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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
番外編

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決戦者たちの集い

 しばしの歓談──と言ってもサン・スーンさんや神谷さんの、どこか値踏みするような目つきと質問をのらりくらりとはぐらかすばかりの時間だったのだが。

 そう時間も経たないうちにもう何人かやってきた。あの最終決戦に参加した決戦スキル保持者の四人。そう、香苗さんとマリーさん、リンちゃん、ベナウィさんだ。

 

「ファファファ。久しぶりってほどでもないかね、でも久しぶり公平ちゃん」 

「やあどうも、お久しぶりですミスター・公平」

「星界拳継承者シェン・フェイリン見参っ。公平さん、久しぶり」

「こんにちは公平くん。ロビーでばったり出くわしまして、みんなで来てみました」

「みなさん! お久しぶりです!」

 

 知り合ってまだせいぜい数ヶ月だが、俺はこの人たちを深く信頼して尊敬している。大切な戦友たち。

 みな今回はダンジョン探査とは無縁の話し合いゆえ、プライベートと同じだろう私服の装いだ。

 

「マリーさん、すみません遠くからわざわざ、俺の都合に合わせてもらって」

「ファファファ! 水臭いこと言いっこないよ、友だちだろ? あんたが呼ぶなら私ゃ、どこだって行くさね。隠居して暇になったしね」

「ありがとうございます」

 

 マリーさんはクリーム色のシャツにグリーンのロングスカートで、仕込み杖でない普通の杖を突いている。この間の最終決戦を期に、完全に現役から退いた方なので、もう武器はいらないということなのだろう。

 とはいえまだまだ健在というか、覇気はひしひしと感じる。手にした杖でも、成人男性10人くらいは軽く倒せそうだ。

 三界機構・魔天を人間の身で殺してみせた、探査者としての極地に到達した彼女は、隠居してもやはり、俺にとって偉大な先達であった。

 

「ベナウィさんも、お越しいただいてありがとうございます」

「いえいえ。私も、祝勝会とあっては来ないわけには参りませんから。何しろマリアベール様はじめ偉い方の集いでしょう? 良い酒、良いつまみは絶対に出ましょうから、ハハハ。今から楽しみです」

「この馬鹿酒呑み、ずっとこんなことしか言ってないんだよ。叱っていいよ公平ちゃん、フェイリン嬢ちゃんはもう大分言ってるし」

「酒呑み、自重!」

「は、ははは……」

 

 完全に、説明会より祝勝会の宴を目的にやってきているベナウィさん。いつものスーツ姿ながら、シャツが真っ赤で派手な印象だ。前は普通に白シャツだったから、これもこの人なりのオシャレなのだろうか。

 対して酒飲みにお怒り気味のリンちゃんは、これまたポップというか……ストリート系っていうのかな? ダメージジーンズにノリの軽いプリントシャツ、上からアクセサリーをジャラジャラ付けたジャケットを羽織っている。

 なんなら帽子の上にサングラスを乗っけて、綺麗な髪もストレートに下ろしてイケイケギャルって感じだ。

 

 決戦の際の、チャイナ服と完全に印象が違う。ものすごい都会派美少女ぶりにドギマギしつつも俺は、彼女にも声をかけた。

 

「久しぶり、リンちゃん。よく似合ってるよその服、超可愛い」

「! そう!? かわいい!?」

「もちろん」

「やったっ! えへ、えへへへ! かわいい、うれしい!」

 

 嬉しそうに飛び跳ねるリンちゃん。楽しそう。

 この子はかなりのオシャレ好きで、出身が山奥なこともあり、たまに都会に出たとなれば金に糸目をつけずにファッションを買い漁るという趣味がある。

 以前、首都で買物をご一緒した時にも、見ているこっちが青ざめるような金の使い方をしていたなあ。まあ、こんな風に可愛くなって、こんな風に笑ってくれるんなら値打ちのあるお金の使い道ではあると思う。

 

「WSOの重鎮サン・スーン氏にダンジョン聖教の先々代聖女、神谷大司教……大御所が二人も、公平くんの救世主としての御光に触れに来たのですね!」

「相変わらずだな、御堂香苗。言っておくがあの二人はソフィアが呼んだから来たのだ。今後の界隈の行く末について、深く関わりのある話になるだろうからな」

「関係ありません。ここにいて、彼の話を聞くということはつまり御光に触れるということ。であれば、今の時点でどうあれ、今日中には必ずや入信することになるでしょう。伝道師ですからね、そういう道筋は完全に見えています!」

「…………まあ、思うだけなら自由か。うむ、そろそろソフィアと代わろうかな」

「なんかごめん。ほんとごめん」

 

 ヴァールをして逃避めいた人格交代を選択させた我らが香苗さんが、悲しいまでにいつもどおりだ。この人、すげえなマジで……

 

 というか神谷さんの方は明確にまずいだろう。なにしろ何? ダンジョン聖教? という宗教組織の役職付きさんだもんよ。先々代聖女とやららしいし。

 それをまさか、例の団体に引き抜こうなんてしたら間違いなくトラブルになる。老舗宗教と新参カルトが全面戦争とか、血の気の引く話だ、勘弁してほしいね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 伝道する(精神攻撃) どこぞのゲームの「啓蒙」かよ(_’
[一言] ダンジョン聖教って本来の御神体はシステムさんなんだよね多分? ならその上位存在であったりシステムさんと救世を行った山形君は……?
[一言] そうか、ここから山プロ狂の狂導を行う聖戦がヒロイン?(狂信)によって本編になるんですね…
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