世界は広く、まだ見ぬ強者でいっぱいなんだ!
短期間の間に飛躍的なレベル向上を果たし、A級として間違いなく上澄みに近いステータスを備えるようになったアンジェさんとランレイさん。
この調子で行けば来年くらいにはいよいよA級最上位クラスとして頭角を現すことになるんじゃないかな。つまりはかつて香苗さんが鎮座していたA級トップランカーの後釜を狙う猛者達の、仲間入りをするってわけだね。
「香苗の後釜候補、現時点でも結構多いものねー。大半はパッとしないのだけど、シャルロットみたいなのも挙げられてるから大変だわ」
「あ、あとめぼしいのは……太平洋クラン"太平洋はでっかいよう"リーダーのサチコ・コールスターズ・シンドウさんとかぁ……そ、それにワン・ウェイロンさんとか周防椎真くんとか……あっ! そうそう、サウダーデ先生の娘さんも話題だよね、アンジェちゃん!」
「あー、テレサ・カザマ・シルヴァね。サウダーデさんには悪いけどあんなワガママ女、とてもじゃないけど香苗の後はこなせないでしょって思うけど。アレで強さは本物なのがねー」
「サウダーデさんの、娘さんですか!?」
つらつらお二人が挙げられていく、現時点でのA級トップランカー候補とされる探査者達の名前。
シャルロットさんは俺も知ってるし、その強さも間違いないからうなずけることとして、そこに肩を並べかねないようなのがこんなにいるのか。ていうかサウダーデさんの娘さんまで!
個人的にこれが一番驚きの情報だよ。
香苗さんと顔を見合わせる。まさしく今、後継者争いが行われている当の本人はなんら興味なさげな様子だけど、さすがにもはや仲間でありS級としての大先輩であるサウダーデさんの身内というのには驚いているようだ。
ふむ、と顎に手をやり考え込む彼女。そうしてからアンジェさんに、いくらか質問を繰り出していった。
「サウダーデさんに探査者の娘がいる、というのは知っていましたがまさかA級トップランカークラスとも思っていませんでした。アンジェリーナ、あなたにはその方と面識が?」
「ポルトガルで捜査してた頃にちょっとね。偉大なる父親とは似ても似つかない傲慢な女よ。"ワールドブリンガー"の第四位だからって相当図に乗ってたわね、アレは」
「ワールドブリンガー……世界最大のクランですか。あのマグヌス・ディエルホルンが在籍している」
「マグヌス・ディエルホルン! え、S級最強クラスの!?」
何やらいろいろ単語が出てきたけど、いくらか聞き覚えのある語句ばかりだ。えーと"ワールドブリンガー"ったら、たしかに世界最大のクランとかって言われてるアメリカのクランだ。
そもそもクランについて自体、固定パーティを持たない俺ちゃん的には縁の薄い話だもんであんまり知らないんだけどその名前だけは知ってるよ。
んでもってそこに在籍しているというマグヌス・ディエルホルンって名前の探査者についても、少しばかり雑誌で見かけたことはある。
S級探査者──とりわけそのなかでも上澄みの、当代大ダンジョン時代においてまさに最強の探査者と言うべき人の一人だと言う。
マリーさんやベナウィさん、サウダーデさんやロナルドさん、あるいはアラン・エルミードさんなども最強の探査者として語られがちだけど、ディエルホルンさんもそのうちの一人だ。
とはいえ、それ以上のことはあんまり俺も知らないんだよなあ。というわけで香苗さん、アンジェさん、ランレイさんに聞いてみた。
「えーっと、その、ディエルホルンさんって探査者はあまり知らなくて。一応最強クラスってのは存じてるんですが」
「まあS級は認知度低いし、でしょうね。ベナウィさんやロナルドさんより上の世代で、でもサウダーデさんやエルミードさんよりは下の世代──今たしか50歳そこそこだったかしら? そのくらいの人で、A級として名高かったのも私らが生まれる前の話らしいしね」
「"ワールドブリンガー"第一位の実力者にして、S級モンスターを複数体討伐した功績のある大探査者ですね。詳しい戦闘スタイルは分かりませんが、魔導系にも似た広範囲攻撃が可能だとか」
「か、かなりワイルドっていうかぁ……唯我独尊なエピソードがあるタイプの人らしくって……ま、マリアベールさんとも若い頃から何回でも揉めてるって聞くよ。その、公の場で罵倒しあったこともあるって」
「怖ぁ……」
ヤバいじゃんその人、マリーさんと複数回揉めるって相当だよ。アレな態度だったシャルロットさんにも怒らなかった人なんですけど。
それでいて世界最強クラスの強さで唯我独尊さんとか、会う機会なんてないから良いものの近くにいたら即座に家に逃げ帰っちゃうかもしれない。
そ、そんな方と同じクランにいるサウダーデさんの娘さんが、香苗さんの後釜を狙ってアンジェさんやランレイさん、シャルロットさんと競い合ってるのかぁ……
それぞれ身内の方とも知り合いなだけに、なんかやけに距離が近しい感じがするのが不思議だよ。
「ま! S級だなんだっつっても、私らはもうそういうのどうでも良くなるくらいブッチギリなのを見ちゃってるしね。正味なところ興味ないわ。ね、ランレイ」
「そ、そだね……いくら強くても、公平さんとか精霊知能の人達を見ちゃうと、ね」
「えぇ……?」
「当然のことですねいくら探査者といっても結局は現世内での話なのですからシステム領域すなわちこの世界そのものを管理するシステム側のしかも最上位存在たる我らが救世主山形公平様の存在と強さと優しさ偉大さ素晴らしさを目の当たりにすればどうしたところで我々は身の丈を思い知り気を引き締める他ありませんからね」
「急に句読点飛ばすんじゃないわよ」
怖ぁ……的確なツッコミナイスですアンジェさん。
ディエルホルンさんの強さとか風評はともかく、俺はじめ精霊知能を見聞きしている方々からすれば、どうも感覚が世間一般的なものとはズレちゃってるところはあるのかもしれない。
苦笑いするアンジェさんとランレイさんに、なんだか居た堪れなさをも感じる俺ちゃんだよ。
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