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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
本編

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212/1865

第二段階:決戦スキルを三界機構の中枢にぶち当てよう!

「三界機構の攻略は、言葉にすると極めてシンプルです。それぞれ天、地、海の個体の中枢に、対応した決戦スキルをバフとして載せた攻撃を直撃させる。それだけです」

 

 天地開闢結界を香苗さんが無力化した後に待ち構えているだろう、三界機構。それをどうするのかとリーベが告げたのは、そんな、ひどくあっさりした文言だった。

 いや、短いな! これまでの長口上はどうした!

 

「えー……と。その心は?」

「決戦スキルの真髄は、各機構の中枢に組み込まれているモノを、邪悪なる思念から解き放つことにあります。そうすれば後は必ず、三界機構の各機は自滅を選びます」

「自滅を、選ぶ?」

「ええ。なぜならその、中枢に組み込まれているあるモノとは──それぞれの世界のワールドプロセッサなのですから」

 

 その言葉は、意外なほどしっくりと来た。驚きは少なく、むしろ納得とともに俺の胸にストンと落ちたのだ。

 三界機構が元々、この世界とは異なる世界が喰われ、やつの都合の良い形に再構成されたものならば。元々そこにいたワールドプロセッサだって、三界機構に含まれていてもおかしくはない。

 まして中枢と言うのなら、なるほどそう来るかぁってなもんで、ここまで来るともう感心の方が先に立つ。悪辣なのは悪辣なんだが、突き抜けてしまうといっそ清々しいもんなんだな。

 

「邪悪なる思念は各世界のワールドプロセッサを操り、彼らを基点にそれぞれの世界を一つの生命体にまとめ上げました。それが三界機構です。つまりは各ワールドプロセッサこそが各機の制御を司っている、脳にあたる役割なわけです」

「なるほど、だからその方々を支配から解き放つための、決戦スキルなわけですね? しかしミス・リーベ。解放したワールドプロセッサが自滅を選ぶとは、一体?」

「そこは簡単ですよー……一方的な侵略を受け、喰われ、挙げ句に醜い化物の姿にされて散々、悪行をさせられた。自我を取り戻し次第、ワールドプロセッサは自己崩壊を選択するでしょう。侵略を受けて流れ込んできた情報からも、それは読み取れます」

 

 憂鬱げにリーベが言った。どこかその表情は、痛ましげな色を浮かべている。

 まかり間違えば自分たちの世界のワールドプロセッサがああなってしまうのだろうし、立場が逆なら自壊を促されるのはこの世界の、システムさんだ。複雑な気持ちになるのは、仕方のないことだろう。

 ヴァールが彼女に代わり、続きを告げる。

 

「問題は、実際に自壊しきるまでの時間だな。おそらく中枢は支配からは解き放てても、身体までは解放できまい。となれば身体が崩壊するまで、こちらも持ちこたえる必要がある」

「持ちこたえる? どのくらい時間がかかりますか、それは」

「概ね一時間程度と予想するが、こればかりはなんともな」

 

 悩ましげに言われるが、一時間か。三体合わせて三時間……うーむ。

 悠長な気がしてならない。そんなに足止め食らったら、さすがに邪悪なる思念も色々と手を打ってくると思うんだけど。

 そこは分かっている、と言わんばかりに、ヴァールは頷いた。

 

「ゆえに。三界機構が崩壊するまでの足止めは、決戦スキル保持者、単体で行ってもらう。さすがに全員がその場で足止めを食うわけにはいかん」

「え……いやそれ、無理じゃ」

「崩壊を始めた三界機構はさすがに戦闘力が落ちていく。総出でかかっても倒し切れはしないが、一人でもどうにか足止めが可能な程度にはな。試算の結果を、この場面では信じる他ない」

「…………」

 

 集まりに、沈黙が落ちた。きっとマリーさんを除いたみんな、以前に遭遇した三界機構の姿を思い浮かべていると思う。俺もだ。

 一体一体が途方も無いプレッシャーを放つ、正真正銘の化物たち。たとえ天地開闢結界がなくとも、正規の手段で倒し切ることは到底できないのだろう……それゆえの決戦スキルだ。

 

 だから自壊させ、崩壊するのを待つ。全員で待つわけにはいかないから、対応する決戦スキル保持者で足止めする。

 それなりに理に適った話ではあるんだが、なあ。あの化物と一対一は、ねえ。

 さすがにみんな、躊躇するよ。

 

「……了解。星界拳士シェン・フェイリン、三界機構との戦いはその流れでいく」

「フェイリン、構わんのか? ワタシから言っておいてなんだが、命懸けなのだぞ」

「戦い、いつでも命懸け。まして今回は世界も懸かる。私、できる限りを尽くす。公平さんを、敵の下まで送り届ける」

「俺?」

「気付いていた、か。さすがだな。みんなもその様子では同じか」

 

 ヴァールの問いに、香苗さんも、マリーさんも、リンちゃんも、ベナウィさんも頷いていく。え、なにそれ怖ぁ。

 リーベを見ると、どこか覚悟を決めた表情で俺を見ている。俺にも、覚悟を決めろと言いたげだ……そして、彼女は言った。

 この作戦の本懐。邪悪なる思念本体を倒すための、最終地点。それは。

 

「そう、この作戦はすべて最終段階……当代アドミニストレータである山形公平さんと私、精霊知能リーベを、邪悪なる思念の本体の下へ辿り着かせるために組まれているのです」

目処が立ちそうなので、明日から3回更新します

時間はたぶん、朝か夜です



この話を投稿した時点で

ローファンタジー月間6位、四半期1位、年間5位

総合四半期7位

それぞれ頂戴しております

本当にありがとうございます

引き続きブックマーク登録と評価の方、よろしくお願いいたします

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― 新着の感想 ―
[良い点] つまりあれか 「ここは任せろ!」 「後はお願いします!」 「ファーファッファッファ!」 と主人公を見送っていく、例の奴ですね!(_’ ※次回予想を外すため、意図的に各キャラが言わ…
[良い点] つまりあれか 「ここは任せろ!」 「後はお願いします!」 「ファーファッファッファ!」 と主人公を見送っていく、例の奴ですね!(_’
[一言] 結局、最後は公平一人でラスボス端末に挑むことになるんだな。狂信者のお姉さん、いっしょに行けないのはあなただけじゃないですよ~。
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