調味料たっぷりの食事、バンザイ!!
「あーっ、兄ちゃんいいもの食べてる! 私にもちょっとちょーだい!」
「きゅっ! きゅうー! きゅきゅきゅ、きゅっ!」
「お、優子にアイか。良いぞー多めに買ってるし、適当につまめつまめー」
アルマと適当にやり取りしながらもさあさあ食うべと、普段の食生活ではギリギリ足りないカロリーを補うべく間食しようとした矢先の闖入。
我らが妹ちゃんがアイを抱きしめながら部屋に入ってきたのだ。そして机の上に広げられたコンビニ満漢全席を見るなり盛大にギブミーおやつしてきたので、俺はもちろんどうぞとうなずいた。
ぶっちゃけ、胃がときめくままに買い込んだもんだから普通に買いすぎだし。晩ご飯までそう時間もないことから、一部は食いきれずに後日に回すかなーとか考えていたのでちょうど良いくらいだ。
それに優子ちゃんもアイも食べ盛りだからね。モリモリ食べてスクスク育ってほしい。やっぱり何をするにもエネルギーって必要だからね、俺もこの半年で身にしみて分かったよ。
というわけで俺の部屋内、狭いながらも置かれたテーブルの前に座布団を敷いてちょこんと座る妹ちゃん。アイも専用の椅子に座って、揃ってつぶらな瞳でこちらを見ている。
そんな一人と一匹に、適当にスナック菓子とジュースをいくらか前に差し出して俺は笑いかけた。
「はい、召し上がれ。でも晩ご飯も近いから食べ過ぎ注意だぞ? 俺はいつもの栄養補給だから問題ないけど、優子もアイも晩ご飯食べられないくらいおやつ食べてましたーなんてなったら母ちゃんが怒るし」
「もちろん分かってるって! ねーアイちゃーん」
「きゅっ! きゅきゅきゅ〜」
そもそも必要に迫られてるところのある俺とは異なり、優子ちゃんもアイも純然たる嗜好からの間食なので当然、食べ過ぎると夕食に差し支える可能性が高い。
なので程々にねと念押しすれば、仲良く一人と一匹で声かけあって笑い合う反応が返ってきた。まあ、このくらいの量なら問題はないだろうけど一応ね。
さておき、俺もさっさかいただこうか。まずはへへへ、おにぎりだ! ツナマヨネーズの入ってるやつだよ、俺これ好き。
絶妙に途中で千切れそうな紐を引っ張って開封して一口頬張る。パリパリと小気味いい音を立てて海苔ごと米を噛み込めば、海苔の塩気や風味が白米のそこはかとない甘みと絡み合って口のなかに広がっていくよ。
さらにもう一口食べるといよいよツナマヨネーズだ。まろやかで濃厚、かつクリーミィさすら感じるマヨネーズとツナの相性が抜群で、これが白米、海苔と三位一体で織りなすハーモニーときたら!
やっぱりツナマヨネーズは安定してるよなあー。
『ううむ素晴らしい! 味覚を刺激する多層的な感覚というべきか、海苔と白米だけでもシンプルながら奥深い味わいなものを、そこにツナマヨネーズが入ることで雑なまでに暴力的な旨味がプラスされている。しかし白米と海苔を阻害するほど主張するわけでなく、公平の言うように三位一体のハーモニーの様相を呈するとは……!』
脳内のアルマさんもこれにはご満悦のようで、すでになかなかのレビューが始まっちゃってる。
ちなみにここまでツナマヨを褒めているものの、アルマ自身はおにぎりのなかでは実のところ肉系や味の濃いガッツリ系のほうが好みっぽい感じだったりする。
っていうか全体的に濃口趣味っぽいんだよねこいつ。
まあ、おそらくはこの世界に至るまでの自分や三界機構の世界の食文化が、文明の発展度の関係もあって薄口気味っぽかったゆえってのもあるのかもしれない。
どうも話を聞いてると全体的に味付けが薄いっぽかったんだよな、魔天にせよ断獄にせよ災海にせよアルマ自身の世界にせよ。調味料も良くて塩胡椒、砂糖は基本贅沢品みたいなのが基本だったみたいだし。
なんならえーっと、災海世界が一番ヤバかったとか言ってたな、以前軽く話してた時に。
あんまり詳しく掘り返すと今目の前の食を楽しめなくなりそうなので簡単に言うけど、生肉生血上等が基本の混沌たる世界だったそうな。
いやもはや文明ですらなくない? と思ったんだけどそのへんどうだったんすか、アルマさん。
『うん? ……文明の方向性が食を完全に軽視してただけで、まあ、トータルで言えばそこそこだったとは思うよ。でも基本無秩序でカオスな世界観だったし、僕が言うのもなんだけど狂気的だったのはたしかだね。概念存在と現世存在があそこまで対立してたのも印象深かったしね』
軽くコメントしてくれたけどつまりそういうことで、三界機構のみならずあらゆる世界それぞれに固有の世界観があり、その内実によっては当然、文明の伸びる方向ってのも違ってくるんだよね。
災海世界は食より別の何か、アルマをして狂気的だと言わしめるほどの異なるナニカに価値を見出してそこを伸ばして発展した世界だったってことだろう。
概念存在が相当幅を利かせていて、現世存在もそれに対して全力で対抗していたみたいだし……
思うに、かなりダークな感じだったのは察しが付くよ。
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