委員会との決戦に向けて
今日からしばらくGWなので12時にも更新しますー
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三界機構の断獄と災海からの貴重な、本当に貴重な話を聞けた俺達は、そうして一連の会談を終了させた。
この場、この時限りゆえにミュトスの体内へと戻っていく三界機構達。
唯一魔天のみ、在りし日の世界についての話しをあまり語ることはなかったんだけれど……そこはむしろ当人があっけらかんと、サバサバした様子で語ってみせたのだ。
そんなに気にする話でもない、とね。
『私の世界についてはミュトスっていう、そのもの生き延びてくれた存在もいるもの。これまでも断片的に語ってくれたあの子に今後も任せるわ。もう私の出る幕じゃないのよ、語り部としてもね』
「そんなこと! ……ありませんよ魔天さん。断獄さんや災海さんにももちろん限りない敬意を抱いてますけど私としては、やはり出身世界の造物主たる魔天さんは格別に配慮したいんです」
『あっはは! アンタほんと、ノリに比べて言ってることの生真面目さったら! 良いのよ気にしなくって、私らは私らでこうなった以上はこうなったなりに過ごすだけなんだから。アンタはアンタで、この世界で得た幸運を精一杯に謳歌すればいいのよ』
「……でしたら、その幸運を謳歌します。謳歌して、その過程で魔天世界のかつてを少しずつでも語ります。それが私なりの、こうなったなりの過ごし方ですから」
どこまでも陽気な、そして楽天的な魔天のスタンス。マリーさんに倒された時にもそうだったけど、あるがままを受け入れると言わんばかりのそうした姿は潔いと言うしかないもので、俺としても感服するばかりの姿勢だ。
ミュトスなりの敬意の示し方にも笑って応える、かのワールドプロセッサだったモノには敬服するばかりだよ。
少しばかり沈黙。断獄と災海、二つの異世界における途方もないだろう世界観を、断片たりとは言え聞くという貴重な経験をしたのだ。俺としてもワールドプロセッサとしても精霊知能達としても、いくばくかの余韻に浸る間を置く。
そうしてから、俺はさておきと指パッチンして山形家のリビングから元の、データの羅列でしかない空間へと戻す。今度はちゃんと鳴らせたよ、やったぜ。
今回はこのへんだろう、もう話すべきは大体話した。
それなりに得るものの多い話し合いだったと思うよ……特に委員会についての情報共有はもちろん、断獄や災海世界についても価値ある話を聞けたからね。
であれば、まだまだ話は積もろうとそれはまた今度ということで。俺は椅子のオブジェクトが消えたことから自然と立ち上がり、ワールドプロセッサへと告げた。
「さて……概ね必要事項も話し終えたし、今回は一旦ここらへんにさせてもらうよ。ワールドプロセッサ的にはどうかな、何か他に話しておきたいことはあるかな」
「いえ、そろそろ頃合いだと私も考えていました。これ以上は必要事項からは逸れた、いわゆる雑談の領域の事項かと思いますので」
『我らの世界のあれやこれやも十分、雑談めいたものではあったがな……心遣いに感謝しようぞ、ワールドプロセッサ。おとなしく話を聞いてくれていた、コマプロならびに精霊知能達にもな』
『そうだな。ありがとよこの世界のモノ達よ、俺らの話に耳を傾けてくれて。これでちったぁ浮かばれるものもあるだろうさ』
いい加減、話し込みすぎた自覚もある。だもんで一区切りの確認をしたところ、ワールドプロセッサも理解していて快くうなずいてくれた。
なんなら災海や断獄も謝意を示してくれたよ。魔天も含めて彼らのレガシー、彼らのかつての世界についての掛け替えのない記録をここにたしかに残せたんだ。思うところはそりゃあるだろう。
それらを踏まえて俺達はワールドプロセッサへと向き直った。
ひとまずの要件の終わり。そして次なる予定としてあり得るタスク──委員会の対処について、最後に改めて確認したのだ。
「頼むぞ、ワールドプロセッサ……俺達インターフェイサーもできる限りの動きはする。彼らがもしもの存在ならば、その罪を裁きつつもしかし救えるのは俺とお前しかいないんだ」
「百も承知です、コマンドプロンプト……あなたが中心となって得てくれた情報に改めて感謝を。あなたの存在なかりせば、邪悪なる思念以降のあらゆる事態にここまで早期の決着は見られなかったでしょう」
お互い見つめ合う。
それぞれ唯一無二の存在。それだけはこの世のどんなことより変えようがない真実の二体、ワールドプロセッサとコマンドプロンプト。
それゆえに俺達は深く心の奥底で繋がっていて、だからこそ過不足なく分かり合えているんだ。
ゆえに、委員会の対応についても抜かることはない。俺は現地にてしっかりと対応し、ワールドプロセッサも"その時"に備えてくれるだろう。
彼らを。現世からは決して許せない罪を重ねた、しかしてシステム領域からはその事情を斟酌できてしまうほどに……おそらくは追い詰められているだろう彼らを裁き、救うために。
委員会がどう動くかは分からないが、きっとその時は近いと確信している。
すなわち最終決戦。邪悪なる思念の余波とも言えるこの騒動に、終止符を打つ瞬間はもうすぐそこまで迫っているはずだった。
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