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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
本編

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200/1852

あつまれ!決戦スキル保持者

 まだまだ騒がしそうな日々が続くことが半ば、確定してしまった俺の憂鬱はともかくとして。

 リムジンが軽快に走ってそれでも5時間、6時間。もう外も夕焼け超えて薄暗闇、夜が顔を出す頃合いだ。ようやく首都にまで到達して、俺たちは今回利用する宿に辿り着いていた。

 

 こないだの、大きなホテルとは打って変わって和風の旅館だ。言わずもがな広いし大きいし立派で、庭園まである。温泉も当然あるようで、ロビーにてチェックインを行いながら俺とリーベは、パンフレットを見てテンションを上げていた。

 

「へぇー、サウナもあるんだな、ここ」

「海の幸、山の幸、デザート……うふふー! 楽しみですー!」

「お前サービスエリアでしこたま、色々食ってたろ……まだ足りてないのかよ」

「はいー! 美味しいものは別腹なのでー!」

 

 別腹は良いけどせめて種類を絞ってほしい。ていうかマジでそのうち太るぞ、こいつ。

 あーだこーだ言いながら盛り上がっていると、チェックインを終えたのか受付からマリーさんと香苗さんが戻ってきた。

 

「おまたせしました。一人一部屋で予約されていましたので、今から鍵を配りますね」

「それから、先にここに来ていた子らも今、降りてきたね。ほら、あっち」

「?」

 

 指差す方に振り向く。するとそこには、見知った顔が何人もいた。

 こないだ首都に来た時に知り合った人たち──すなわちWSO統括理事ソフィアさんと、決戦スキル保持者であり星界拳を修めるフェイリンちゃん。同じく決戦スキル保持者でマリーさんの孫弟子、S級探査者のベナウィさんだった。

 フェイリンちゃんが駆け寄ってくる。

 

「公平さん、香苗さん、リーベちゃん! 久しぶり!」

「リンちゃん!」

 

 シェン・フェイリン。決戦スキル《アルファオメガ・アーマゲドン》保持者で、蹴り技を主体とする流派・星界拳の使い手だ。

 普段は長い黒髪を後ろに団子状にまとめているのだが、今はプライベートゆえか真っ直ぐにおろし、質の良い服やアクセサリーでかわいらしくも美しくファッションを調えている。

 ちなみに14歳で俺より一つ、年下だ。

 

「いよいよ決戦! あの化物ども、ぶっ飛ばす!! しゃっ! しゃっ!」

 

 ずいぶんと意気込んだ様子で、得意の蹴りを宙空に放つ。空気が斬り裂かれる音が響く。周囲のお客さんたちが、なんだなんだとこちらを見るのが分かった。

 この子結構、目立つの好きなのかな……思えば中華街でも人前でわざわざ、星界拳の演武なんて披露していたし。

 気合十分のリンちゃんに続いて、次は2mくらいの身長を誇るスキンヘッドの黒人さん。同じく決戦スキル《メサイア・アドベント》を保持するS級探査者、ベナウィさんが話しかけてくる。

 

「ハロー、ミスター山形。それにミス・リーベも。ご無沙汰というには少しばかり、早い再会ですねえ」

「いえいえ、お久しぶりですベナウィさん。今回はよろしくおねがいします」

「ええ、おねがいします。どこまでお役に立てるか分かりませんが、微力を尽くすことはお約束しましょう」

 

 おお、なんという紳士的な言動。

 穏やかに微笑むこの人がまさか、戦闘になるととりあえず大技ぶっ放してすべてを崩壊させたり、子どもの監督役だっつってんのに朝から酒を飲んだり、あまつさえ酒が飲みたくても飲めない人に当てつけめいた酒の写真を送り付けようとするいけない大人だなんて、誰が想像つくだろう。

 

 あっ、危うく当て付けられかけたマリーさんが彼の後ろにいる。なんか呆れた様子で、ため息混じりに言っている。

 

「ベナウィ、お前さんは相変わらず外面はまともだねぇ……聞いとるよ、こないだも公平ちゃんや御堂ちゃん相手にポンコツかましたって?」

「いやあ、ハハハ。ついうっかり、いつもの癖でドカンとやっちゃいましたね」

「ったく……サウダーデにあんだけボコボコにされても結局、そのうっかり癖は治らなんだねえ」

「サウダーデさんの5倍はマリアベール様に殴られた記憶がありますけどね、ハハハハ」

 

 怖ぁ……物騒な話ばかりしてるよ。

 サウダーデってたしかベナウィさんの師匠とか、聞いた覚えがある。マリーさんの弟子でもあり、だからベナウィさんにとってマリーさんは大師匠にあたるのだとも。

 そのサウダーデさんはともかく、マリーさんにうっかりする度に殴られていたってのは想像するだけで恐ろしい。さすがに仕込み杖を抜いてはないだろうけど、納められてる状態でもあの杖は痛そうだ。

 

「探査に出るたび必ず部屋一つは吹き飛ばしてたら、そりゃ毎回殴り倒すさね。あんた、今回までやらかしたら今度こそ承知しないよ」

「ええ、お任せください。うっかりベナウィは今回ばかりは封印です。できるかは分かりませんが」

「できるできないじゃなくてやるんだよ。まったく……公平ちゃん、このバカがやらかしたら遠慮なく殴ってやりなよ」

「えっ!?」

 

 俺に振らないでよそんな話!

 そりゃ、どこでもどんな時でも探査中に無差別爆撃かまされたらさすがに怒るかもだけど……

200話目です。ありがとうございます

本編も残すところ大体、30話ちょっとくらいかと思います(番外編とか外伝は書き続けますが……)

どうぞ最後までお付き合いくださると嬉しいです

よろしくおねがいします


この話を投稿した時点で

ローファンタジー週間8位、月間6位、四半期1位、年間5位

総合四半期9位

それぞれ頂戴しております

本当にありがとうございます

引き続きブックマーク登録と評価の方、よろしくお願いいたします

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― 新着の感想 ―
単純に殴るより、米噛みの辺りをグリグリとしてやった方が効果があると思います(笑)
[一言] ベナウィさん…
[一言] 何しろブッパしても敵に効かないからまぶしくて不利になるだけですからね今回w
感想一覧
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