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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
本編

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女神が俺にもっと輝けと囁いている

 さて俺の称号について、今までを振り返ってきたわけだが。

 残るはあの二つ。直近で──つまりはスタンピードの後に付けられた称号を確認するだけである。

 まずはまあ、比較的穏当な方から行ってみようか。

 

 

 称号 世界に気付かれ始めた人

 解説 凍った刻の歯車が、風に押されて回り始めた

 効果 半径1km内のダンジョンの場所を感知できる

 

 

「範囲内のダンジョンの位置を特定できる。これはまあ、便利といえば便利な効果ですね。低コストでダンジョン調査者になれますよ、公平くん」

「ダンジョンの発生を確認、位置を特定して調査する特殊業者のことでしたよね、たしか」

「ええ。組合と向こうの調査者協会とは、半ば業務提携のような形でもちつもたれつやっていますね」

 

 香苗さんが答えた。

 ダンジョン調査者……正式名称を第二種ダンジョン関係特定作業従事者という、この大ダンジョン時代にあってはれっきとした業種の一つなのだが、これが要するにダンジョンを発見、調査する人たちのことだったりする。

 ダンジョン踏破の際、事前に渡される資料があるじゃん。何階層で何部屋あるのか、地上から特殊な設備を使って調べてるやつ。あれを作ってるのがこの調査者で、彼らが属するのがダンジョン調査者連合、通称『調査連』という組織なのだ。

 

「ちなみにですが、我々ダンジョン探査者は正式名称を、第一種ダンジョン関係特定作業従事者と言います。第二種である調査者の方々同様、略称の方が有名になりすぎてすっかり、影の薄い名称ですがね」

「長い上に呼びにくいですしね」

「とかくお役所は、何でも長ったらしくすれば良いと思っているのですよ」

 

 肩をすくめる香苗さんの、仕草はやけに堂に入っていた。

 大人らしい、酸いも甘いも噛み分ける姿だ。

 こういう立ち居振る舞いは、俺がどれだけダンジョンを踏破したところで、そういう部分でない人生経験を重ねない限りは真似できないんだろうなあと、なんとなく感心する。

 

 にしても、この《世界に気付かれ始めた人》。

 名称からの推測になるがおそらくは例の、シャイニング山形がテレビに映ったことがきっかけで与えられたんだろう。普通に全国放送局のニュースからワイドショーまで取り上げられたからな。こっちは分かる。

 

 けれど解説文、こちらの方はなんとも意味深じゃないか。凍った刻の歯車? 何を指しているんだか。

 何か心当たりないかと、俺よりかは大ダンジョン時代に詳しい香苗さんに聞いてみても、思い当たる節はないとのこと。

 ダメ元のリーベもやはり駄目で、努力あるのみですよー! と、暗にさっさとレベルを上げて、かわいいかわいいリーベちゃんを顕現させろと催促された。こいつ、本当に顕現したら根掘り葉掘り聞き出してやるからな。

 

 さておき、最後の称号だ。

 これは……俺としてはこいつが一番の問題児だ。与えられたタイミングからしてもう、アレな感じしかしない。

 

 

 称号 生まれたての奇跡を温める人

 解説 生まれたことも、出会えたことも、共にいられることも。すべてあなたが紡いでいく、素晴らしい奇跡

 効果 絆を紡いだ人数分、保持者の魅力に補正付与

 

 

 俺が、その、香苗さんを初めて香苗さんって呼んだ、そのタイミングで。

 こんな称号を与えてくるんだからシステムさんもお人が悪い。完全にあれだ、恋愛ドラマで極まったシーンを見てキャーキャー騒ぐうちの母ちゃんと一緒のやつだろ、これ。

 おたくのとこの上司、一体何をしてらっしゃるの? リーベさん?

 

『まあまあ。出歯亀ながら祝福はしてるんですよ? 一応。それに効果もトリッキーながら、公平さんのお役に立つことでしょうし。御方の保養と思って、思って!』

 

 人を保養地みたいに言うじゃないよ。しかも効果って、これこそ俺からしたら何なんだよだわ。

 リーベと脳内でやり取りしてると、香苗さんがこの称号について語り始めた。

 

「《生まれたての奇跡を温める人》。これに関しては、正直あまり意図が分からないのですよね……私と公平くんが会話していたタイミングでの付与だったようですが、きっかけが分かりません」

「き、きっかけはともかく。効果の方もずいぶん、曖昧模糊な言い草をしてるんですよね……絆を紡ぐとはどの程度、信頼関係を築くことなのか。魅力って一体なんぞや、とか」

「保持者の魅力を高める効果は、過去に数種類存在しているのですがね。絆を紡ぐというのは初見です」

 

 A級トップランカーとして、探査業にも相当詳しい香苗さんでも、絆を紡ぐ云々の表現にうまく解釈をつけられていない様子。

 そもそも魅力ってなんだ? 過去に類似スキルがあるなら教えてほしい。問えば鐘が鳴るように、先輩探査者さんは答えてくれた。

 

「読んで字の如く、その人が、周囲からどのように見られるかに関わってくる要素ですね。基準値は分かりませんが、《カリスマ》や《リーダーシップ》、あるいは《アイドル》などのスキルでそうした表現が確認されています」

「なんとも、目立ちたがりが欲しがりそうなスキルばかりですね。それらスキルの効果は?」

「いずれも、特定の行動時に魅力が一時的に上昇するというものです。一度、《カリスマ》持ちの方がスキルを発動させているのを見たことがありますが、かなりの補正でしたよ。初対面の敵対者さえ魅了し、視線を釘付けにしていました」

 

 ふーむ。一時的でも注意を引けるってのは、様々な場面で使えそうなスキルなんだな。というか、魅力バフの効果。

 ……でも俺の場合って、あれ? 効果文見るに、もしかして永続的なボーナス付与みたいなもんじゃない? あれ?

 

「絆を紡ぐ、が分かりませんが。上手く行けば公平くんは常時、周囲のすべてを魅了する力を手にするのかもしれませんね。まさしく救世主──世界が放っておかないとはこのことです!」

「怖ぁ……」

 

 だから、せめて、オンオフくらいはこっちで制御させてくれ!

 そんな心中の叫びと共に、俺の称号振り返り会議は終わったのだった。

この話を投稿した時点で

ローファンタジー日間ランキング1位

総合日間ランキング6位

総合週間ランキング4位

を、それぞれ頂戴しております

いつもありがとうございます

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 関ぐ「俺を踏み台にしてぇ〜!(懇願)」
[良い点] オン・オフ切り替えできないと、色々引き寄せちゃうよね、きっと。ホント色々。イロモノ。 [一言] はいはいガ○アガ○ア
[良い点] 絆を紡ぐ こんなもんアレだよアレ おしべとめしべ的な
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