受肉したら即成人向けコンテンツ行きになりかねない二人
対概念存在用兵器の割には、権能を全否定する機能に全リソースを割いたっぽくて精神体への干渉についてはあまり想定してないらしい、異世界の聖剣。
これってのも、災海世界があまりにもあんまりな地獄すぎて精神体を相手取る余裕さえなかったってことが伺えるわけで、正直そこは仕方ないと言うか怖ぁ……としか言いようがないんだけれども。
それはそれとしてやはり、インターフェイサー内においても概念存在をメインに受け持っていけそうな神奈川さんがそのへん、カバーできないというのはいかにも都合が悪い。
だもんで急遽、突発的ながら俺と他の精霊知能達による"現世からの精神体、概念存在への対処法"についてレクチャーすることになったのだ。
ダンジョンをサクサク進めながらテンポよくやるよー。
「この現世に降り立ちし真なる救世主こと我らが山形公平様による概念存在への干渉方法の教授ということですねなんという素晴らしくもありがたいことでしょうこの世をあまねく創り上げた基幹存在直々に今後の現世を担う者達がいつか知らなければならないだろうことを先んじてお教え下さるとはそしてその記念すべき歴史的な光景に立ち会える我が身の幸運をも喜び誇るばかりです思えば時折救世の光的に重要かつ重大な場面に度々立ち会えないこともあり仕方ないと思いつつも本音のところでは悔しい想いをしているのは前からの話ですがだからこそとこの伝道師めは思うのですこうした場面に偶然でも立ち会えるというからには誠心誠意しっかりとそれを記録しこの目この耳この五感五体で受け止めそれを救いを求める信徒達に教え広めることに全力を尽くすべきであると今回のこうした機会も私は断じて無駄にはしません救世主山形公平様の御教えは一欠片とて残さず記し広め尽くして見せる所存ですとも!!」
「怖ぁ……」
「うーむ。まあ、今回のこの件については御堂香苗とて知っておいて損のない話ではあるし、ゆくゆくは現世にも広めていくべきなので熱心なのは良いこととは思うが……しかしなあ」
案の定だけど我らが伝道師香苗さんが大いにハッスルしていらっしゃる。句読点さん達今度はどこ行った、アンコールワットとかかな?
次の部屋に至るまでの道中、キュピーンキュピーンと目を光らせながらカメラを回しつつスマホでメモを取る気満々だよコレ。
事前に句読点あんま飛ばさないでねーとか釘を差していたヴァールなんかは当然、良い顔はしてないんだけど……
とはいえ香苗さんが今からのレクチャーをしっかり記録し、ゆくゆくは問題ない形と範囲に絞って広めていってくれるならばそれは、長い目で見れば間違いなく良いことではあるため複雑な面持ちだ。
一方、神奈川さんもかなりやる気満々というか熱意のこもった様子でステラやリーベ、シャーリヒッタやミュトスと語らっている。
彼も彼で、サークル戦においては精神体だけの悪魔をいくつも見てきているからね。今後そういうの相手を視野に入れた時、まともな干渉方法があるとないとでは段違いだと実感として理解しているんだろう。
「一応、ステラと情報や知識は共有してるんで干渉方法の理屈自体は備えてるんですけどね……やっぱりステラ経由ですから俺には付け焼き刃なところがあって、体感や肌感覚として身につけられてはいないんです。だから今回、直接ご指導いただけるのはありがたいですよ」
『ファイトだよ、私の千尋!』
「真面目さんですねー花丸、花丸! まあ、一度身につけたら忘れようもない類の技術ですからねー。ここが正念場ですよ神奈川くん!」
「このあたりの技ってのは実のところ、オレら精霊知能には標準装備ではあるぜェ。お前さんもそいつを習得できりゃ、いよいよ精霊知能としても第一歩ってところだなァ」
気炎を上げる神奈川さんに、エールを送る精霊知能達。実際、精霊知能というかシステム領域側のモノ達には当然の技法なだけに、それを身につけることこそが神奈川さんの精霊知能ライフの幕開けともなり得るかもってのはあるだろう。
ま、そう気負わなくてもそのうちできるようになる類のものでもあるけどね。精霊知能としての自分へ、理解を深めていけば自ずと悟るし身にもつくものだ。
ただ状況的に、もしかしたら近々にでも委員会との決戦もあり得るかもだし。それを考えると自然の成り行きに任せるよりかは急いだほうが良いかもな? ってのはある。
そのため一応こちらからもレクチャーさせてもらうってだけの話だよ。間に合わなくてもそれはそれで仕方ないし、フォローやサポートの手段も豊富にあるからね。
「それにそれに、頑張ったら精神体に触れるようになるわけで……もしかしたらステラさんにも触れるようになるかもですよ! うひゃーうひょひょ、なんだかラブロマンスのニオイ!?」
『そう! まさにそこが大事なのミュトス!! 受肉するのを待っていられない、私は千尋に触れたいし千尋に触れてほしい! だから身につけてほしいこの技術、そして受肉するまでもなく愛をたしかめあいたいまである!!』
「ステラ……! いやでもその技術、精々腕を掴むとか攻撃やら防御やらするとかでそんな長時間、継続して触れ合えるようなもんじゃないってお前の知識にはあるけど」
『うっ……!? そ、それはそう。あくまで干渉方法ってだけだし、具体的に長時間抱きしめ合ったりはできないよ。無念……』
「ていうかステラさん、触れるようになった途端に神奈川さんを押し倒す気満々ですねえ……まあでも命短し恋せよ乙女って言いますもんね! 私達基本不滅ですけど!」
あらー。ミュトスの軽口に応じて興奮したステラちゃんてば、現実を前に打ちひしがれちゃってるよ。
神奈川さんが概念存在に干渉できるようになれば、当然精神体としてのステラにも多少とて触れるようにはなるんだけども。ぶっちゃけそんな10分も20分も継続して触れるようなもんじゃないってのはあるからね。
現世の肉体だとそのへん、制約は当然あるのだ。
だもんでステラが本当に神奈川さんを押し倒すかどうかはともかく、それができるようになるにはやはり彼がレベル500を超えて条件を達成し、ワールドプロセッサからの受肉承認を得るのを待つしかないわけだね。
そしてその暁には、きっと盛大にイチャラブハートマークキャッキャするんだろう。これは砂糖を吐くことになりそうだ……
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