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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
本編

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金!金!金!探査者としてはずかしくないのか!

 リーベとのやり取りもそこそこに、俺は広瀬さんと御堂さんを交えて話をしている。

 俺のスキルや称号については、もう毎度の反応だったが広瀬さんは苦笑い、御堂さんは瞳をキラキラさせて何やらメモを取ってスマホで俺の写真を取ったりと各々らしい所作をしている。

 

 広瀬さんとしてはもう、とにかく早く検査を受けてくれってなもんなんだろうな。それで何が分かるにせよ分からないにせよ、科学的な何かを挟まなければ安心というか、エビデンスを得られないタイプの人なんだろう。分かる。

 御堂さんは……もういいや、それこそ毎度のことだ。昨日のシャイニング山形を見そびれたことがよほど堪えたのか、もう俺と片時も離れたくなさそうな感じバリバリ出してくるし。

 そのうち近所に引っ越してきたりしないだろうな? 自分で自分の発想に怖ぁってなる。

 

 さておき、話題は次に移る。

 すなわち断念する形になった俺の昇級試験。丘の上ダンジョンの攻略についてだ。

 

「結論から言えば、山形さんのE級探査者への昇級が認められました」

 

 広瀬さんはにこやかに、そんなビックリすることを言ってくる。

 

「たしかに件のダンジョン踏破は、予期せぬスタンピードの発生とその対応のため中止と相成りましたが……そのスタンピードにてあなたが見せた活躍。D級相当のモンスターたちを蹴散らし、あまつさえB級ダンジョンクラスの狼人間を打倒した姿が確認され、それを以て昇級の資格ありと組合役員会の方で認定されました」

「まあ、あいつら倒せるんならE級ダンジョンもいけるって判断には、なるんでしょうね」

「ええ。よって山形さんはこの後、受付で申請していただければ、お持ちのF級探査者証明書と交換する形でE級探査者証明書が発行されます」

「つまりはそこから、俺はE級探査者ってわけですね」

 

 はい、と笑って頷く広瀬さん。それを見て俺は、なんだかどっと、肩の力が抜けた気がしていた。

 昇級、できたか〜。俺、今日からE級かあ〜。

 と言ってはみるものの、特にこれといった感慨はない。

 

 そりゃあそうでしょ、F級になったのだって言ってしまえばつい半月前なんだもの。

 探査者にとって、級が上がることによる恩恵とか責任とかってのが、いまいちピンと来てないもんよ。

 

 そんな様子の俺に、ソファに俺と並んで座る御堂さんが、穏やかでたおやかな笑顔で説明してくれた。

 

「級が上がることで発生する変化については、新人研修でも軽く触れる程度でしたね。受付で申請時にその手の書類で説明は受けるでしょうが、一足先に私がお教えしましょう。伝道師は、時に救世主を導く存在でもあるのです」

「あっ、はい。どうも……」

 

 すっごい綺麗な笑顔から出てくるのがこの狂信者ワードだもんなあ……ある意味すごいなって思う。

 いつものことなのでもはや少しくらいの困惑しかないまま、俺は御堂さんによる探査者等級の説明を受け始めた。

 

「ざっくりとした物言いになりますが、等級が上がりまず一番の影響はやはり、探査できるダンジョンの種類が増える、ということでしょうね。これまではF級相当のダンジョンしか潜れませんでしたが、これからはE級のダンジョンにも挑戦できます」

「それに伴い、敵も強くなるんですよね」

「もちろん。ですが反面、ドロップ素材の価値も上がり、何よりE級ダンジョンはF級のそれより少し広くなるため、ダンジョンコアの価値も上がります」

 

 これは等級が上がれば上がるほどに見えてくる特徴ですね。と御堂さん。

 なるほど、ここまでは至ってシンプルだ。今までより難しくなったダンジョンに潜れて、敵も強くなる。代わりにドロップアイテムやダンジョンコアの価値も上がり、金儲けの効率が上がる、と。

 

 ふむ……正直、そこら辺にはあんまり惹かれないかな。

 ハッキリ言ってF級の時点でもう、金ならものすごーく満足していたわけで。昨日踏破した2つのダンジョンだけでも、1000万円近い実入りがあったわけなんですよ。

 まあ税金云々とか組合への協賛金とかあるから、それらがまるごと俺の懐に入るわけじゃないけど、それでも学生の身分にして大金持ちであることには間違いない。無理をして今以上、稼ぐこともないかな〜って思うくらいには。

 

 そう思っているのを察していたようで、広瀬さんが反応する。

 

「正直、そこのお金の部分というのはあまり、探査者たちの心を擽らないようですね。山形さんもそのようで」

「はあ……なんか、すみません」

「いえいえ! そういった方はよくいらっしゃいますので。それゆえ、他にも色々とサービスが開放されるわけですな」

「サービス……?」

「ええ。等級が上がるごとに、探査者組合内で受けられる各種サービスの、質が上がっていくのです」

 

 そして広瀬さんは、自分のデスクからごそごそと、何か書類を取り出して持ってきた。

この話を投稿した時点で

ローファンタジー日間ランキング1位

総合日間ランキング4位

総合週間ランキング7位

をそれぞれ頂戴しております

本当にありがとうございます

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― 新着の感想 ―
[一言] 命を掛けて挑んで居るだから、対価を求めるのは悪いことではないと思う。 いつ怪我等で引退するか分からない職業なんだから、稼げるときに稼がないとね。 後は世間からの風当たりを考えると、再就職は…
[一言] この場合税理士とかもつけてくれそうだけども紹介してもらったし……武器は使わないパーティは組めないし何かほかにサービスあったかな? 交通費・宿泊費割引? こう考えると経費で落とせるのもほとん…
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