頑張れ若人達!byシステム側のみなさん
香苗さんによる各種若手クランの解説を受け、ガムちゃん的には知りたい情報を得られたってことで大変満足というか喜んだ様子で帰っていった。
今日得た情報をおかし三人娘の残る二人、チョコさんとアメさんと共有した上で相談するのだそうだ。どこのクランに加入するべきか、そもそも加入しないという選択肢を取るべきか、と。
『まあ覇王忍者的にはぶっちゃけ、クランとか入るくらいなら自分らでクラン作ってのし上がっていくほうがやり甲斐はありそうだなって感じですけど。そのへんも含めて話し合ってみますよ』
と、そんな不敵なことをも言い残して。
さすが覇王忍者なだけはあって、ものすごい胆力というか野心旺盛さだよ。
既存クランに入って下っ端からやるくらいなら、最初から新規クランを立ち上げて下剋上を狙ってやると露骨に強気な姿勢には、さすがの香苗さんも苦笑いやら感心しきりやらだった。
でも俺としても、おかし三人娘がそういう独自路線を辿るって言うならそれはそれでワクワクするというか、期待しちゃうところはあるなあ。
なんだかんだ、あの三人にはいろいろあって肩入れしているところもぶっちゃけ、あるし。オペレータとしても人間としても好感の持てる若き才能には、自分の思う通りに道を走っていってほしいって気持ちもあったりしちゃうのだ。
「そんなふうに考えちゃうの、結構不謹慎と言うか不真面目ではあるんだろうけどな。でもおかし三人娘のあの奔放さと言うか独自の雰囲気は、結構好きなんだよなあ」
「あー、公平さん的にはたしかに好きなタイプの人間でしょうねーあの三人。我が道を行くというか、ゴーイングマイウェイというかー」
「オレ的にも好きだぜああいう三人! つうかシステム側から見て、あんなふうに自由意志で道を切り拓こうとする人間って割と好感持たれがちなんじゃねえかなァ」
と、お家に帰ってひとしきり落ち着いた段階で、毎度ながら自室に遊びに来ているリーベやシャーリヒッタを交えて今日あった話をしつつ所感を述べる。
本音で言うんだけど俺、おかし三人娘は割と本気で応援してるんだよね。
なまじ人間としての山形公平がそんなに弾けられない性格というか、場の空気に潜んで密やかに佇みがちな性格だってのもあってか……
ああいうふうに自分の信じた道の前には世間なんか知ったこっちゃないぜ! みたいに生きていける彼女達の姿は、なんだかとても眩しく見えるのだ。
話を聞いたリーベやシャーリヒッタも同意を示すとおり、あるいはシステム側の存在的にも彼女らのような存在は好ましく映りがちではあるだろう。
既知より未知へ。どこまでも気持ちの望むままに挑戦しようという心構えこそが発展と進歩を呼ぶからね。畢竟、その積み重ねのはるか先に巣立ちがあるとも言えるため、チャレンジ精神豊富だったり野心的な人間は、その方向性が他者に危害を加えるものでないうちは好意的に見がちだとは思うよ。
「とはいえ、既存のクランって選択肢ももちろん悪くないことだけどな。挑戦なんてものは安定した基盤あってのものだし、それにどこにいたってできるものだし。すでにあるクランに入ったとして、そこでまた新しい何かに挑戦していくのならそれも素晴らしことだよ」
「ですねー。しかし若手クランですかー……新人探査者的のリーベちゃん達もスカウトこそされましたけど、正直ねー」
「ぶっちゃけぜんぜん興味ねえってか、それこそオレらが入るのは筋違いにもほどがあるからよ。完全ノータッチで行かせてもらいてえとこだけどよう」
「さすがに精霊知能はなあ。ステータスも実力も新人さんにカウントしちゃいけない領域だし、それこそ出る杭どころの話じゃないしな。変なやっかみやら疑念やら抱かれかねないのは分かるよ」
昨今はやりらしい、そんな若手クランからスカウトを受けていたのはリーベとシャーリヒッタ、ミュトスも同様なんだけど……さすがにシステム側の精霊知能がマジで加入したら、それはそれで別口の問題が多数発生しちゃうだろうなってのは当人達も理解しているようだ。
そもそも立場が新人なだけで実力はS級だからね。若手クランってことはベテラン勢のいないだろう人達ばかりなわけで、そんなところにデビューしたてです! つって度を超えた強さのこの子達が入ったとて、どうも軋轢の匂いしかしない。
探査者だって人間だもの。自分達にないもの、望んでも手が届かないスキルやレベルを、同じ立ち位置のはずなのにすでに持っているのが近くにいてたらそりゃ面白くもないだろうし。
そしてこの場合、それこそ立ち位置から言って悪いのはそう思っちゃうその人達ではなく精霊知能側だ。わざわざ用向きもないのに新人に混ざってドヤ顔晒すようなものだからね。
それは私達の立場がやって良いことではない。我々はあくまで我々の関わるべき範囲でのみ、現世と接していくべきなのだから。
当然そのあたりをこの子達も重々承知していて、だからこそスカウトにもなんら興味関心を抱いていないわけなんだね。
「ま、おかし三人娘も含め現世の若人さん達ガンバ! ってとこだな、こればかりは」
「ですねー。こっちはこっちでやること、ありますしー」
「インターフェイサーとかなァ。オレらは人知れず陰ながら頑張るんだぜェ」
結論づけて三人、うなずく。
彼らには彼らの領分があり、私達にも私達の領分がある。それぞれお互いの領分で、頑張れるところからやっていこうじゃないかと。
まあそんな感じな結論だった。
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