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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
年末編

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二人で一つの精霊知能vs概念存在・戦乙女

『私の千尋は私の千尋なの! 例え話でも色目を使おうとしないでッ!!』

「ステラ、落ち着け! ──とにかく行くぜ、レギンレイヴさん!!」

「!? わ、私とて戦乙女、叶う限りの力は尽くしましょう!」

「怖ぁ……」


 織田の何気ない言葉、神奈川さんがもしフリーだったら女の人とかあてがってでもーみたいなソレに、当然ながら即座にステラが反応した。

 元より神奈川さんに対して並々ならぬ執着と愛を持つ彼女だ。たとえもしもの話であったとて、それを引き裂くような思惑を聞けば叫ばずにはいられなかったんだろう。


 落ち着けと言いたいところだけれど、それより先に当の神奈川さんが反応した。ステラを宥めつつ、なし崩しに戦闘訓練開始を宣言して飛び出したのだ。

 ここでまともに言葉で応対するのも泥沼になりそうだからだろう、咄嗟の機転かな。イヴさんも呆気にとられつつも即座に槍を構えるあたり、さすがの対応力だ。


「ふむ? 予想以上に苛烈な反応でしたね。精霊知能ステラは、神奈川千尋と一体化したことで精神的な余裕を備えているものと踏んだのですが……まるで本当に小娘のような反応をするとは」

「俺もそう思うところはあるけど、多少は堪忍してやってくれオーディン神。融合して一体化したことで結構落ち着いたにしろ、それでも神奈川さんと同じくらい彼女も現状に適応しようと一生懸命なんだよ」

「なるほど。システム領域においても史上初にして唯一無二ということでしたら、それ相応に特殊な負担はありますか。どうも悪いことを言ったようですね、他意はありませんので悪しからず」


 そして織田のほうも、予想していないステラの……言ってしまえば幼稚な反応に目を丸くしている。

 神奈川さんへの想いこそ耳にしていたものの、一体化したことでそのあたりも折り合いがつけられているものと思ってたんだろう。同時に俺の説明に理解を示してくれたあたり、やはり思慮深さと見識の広さもさすがだが。


 実際のところはご覧のとおりだ。たしかにステラも平時は落ち着いているけれど、決して現状に安堵や満足しているわけでもないのだ。

 否、むしろシステム領域でも初めてのケースを成し遂げた精霊知能として、神奈川さんともどもある種のプレッシャーはあるはずだ。新たな一歩を踏み出すとは、それそのものが大きな負担であるのはなんであれ間違いないからね。


 神奈川さんとはまさしく一心同体。今さら互いの心変わりを案ずることはなくとも、けれど防衛本能的に他者の横槍や茶々入れには過敏に反応せざるを得ない。

 それが今のステラというところかな。落ち着くにはもう少し、それこそ彼女が受肉を果たし真に神奈川さんと結ばれるまではかかりそうだよ。


「でやあっ! せいっ!! ステラ、ナビ頼む! ちょっとのことで狼狽えるな、俺はお前とともに在る!!」

『ご、ごめんなさい……!! レギンレイヴの攻撃、前方左45度から突きの一撃! 続けて二回、同じ場所に放たれるよ千尋!』

「ヴァルキリアレギオニス・ミズガルズ! ────読まれている!?」

「っ! 早くて正確な突きってのが、同じ場所に3発かよ!!」


 さておき、そんなステラを交えてなし崩しに始まった戦闘訓練は、神奈川さんの先制攻撃の形で始まった。

 鞘に納めたままの聖剣で袈裟懸け二斬撃、そこからでもステラにナビゲートを促す。彼と彼女の一番の強みは、聖剣もあるけどそれ以上に二人で一人ゆえのこのスタイルだ。


 シンプルな斬撃を難なく躱し、そこから半身になって槍を突きだしたイヴさんへの対応からもそれが分かるだろう──事前にそれを、技の内容まで完全に読み切って演算したステラが神奈川さんに叫び、対応させる。

 主体となる攻撃役の神奈川さんと、防御面について背後から岡目八目的にアドバイスするステラ。それぞれ攻撃と防御を完全に分割して担うがゆえのコンビネーションだった。


「しかし速さで打ち負けはしません──! ヴァルキリアレギオニス・ニザヴェッリル!! せああああっ!!」

『細かく突きを、無造作に!? 千尋、面で受けるのは無理だよ一旦退いて!』

「分かってる! 早々だけどぶっ放すぜ、パス・オブ・ヘヴン/エレメンタル!」


 対するイヴさん、もしや即座に神奈川さんとステラの、ある種複座的とも言える戦法に気づいたのか? 主体たる神奈川さんにとっては受けづらい、無造作で小刻みな突きを無数に放ってきた。

 これは堪らないだろう。ステラのアドバイスはある程度の先読みにかけては的確なものの、それゆえに大雑把な面単位の攻撃を仕掛けられると対応も大雑把なものにならざるを得ないからね。


 だがしかし、そこをフォローするのがやはり神奈川さんだ。シンプルな一旦後退の助言を元に、即座に躊躇なく必殺技を放つ選択をした。

 パス・オブ・ヘヴン/エレメンタル。退き際にあえて遠距離技を至近距離で放つことにより目眩ましかつ距離を取りやすくし、しかも攻撃まで一息にこなしたんだ。


 ステラの助言をそのまま呑み込んで動くだけでも大概だけど、そこに自分流のアレンジを組み込めるのが神奈川千尋の戦闘センスだ。

 むしろそうでなければ相方のアドバイスを活かすことはできまい。結局は実際に戦う彼の、戦士としてのクオリティが高いからこその二人で一人の精霊知能なんだね。

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― 新着の感想 ―
槍を使っているとはいえ、瀬川のお株を奪う、沖田ばり(かは知らんけど)の三段突き……
2026/06/20 13:39 こ◯平でーす
今この状況でステラのキレ具合にある意味一番恐い思いしとんのってイヴさんなのでは?(異性で美人で織田の部下なので下手すれば冗談を本気で実行したら候補者になりそうだし…………………というかこういった広範囲…
ステラが落ち着く(心が成熟する)のは不可能じゃないのかな? 多分、永久にヤンデレ状態かも(笑) ここまで他人に嫉妬するのは、ギリシャ神話のヘラ(ローマ神話のジュノー)くらいなものですし。 織田(オー…
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