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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
第三部後日談編

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1872/1928

過去にも日本で起きてたぞ、モンスターハザード

 土産物も各人買い込めたことだし、再度切符を買って改札を抜けてホームへ。

 今度は来た道を戻るような感じだ──ただし乗る電車は方面違うけど。同じホームでうちの県の西側と南側と二通り向かう電車が交互に来るので、ここで間違えると余計な時間を食っちゃうから気をつけないとね。

 

「ちなみに今から行く西側鉄道は高架上を走る関係で、強風が吹くと危険だもんで割と頻繁に遅延とか発生したりする印象があるぞ。電車ってのもいろいろ大変だよなあ」

「うむ……大人数を収容して遠くまでの道程を絶え間なく走り続ける大規模インフラだからな。車もそうだし飛行機、船もそうだが、関わるものごとすべてに繊細な感覚が求められるのは間違いないだろう」

 

 ヴァールと二人、軽く雑談しつつ電車が来たのでみんなで乗る。リーベやシャーリヒッタは神奈川さんと和気藹々と話し込んでいるね。

 こういう時、意外にヴァールは社交的と言うか俺にもよく話しかけてくるから新鮮な気持ちになるんだよな。


 同世代の精霊知能たるリーベやシャーリヒッタは持ち前のコミュ力もあり、割と誰に対しても突っ込んでいけるのは分かるけども。この子もクールで冷淡な外見からギャップを感じさせる程度には話し好きな一面があるのかもしれない。

 今もこうして、俺の地元感覚から来る西側鉄道すぐ死ぬ問題についてもうんうんとうなずいてくれてるし。なんなら100年を現世で過ごした経験からの貴重な話さえ、聞かせてくれてるし。

 

「特に鉄道はな……ワタシが降り立った頃にはすでにヨーロッパを中心に敷設され運用されているところが多かったが、実のところあまり使ったことはないのだ」

「あれ、そうなんだ? それこそ大陸とかなら国を跨いであちこちだって行けるだろうし便利な気がするけど」

「なんやかやと、平時はスイスのジュネーヴにいることが多ければ外出時も車が基本だったからなあ。緊急時、それこそモンスターハザードの時なども同様だ。仲間達とともに車に乗り、決められたわけでもない道を延々走ってはどこであろうと発生させられたスタンピードに対応して回ったものだよ」

「そ、そうなんだ……」

 

 しみじみと歴史を語るヴァールに二の句が継げない。特にモンスターハザード周りにもなると、やっぱり世界どこであっても小回りの利く車での対応が基本なんだな。

 スタンピード、マジでどこでも起こってたって言うしな。そのへん詳しく聞いてみると、普通に町中に大量のモンスターが解き放たれたようなこともザラだったのだとか。

 

 他にも自然公園やら森の中やら、果ては何を思ったか険しい山脈の頂上付近を陣取るようなモンスターもいたそうで、その時ばかりは空間転移を駆使してヴァールが始末をつけたそうだ。

 懐かしいと嘯きながらも、話す彼女の表情はよほど大変な記憶だったんだろう。どことなくぐったりとした疲れが見え隠れしていた。

 

「第三次の時だ。この国の中部地方に連なる山々のなかでも、特に険しい場所にスタンピードが発生してな。当時ともに戦った早瀬光太郎やシェン・ラウエン、妹尾万三郎とともに対応に苦慮したものだ」

「に、日本国内でも起きてたんだものな。モンスターハザード……にしたって山の上にスタンピードって、辛いなあ」

「第一次も第二次も大概大変だったが、第三次もまた別口の苦戦ばかりだった記憶が強い。終いには当時、不老になったことで消息を絶っていたエリスまで公には姿を隠しながらもワタシの加勢に来てくれてな。アレは、ああ、正直なところ嬉しかったよ……ああなってもまだ、あの子はワタシを助けてくれるのか、とかな」

「…………そっか。エリスさんも、そうだよな」

 

 絡めて明かされるエリスさんの密やかな助力。それを、たとえ何十年隔てた今となっても心底から嬉しそうに、そしてどこか後悔するように話すヴァールを揺れる車内で俺は静かに見つめる。

 本当に、ソフィアさんもだけどこの子達は……この100年でたくさんのことを積み重ねてきたんだな。世界を股にかけて大ダンジョン時代を構築し、維持し、そして反社会的勢力にも対抗し続けて。

 その果てに今、こうして現代社会があるんだ。


 この子の話を聞く時、折に触れてそうした100年の歴史の遠大さや艱難辛苦に想いを馳せることが多い。俺にとっても得るものが多く、また現世人類すべてへの感謝と敬意を改めて感じられる大切な時間だ。

 願わくば同様にヴァールやソフィアさんも、俺相手に昔話をすることが精神的なところで何か、折り合いとか気持ちの整理とかにつながっていてくれるなら本望だよ。二人とも、コマンドプロンプトたる私には立場や心情の面で多少なりとも頼りたがっている節が見受けられるからね。

 どんどん頼ってくれて良い。微力ながら、全力で手を差し伸べるからさ。

 

 そうして軽く話し込むこと数分ほど。電車が長いトンネルを抜けて、高架上にある駅に停まった。ここはうちの県の西側方面の路線における入口。そして今回の目的地だ。

 みんなで降りて、そのまま改札口を出る。たしか話によると駅前にドドン! と聳えるでっかいタワーマンションらしいけど……っと、アレかな?

 

「どう見てもアレだよな。ずいぶん背が高いけど、やっぱりタワマンは違うなあ」

「アレだな。セキュリティも万全でかつあなたの家に近く、さらに御堂香苗も住んでいる点で近隣関係の担保もあるという非常に都合の良い物件だったよ」

「ここからはリーベちゃんがごあんなーいしまーす! さあさあレッツゴー、レッツゴー!」

 

 本当に駅前から少し離れたところに見える高層マンション、そこがミュトスの新居らしい。

 加えて言うなら香苗さんもそのマンションの同階層の部屋で暮らしているらしく、そういう点でもミュトスの新生活にあたって好条件の場所なんだとか。

 良いところ見つけてくれるよね、さすがはWSO統括理事だよ。

 

 はしゃぎ俺の手を引くリーベに、ついていくヴァール、シャーリヒッタに神奈川さんとステラ。

 さあてもうじきミュトス宅訪問だ。タワマンなんてめったなことじゃ近づきもしないから俺ちゃんちょっとドキドキだよ。

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何となくふと思った事。 太平洋ダンジョンみたいなのがあるという事は、人知れず海底で開いているダンジョンとかもあったりするのだろうか。 そのダンジョンが周りの情報を取り込まない普通のダンジョンで、さら…
 通行人:日本のモンハザ?ああ、見たことありますよ沢山の人が叫んでいましたね毎年起きるらしいですよ。場所?どっかの動物園だったから鳥種なんだけど白黒で飛べなくてペタペタ園内を我が物顔で歩くんですよ、そ…
ミュトスたちが住むタワマンが『救世の光』に侵食され、中の住人が全て狂信者になった時、公平はどう思うのだろう。 単に「怖ぁ」だけでは済まない気がする。 ソフィア=ヴァールが総括理事を引退した後、緩く世…
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