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まんざらでもないぞ、このワールドプロセッサ!

投稿遅れました、失礼しました

 藤代さんに代わって別のスタッフの人が受付に入る。一旦、彼女は俺たちやマッチョさんと一緒に、ホール内の休憩所にて落ち着くことになった。

 窓際の席に着く。近くの自販機で買ったコーヒー缶を藤代さんに渡して、マッチョさんは穏やかに笑う。

 

「飲むんだ。一杯のカップが、人に落ち着きをもたらすこともある」

「ありがとうございます……」

 

 ぐすぐす言いながらも彼女は蓋を開け、ゆっくりとコーヒーを飲み始める。なんというかマッチョさん、物言いが紳士でいいなあ……気配感知に引っかかっているし、この人は探査者で間違いなさそうだ。

 ちびちびとコーヒーを呷る藤代さんに満足げに頷き、マッチョさんはこちらへと向き直った。

 

「先程は失礼しました。彼女は我々"カレッジサーチャーズ"のサポートスタッフの一員なのですが、以前よりシャイニングさん、あなたのファンであることを公言していましてね。まさか来るとは思っておらず、動揺してしまったのでしょう」

「そうなんですね……その、ありがたいやらなんと言いますやら。あと俺、その〜。山形と言っていただけたほうがいいかなーって」

「おっと! これは失礼、彼女がいつもシャイニングさんシャイニングさんと呼んでいるものですから、すっかりカレチャ内でも山形公平さんのことを、シャイニングさんと呼ぶようになっていましてね」

「怖ぁ……」

 

 やっぱりというべきか、マッチョさんにしろ藤代さんにしろカレッジサーチャーズのスタッフさんらしい。ていうかカレチャ内での俺の呼び名、"シャイニングさん"になってしまっているのか。

 もはや誰が誰だかわからない。せめて山形はつけといてほしかった、切に。

 

 ていうかあれだね、システムさんと名づけられてその呼び方が定着していたワールドプロセッサもこんな気分だったんだろうか。

 あいつがシステムさんで、俺がシャイニングさん。なんの因果がお互い"シ"から始まっているのがなんというか、お揃いですねと言われたらつらくなりそうだ。

 

 ────あ、称号変わった。

 感覚的に称号がアップデートされたのを察知して、俺は小声でステータスと呟いた。

 

 

 名前 山形公平 レベル759

 称号 互いに互いだけの存在、互いに互いだけの呼称

 スキル

 名称 風さえ吹かない荒野を行くよ

 名称 救いを求める魂よ、光と共に風は来た

 名称 誰もが安らげる世界のために

 名称 風浄祓魔/邪業断滅

 名称 ALWAYS CLEAR/澄み渡る空の下で

 名称 よみがえる風と大地の上で

 名称 目に見えずとも、たしかにそこにあるもの

 名称 清けき熱の涼やかに、照らす光の影法師

 

 称号 互いに互いだけの存在、互いに互いだけの呼称

 解説 お揃いですね、コマンドプロンプト

 効果 なし

 

 《称号『互いに互いだけの存在、互いに互いだけの呼称』の世界初獲得を確認しました》

 《初獲得ボーナス付与承認。すべての基礎能力に一段階の引き上げが行われます》

 《……システムさんなる呼ばれ方は、私にとって嬉しいものでした。シャイニングさんなる呼ばれ方が、あなたにとって嬉しいものだといいのですが》

 

 

『暇なのか? 君んとこのワールドプロセッサ』

 

 アルマのツッコミが入るが、それ以前の問題だ。

 システムさん呼び嬉しいのかよ。そして若干はしゃいでそうな感じでお揃いですねとか言うなよ、お前わかってやってるだろ。

 完全に人のステータスで遊んでるな、このワールドプロセッサ。第三者が見てあまりに意味不明すぎる称号ばかりよこしてくるあたり、他のオペレータはともかく俺に関してはもう、取り繕うことすらしてないわこいつ。

 

「どうかされたましたか? 山形さん」

「あ。い、いえ……そう、それでその、カレッジサーチャーズの方と仰りましたよね」

 

 噴出するワールドプロセッサへのツッコミを、どうにか内心にて留めているところにマッチョさんが話しかけてくる。穏やかな語り口に、なんだかこちらも落ち着く。

 この人、めっちゃいい声だな……低く震えて、けれど滑舌がいい。渋い吹き替え声優さんみたいでかっこいい。マッチョでスーツなのも相まって正直、すごくダンディだ。

 そんなダンディマッチョさんは、俺の確認にええ、と頷いて笑った。

 

「いかにも私が今回、イベントを主催するサークル"カレッジサーチャーズ竜虎大学"の副幹事長、小早川巌です。探査者でもありまして、この間ようやくB級に昇級しました。よろしくおねがいします」

「あ、これはご丁寧にどうもです。ええと、山形公平です。C級探査者です」

「望月宥です。同じくC級探査者です」

「逢坂美晴です。D級です」

「かわいいかわいいリーベちゃん、F級探査者ちゃんでーっす!」

 

 それぞれ探査者同士、自己紹介を行う。マッチョさんもとい、小早川さんは俺たちよりも級が上の人なんだな。たしかに落ち着いた風格と漂う威厳は、只者ではないように思える。

 次いで優子ちゃんや新島さん、宮野さんが名乗る。いきなり竜虎大学のカレッジサーチャーズの副幹事長さんと知り合うなんて、合縁奇縁だなあ。

ブックマーク登録と評価の方よろしくおねがいします

書籍1巻いよいよ明日発売になります。どうかよろしくおねがいします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 言わば文通友達くらいの関わりなのに、大分デレてるぞこのワールドプロセッサ、姿を見たのも一回だけだってのに。
[一言] これだけ騒がれているシャマ形さんがC級というのに違和感が…
[一言] カレッジサーチャーズは山形を馬鹿にしてるんだろうなと思ったらそんな事無かったw
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