昆虫キメラとか完全に山形特効じゃん!
インターフェイサー特別訓練! ……的なことを数日後にやるみたいなんだけど、そこに我らが伝道師香苗さんもぜひとも見学に参加したいと言い出した。
間違いなく伝道ネタの確保のためなんだろうなあって気はしてるんだけども、正味俺としては特に問題ないかなとは思っている。
でもそのへん、決めるのはやはりインターフェイサーリーダーたるシャーリヒッタだもんで、彼女に決断を委ねることとする。
彼女は少し考えてから、申しわけなさそうに香苗さんに答えてみせた。
「あー、さすがに初回はなるだけインターフェイサーのメンバーだけにしときてェんだよなァ、初顔合わせの面々もいるしよ。普段世話になってるし、父様の偉大さ素晴らしさを広報してくれてるから香苗を交えてェのは山々なんだがよ……オレとしちゃ、二回目以降にしてもらえると助かるぜェ」
「むぬぬぬ……!? それは、まあ、残念ですが……くうっ。仕方ありませんねシャーリヒッタ、ですが呼んでも良いという機会があればぜひともお呼びください。必ずやステップアップに活かしてみせますので!!」
「えぇ……?」
「なんのステップアップだ。キャリアなどがあるのか、そういうのにも……ところで見えてきたぞ、モンスターだ」
怖ぁ……まあ初回なのでなるべく身内同士の挨拶と交流も兼ねたいってシャーリヒッタの言い分は分かるよ。
それを受けて理解しつつも残念がるのはともかく、なんかその次の機会に向けて謎の向上心を発露してきた伝道師さんが真面目に謎だ。
ヴァールも呻いているけど、なんなのなんかそういうキャリアとかステップとかあるの、それ?
僕にはてんでよく分からない世界だ、そっとしておこう。ちょうどよくモンスターも見えてきたしね。ヴァールの声にみな、気配からは察知していたそのモンスター、見えてきた次の部屋のなかを確認する。
B級モンスター、シンセシスインセクター。
カマキリの上半身にサソリの尾、例の黒光りするアイツの羽をも備えているという昆虫版キメラみたいな2mクラスの巨大モンスターが一匹、そこに佇んでいた。
あっ、ダメだこれ俺ちゃん的にはあんまり相手したくないやつ! 小刻みに翅を振動させてるのマジ無理!!
「怖ぁ……」
「公平さん的にはかなりアウトなやつですねー見た目的に。リーベちゃん的にもちょーっとアンバランスすぎて気味悪いですー」
「シンセシスインセクター……B級のなかではそれなりの強敵ポジションですが、今のお二人の反応のように見た目のアンマッチさ、グロテスクさから難敵というより生理的嫌悪感を催させるモンスターとして人気はそう高くはありませんね。まあ、そもそも昆虫系モンスターの時点で嫌われがちなのですが」
「というか単純にでーっかい! ですねえ。 2mほどの昆虫だなんてのも、不自然さに余計拍車をかけてる気がします」
カマキリとサソリ、あと例の黒いのを合わせた見た目でしかも人間よりデカい。
もう役満だよ、さしものリーベやミュトスもちょっと苦笑いしてるし、香苗さん直々の解説からもあのモンスターが一般的に不人気なのが伺い知れるね。
余談ながら、一般探査者層から人気なモンスターって結局カッコいいかカワイイかのどっちかだったりする。アーマー系とか、あとなまけグマみたいなゆるっとした系とかね。
不人気側はその逆がほとんどでカッコ悪い、気持ち悪いかわいくないが多いんだけど、シンセシスインセクターはまさしく気持ち悪い側での不人気ってことだろう。
ちなみに堂々トップの嫌われモンスターはそうした美観とは一切関係ない、A級モンスターのスキルキャンセラーだ。
スキルを封印する力場を発生させるそのモンスターだけは、満場一致で古今東西の探査者達からガチで嫌われ憎まれている。見た目の快不快については各個人の物差しがそれぞれあるから一概に言えないものの、嫌がらせ性能に全振りしてるようなやつはやはり総意として嫌われるということなのだろうね。
「さぁーてさて、んじゃまあここはいっちょシャーリヒッタ様の華麗な活躍を見せるとするかァ! 《鎌術》!!」
『シャーリヒッタさん、お気をつけて!』
「あの人の鎌も、ヴァールさんの鎖と同じでスキルによるものなんですね、今さらながらですが」
「そうですね。《鎖法》と並んで《鎌術》、そしてあなたの《星明かりの聖剣》。これらはこの世に三つだけの、効果発動の段階で武器を生成できるスキルですよ」
事前宣告通り、今回はシャーリヒッタが一人で相手をしてくれる。強気で不敵な笑顔を浮かべ部屋に躍り出ると同時に、彼女はスキルを発動した──《鎌術》。
ヴァールの《鎖法》、神奈川さんの《星明かりの聖剣》と同様に即座に生み出される武器。巨大な死神が使いそうな鎌だ。
神奈川さんが聞いてきたとおりで、アレこそは世にも珍しい"スキルの効果で生み出される武器"だ。
魔導系とか魔法系の応用で、発現した現象を加工して武器にしたりするオペレータもいなくはないんだけどね……そういう使い手側の工夫によるものですらなく、完全にスキルそのものの仕様として武器をオートで用意してくれるのは現状、上記三つのスキルだけだろう。
そしてそんなだから、生み出された武器の性能も規格外だ。そもそもこれらのスキル自体、システム領域の精霊知能が扱う前提のスキルだからね。生半可なものなわけがない。
強度も抜群、威力も桁外れ。挙げ句に生成する度に毎回まったく同じ性能なので、使い捨てや交換も容易極まるチートぶりだ。
なんならヴァールの鎖の扱い方から見てもわかる通り、保持者の意思に合わせて遠隔操縦できる節も見受けられる。
シャーリヒッタの鎌も神奈川さんの聖剣も、あるいは投擲武器としての使いでもあるかもしれないね。
ともかくそのくらいすごい超性能の武器を、シャーリヒッタはこれから駆使してシンセシスインセクターを倒しにかかろうとしていた。
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第二部・第二次モンスターハザード後編─犯した罪に、等しき罰を─
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攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど
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