みんな違ってみんなオンリー・ワン
無数の丸鋸型ビーム、エレメンタルスライサーがシンセシスインセクターを切り刻み光の粒子へと還していく。
一撃一撃がすさまじい威力のそれが20個以上も次々、何度も何度も切り裂いてくるんだからそりゃあひとたまりもない。
問題のない勝利。スマートかつシンプルな戦いぶりに、俺達も安心して見ていられたよ。
安全が確保された部屋に入り、シャーリヒッタの勝利を祝する。
「お見事、シャーリヒッタ。さすがの粛清担当だけあって、まったく危なげない戦い方だったよ」
「へへへ、父様にお褒めいただくのが何より嬉しいです! ありがとうございます!!」
「シンプル・イズ・ベストを体現したような戦い方でしたね。テクニックや多彩さも戦法の一つとして大いに値打ちのあるものですが、やはり極まったパワーとスピードは単純に説得力が違います」
「だろォ香苗? とりあえず一発当てりゃ勝つ! ってのがシャーリヒッタ様流よ。まあさっきも言ったが趣味的な話で言うと、やっぱ外連味が足りてねぇけどなァ」
俺と香苗さんにまずは讃えられ、照れくさそうにしながらも抱きついてくる。《鎌術》はすでに解除しており、それによって生成されていた鎌も霧散しているね。
《鎖法》の鎖もだけど、やっぱここが一番の利点だろう……出し入れ自由自在の武器。しかも魔導系や魔法系と違ってタイムラグがないため、いついかなる場合でも次の瞬間には手ぶらから武器を出して即座に攻撃に移れるわけだし。
そしてこの子の場合、その即座に繰り出した一撃さえも必殺級の威力を持つ。シンプルに威力と速度が桁違いなんだ、多種多様な技を都合に応じて使い分けする必要なんてどこにもないんだね。
《処刑人》の効果もだけどとにかく殺意が高いと言うか、身も蓋もない勝利を得ることに特化したような性能をしていると言えるだろう。
「っはえ〜、シャーリヒッタさんとこちらミュトスめの二人は、自分で言うのもなんでガンスが戦闘力面ではシステム領域でも規格外の特殊な立ち位置だとは思うんですけど……そのなかでも特徴がやっぱりそれぞれ異なるもんですねえ」
「ミュトスもどちらかと言えばワタシ同様、都合と状況に応じて三界機構の力を換装して戦うタイプだからな。ああいや、それでも最終的なフルパワーは結局シャーリヒッタ同様のパワーとスピードによる圧倒だとも思うが」
「むしろミュトスちゃんはシャーリヒッタとヴァールの戦法を切り替えられるって表現が正しい気がしますねー。《イミタティオ・トリニタス・コスモス》はヴァール的でー、《トリニタス・ヴェリタス・ウニヴェルシタス》はシャーリヒッタ的でーみたいなー」
『特に《トリニタス・ヴェリタス・ウニヴェルシタス》は時間制限付きなのもあって、瞬間的にはシャーリヒッタさんさえ超えますしね』
ミュトスが、現状戦闘面においては似たような立ち位置のシャーリヒッタと自身を比較している。揃って二人ともフルパワーならば、精霊知能の枠組みを越えてる勢いだしな。
こちらはこちらで特殊な戦法が売りだ。三界機構の力を状況ごとに使い分ける戦法と、極めて短い時間ながらそれらすべてを一度に借り受けて超火力と超速度で決着をつける戦法と。
《イミタティオ・トリニタス・コスモス》と《トリニタス・ヴェリタス・ウニヴェルシタス》。ミュトスにだけ与えられたスキル、彼女だけが借り受けられる、偉大なる三つの力。
ヴァールやリーベ、ステラが言うようにある意味ではヴァールとシャーリヒッタを足して2で割ったような性能かもしれない。正直ヴァールが比較対象としては実力的に数段落ちるところはあるけど、彼女はその分テクニカルさが頭抜けているからそこが長所だよ。
総括して、俺が精霊知能達の戦い方をそれぞれ表現する。
「パワーとスピードのシャーリヒッタ。テクニックのヴァール。それらを足して時間制限をつけたミュトス……ってとこかな、この三人については。それぞれの長所がこのへん、分かりやすく比較できるような感じになってるな」
「ですね。それで言うならリーベさんは貴重なヒーラーってことでこちらも唯一無二ですし。ちなみに俺とステラはどうでしょうか、山形さん」
「あなた方も唯一無二ですよ。対概念存在特化のエキスパートって点においては、《星明かりの聖剣》が内包するポテンシャルの高さは計り知れませんし」
「現状、現世にいる精霊知能達はみんなそれぞれオンリーワンの立ち位置を確保できているのですね。なるほどなるほど」
リーベや神奈川さんまで含めて所見を述べれば、香苗さんが感心した様子でメモを取っている。伝道師だけでなくS級探査者としても知識を取り入れようとしている姿勢はさすがだよね、この人。
そして言われたとおりで現世にて今、受肉している精霊知能達は誰もがそれぞれオンリーワンの立場と役割、そしてそれに見合った性能を保持している。誰も互いに代わりの穴埋めはできないという、エキスパートの集まりなんだ。
正直、負担が大きくなってることを思えばインターフェイサー用として、もうちょい人員が欲しいけどこれは今後の課題かな。
聞けばシステム領域の精霊知能達も、受肉してバカンスやら旅行やらのため現世に来たいとか言ってる子達も多いようだし、それが通るなら追加戦力なんかも当然ありえるだろう。
もちろん現世のパワーバランスを無為に乱さないようにしなければならないけれど……
今後のことを思えばもう数人、精霊知能の追加人員はあっても良いかもなーって今の分析で思ったよ。まあ、将来的な話だけどね。
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二巻
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三巻
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