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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
年末編

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ブレインがアンダースタンドをリフューズするシーン

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 電車を降りてテクテク歩いて、辿り着いたよ全探組。

 クリスマスだからかいつもより気持ち、探査者は少ない気がする……まあ祭りの日なんかにダンジョン探査ってなかなかしたくないもんな。分かるよ。


 しかして俺ちゃんは基本的にロンリー山形くんだった時期が長いもんで、たとえクリスマスに用事があったとてノリとしては平時と変わらないのだ。

 少なくとも今年以前はこんな日にも一人、家族以外と何するわけでなく家でゲームしてたからね。ははは。


「はてさて。香苗さんは談話室かな、と……変われば変わるもんだね俺も。筋金入ったぼっちが、今や誰かと待ち合わせだよ」


 独り言ちつつも談話室へ向かう。誰かと待ち合わせするなんてこと自体、学校行事でもなければろくになかったのが今年に入ってずいぶん増えたもんだと感慨に耽けつつだ。

 年末だからか、多少センチメンタルに過去を振り返っても良いかなって時期なのかもしれない。


 あと談話室へ向かう途中に見えてきたダンジョンコアのダンコちゃんグッズ物販コーナーから、努めて意識を逸らしたかったのもある。

 ともかく俺はしみじみいろんなことを振り返りながらも、談話室へと足を運んだ。


「えーと香苗さん、香苗さん、と──」

「────分かりますか分かりますねセーデルグレン我らが救世主山形公平様はありとあらゆる面においてあまりに気高く誇り高く優しく格好良くそして強い方なのですがとりわけそれはダンジョン探査のスピードにおいても発揮されているのですあなたの普段からの努力はもちろん分かっていますしスピードにかける情熱やそもそもダンジョン探査RTAなどという競技的にしてみせたジャンルについては正直なところあまり趣味ではないので見かけることも少ないですがそれでも敬意を払っているのですしかしそれでも至高の救世主様に速度だけでも勝とうというのはあまりに無理無茶無謀と言わざるを得ない私も伝道師として御方の教えとその尊さをあまねく人々に伝え広め知ろしめす使命を背負っていますがセーデルグレンあなたの友人としてはあまりに艱難辛苦が待ち受けるだろうその茨の道だけは止めておいたほうが良いと忠告する次第です」

「アドバイスとてもサンキュー! なんだがかつてのマイライバル香苗くん、そのソーニィロードこそがこのリアリスティー・トップスピードが求める境地への道筋なんだとアンダスタンしてくれるととってもグラッドなんだよね。いや君の言いたいことはよくアンダスタンしてるよ私も、だけれど私は私の前をゴーする者の存在がいるならそこにさらなるスピードのポテンシャルと私自身のポシビリティをフィーリングソーマッチしてしまうカルマディープなトップランナーなんだ。あとフレンドと呼んでくれるのすごくワンダフル嬉しいよかつてのマイライバル、今度私のトップスピードchにゲストとして呼ばせてくれたまえ!!」

「────怖ぁ……」


 何これ。思わず踵を返しそうになる談話室の地獄に俺は思わずアンダースタンドをリフューズしそうになっちゃうよ。

 というかなんであの人がここにいるんだ? 談話室の真ん中あたり、他の探査者達の目を盛大に惹きながらも激しく討論、討論? 討論かこれ、討論なの? に、明け暮れている美女二人を見る。


 一人は言わずと知れた我らが狂気の伝道師、御堂香苗さん。冬が苦手ということもあってか今日はスーツ姿ではなく、温かそうなケープコートを羽織ったジーンズ姿だ。

 しかもこれまた防寒対策にニット帽、マフラー、耳当てなんかも着けていて、非常に新鮮な姿と言えるだろう。

 あえてコミカルに表すならばそう、モコモコ香苗さんって感じだね。


 そしてそんな姿のまま、やってることはいつもの伝道なあの人に真っ向から立ち向かっているある意味勇者さんが意外な方だった。

 ダンジョン探査RTAにおける第一人者、通称トップランナーと界隈では呼ばれているらしいA級探査者──リアリスティー・トップスピードことリスティ・セーデルグレンさん。


 彼女は香苗さんとは対照的にスポーティなジャケットを羽織った長袖シャツとスカート姿で、しかし見るからに身体中にいろいろ武器を仕込んでいそうな臨戦装備状態だ。最低限の防具も、服の上から装着しているね。

 これから探査に行くのか、あるいは帰りなのか。いずれにせよまあ、それなりに武装している姿だった。


 二人はかつてのライバルというか、セーデルグレンさんが一方的にライバル兼友人扱いして香苗さんに絡んでいくような仲なんだけど、それにしたってなんで談話室でイマイチ噛み合ってるんだかいないんだか分からない謎救世主トップスピードトークを?

 周囲の人達もめちゃくちゃ注目してるし、ここに今から突入していかなくちゃいけないんだろうか。怖ぁ……家で一人でゲームしてクリスマスを過ごしたくなってきちゃったよ。


「!! 公平くん、来てくださいましたね! お疲れさまですいつもいつでも伝道師、あなたの御堂香苗です!」

「!! カムヒアしたねミスターセイヴァーシャイニング! お久しぶりだね、泣く子も秒であやすはトップランナー、ダンジョン探査RTAの頂点に君臨するこのリアリスティィィィッ・トォォォォップスッピィィィィィィドッ!! さ。ファインしてたかい?」

「は、はあ……ど、どうもです、お二方……」


 足を踏み入れないと何も始まらないにせよ、そもそも踏み入れるのが躊躇われるカオス空間。若干躊躇うそのうちに、向こうから気づいてきて二人して手招きしてきたよ。

 深淵を覗いていたら深淵に覗かれていた気分だ。腹も括りきれないうちに、俺ちゃんは半ば売られていく子牛の気分で彼女らの元へと向かうのだった。

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― 新着の感想 ―
なぜ挑むのか。そこに山形がいるからだ。を実践しちゃうのか。 でも男には敵わぬとわかっていても挑まねばならぬ時がある(女だよ!)
2026/10/21 22:15 こ◯平でーす
ゲヘナかな?
祭りの夜はだいたい会社で残業している私が通りますよっと。 けっ。 なんかセーデルグレンさんの句読点さん達も別の意味で旅立ち、いや射出されそう〜。目指すか、討論RTA〜。 あと 伝道師からは逃げられない…
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