちらっとだけそんな話を聞いたことがある。

 探査者同士の喧嘩や戦闘は一発重罪だけど、許可を得た上であれば訓練という形でそういった行為が認められる場合がある、と。

 大抵の場合は探査者用の訓練施設などで利用されている制度なんだけど、こうしたイベントごとにも認められることなんてあるんだなあ。

 

「探査者同士、互いの実力を確認し合う機会なんて普段はめったにありませんから。こうした機会にはこぞって参加する探査者も多いくらいなんですよ」

「ああ……リンちゃんとかそれっぽいですもんね……」

 

 ことあるごとに人の急所をじっと見つめてくる、星界拳正統継承者様を思い浮かべる。

 やたら俺と一戦、交えたがってるんだよねあの子。あんなおっかない蹴り技の数々と、執拗に股間なり鳩尾なり人中なりを狙ってくる戦闘スタイル相手に肉弾戦なんて冗談じゃない。

 そもそも、俺は人間相手に戦いたい気持ちなんて1ミクロンだってないのだ。俺はあくまでモンスター専門。能力者犯罪捜査官でもなければ、星界拳士でもないんですことよ。

 

「そろそろ始まるみたいですよー、公平さん」

 

 と、リーベが俺の肩を叩く。見れば舞台の上、何人も人が登壇していた。香苗さんやリンちゃん、ベナウィさんもいる。ゲスト用に用意された気持ち豪華なソファに座り、観客席を見回してるな。

 マイクを手にして小早川さんがやって来た。あー、あー、と小声でテストをしてからおもむろに語りだした。

 

「お待たせいたしました。それでは探査者サークル"カレッジサーチャーズ竜虎大学"による探査者イベントを開始いたします。よろしくおねがいします」

 

 巻き起こる拍手。探査者イベントの開始だな。

 …………あっ。香苗さんと目が合った!

本日7/1、本作「攻略!大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」1巻が発売されています

書籍、または電子書籍でお求めいただけます

なにとぞよろしくおねがいします

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― 新着の感想 ―
[一言] 伝道師香苗には誰も触れない。慣れなのか全力で見なかった事にしたのか。 まぁそれが無かったら午前の部が丸々伝道になってしまうか。
[一言] これが股視眈々って奴ですね!!
[一言] タイトルだけで察せられるリンちゃんw そして目と目で通じる伝道……。
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