自分の限界を見定めるのもまた、才能
「え? 今のレベル? ……むしろ鑑定スキルで見ちゃってよ私らのステータスを直接。公平になら全然見せちゃうから! 口にするよか手っ取り早いでしょ、そっちのが」
「えっ。いや、でも良いんですか? 普通に個人情報ですし」
「か、か、構わないよう〜……な、夏の時に見てもらった時点でい、今さらだし」
アンジェさんとランレイさんの強さは、明確に夏の頃から数段階アップしている。それを受けて俺としては少し、お二人の現在のレベルなんかが気になったりしてきた。
だもんでストレートに今どのくらい? と聞いたところ、まさかのいっそのこと鑑定スキルで見ていいよとまで言われてしまった。
探査者にとって自身のステータスってのは個人情報、当然ながら基本的には秘匿情報だろうにすごいな、このお二方。
とはいえ以前、お二人の了承を得た上でステータスを拝見したこともありランレイさんの言うように今さら感があるのも事実か。
見れば香苗さんも穏やかにうなずいているし、だったらありがたく見させてもらうことにしようか。
俺はお二人に鑑定スキルを行使した。
「《よみがえる風と大地の上で》」
名前 アンジェリーナ・フランソワ レベル608
称号 死神
スキル
名称 剣術
名称 気配感知
名称 気配遮断
名称 隠密行動
名称 重力操作
名前 シェン・ランレイ レベル667
称号 拳法家
スキル
名称 念動力
名称 気配感知
名称 気配遮断
名称 闇魔導
「……なるほど。スキルはともかくとしてレベルは以前、拝見した時と比べても大きく高まってますね。ざっくり30ほど」
「前のレベル覚えてるんだ!? まあ公平ならそういうのもありか……そうね。私もランレイもあれからこっち、いろんなやつをしばきあげてきたから。特にウーロゴスとスレイブモンスターは結構レベルの上がり幅が大きかったわねえ」
見させてもらったステータス、スキルはまあ以前のそれに加えてそれぞれの新スキル、《重力操作》と《闇魔導》がついてるくらいなものなんだけど、レベルの上がり幅がすごい。
4カ月くらいで30も上がるなんてよっぽどだぞ。
この二人の場合、スレイブモンスターや悪魔憑きを相手取って毎日大立ち回りしていたこともあるだろうし、終盤で戦ったウーロゴスなんてのも相当な経験値になったろうことは間違いないんだけど、それにしたって破格の上昇だ。
特にランレイさんなんてもうレベルが700近い。これってたしか、探査者界隈的にも一つの区切りになる大きなラインじゃなかったかな? 彼女と香苗さんのやりとりに耳を傾ける。
「ふ、普通、半年もかけずにレベル30も上がるなんてなかなかない……えへ、えへへ。お、おかげさまで私、レベル的には本当にA級トップランカーになれちゃったり……えへへ!」
「そのラインは概ね670から700オーバーあたりで、そこから先になると明確にS級への道筋が整ってくる頃合いになりますよ。いずれにせよ素晴らしいですね、二人とも」
「私はその域まで行くのにもうちょい時間かかるわねー。ランレイとかシャルロットよりレベル的には一段二段、下がるのがなんだか悔しいわ。もっと精進しないと」
そうだそうだ、レベル700ってのが事実上A級の最大値扱いになってるんだよ、界隈的に。それ以上を超えてくるといよいよS級への道が開けてくるんだな。
歴史的に見ても、このレベルに到達できる探査者は稀だ。大体の探査者はそれ以前のどこかで成長限界というか、実力面での頭打ちを迎えるからね。
別に人によってレベル上限があるわけじゃないんだけれど、なんていうかなあ。心境的に"自分はここまでだ"という感覚になる探査者も当然多いらしいんだよ。
まあ普通に考えて、いつまでも高み目指してモンスターと果てしないバトル! なんていくら能力を得たからってやってられる人ばかりなはずもない。
どうしたって生活の安全や安定、平穏も日々を送る以上は大切なんだし、ある程度のところでもうこのあたりで良いかな……と考え、その地点より上の級に行かず、身の丈に合った規模の探査を行う方が多いんだね。
そしてこれは、システム領域のコマンドプロンプトとしてはっきり明言しておくけれど決して悪いことでない、むしろ素晴らしいことだ。率直に称賛に値する。
自分の限界を見定め、無理をしない探査活動に切り替えて持続可能なモンスター討伐の日々を送る。これだって立派なオペレータの使命遂行であり、何より人の営みだ。
どこまでも高みを目指して限界を超え続けられる人なんてそれこそ一握りなんだし、それを基準にするつもりはシステム領域にも毛頭ない。
とはいえ反面、今のアンジェさん達やS級の方々のように、果てしなく上を目指して駆け抜ける人達も言うまでもなく素晴らしいし敬意に値する。
要はダンジョン探査とモンスター討伐を念頭に置いて日々を思うがままに過ごしてくれているならば、どんな形であれシステム領域としては花丸満点をつけさせてもらう心意気なわけだ。
どっちのスタンスも大事な以上、どちらかに肩入れするとバランスが崩れるし……そうなれば元も子もない事態にさえ陥りそうだからね。
そういう意味でも、今あるこの社会の仕組みを構築して維持してくれているソフィアさんはじめWSOには感謝しきれてもしきれないんだなあ、ほんと。バランス感覚が絶妙だよ。
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二巻
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三巻
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