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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
第三部後日談編

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ステータスを用意した側からのちょっとしたネタバレ

 俺ちゃんの自由研究を前に、変な噛み合いを見せつつ盛り上がっている御三方。

 俺もミュトスもだけど、加えて周囲の人達さえ遠巻きに眺めつつの熱のこもった話し合いが今、目の前で繰り広げられている。


 さながら哲学者が集い、一つのテーマについて語らっているような光景だ。

 ぱっと見だと麗しいしアカデミックっぽさもあるけど実状は伝道師と使徒が俺を讃えつつ探査者マニア相手に熱弁を振るっている構図なんだよね。怖ぁ……

 

「予てより突如与えられるスキルというものには、その後保持者の行い次第で到達し得る"その先"があるとは知られていました。スキルそのものが変化したり、はたまた複数のスキルが一つにまとまるなど」

「はい。半世紀以上も前からそうした現象に対しては研究が行われており、スキル学でも取り沙汰している学者も少なくありません。私もいくつかのレポートは読んできましたが、しかしそれをもってなお山形くんのこの自由研究は一線を画するクオリティになっています」

「特定条件を満たすことでスキルが変質する進化スキル、あるいはマスタリースキルなどの、元々あった複数のスキルが一つにまとまるタイプ……そこまでは多少、テキストなどで私も見覚えがありますが。派生スキルというものについては寡聞にして存じませんでしたね」


 そんな彼女らはそもそも、俺が今回定義として分類した三つのスキル──進化、派生、統合という区分そのものに着目していた。

 まあ、正直だろうねってところだ。自由研究を作る際に俺も現世での現状をある程度把握したけれど、どうも人間側でそういう現象があり得ると認知できているのって進化スキルと統合スキルだけっぽいんだよ。


 つまりは派生スキルは完全スルーされていて、そんなのあるの? みたいなレベルなんだよね。

 考えてみれば当然の話で、進化と統合スキルはそれぞれ元のスキルが変異変質する形だから視覚的にも分かりやすいんだけど、派生スキルは実質新スキル獲得と同義だからね。


 ある日突然得たスキルが、ランダムで得たものなのか内部データにある特殊条件を満たしたことで得たものなのか、なんて保持者側からして分かるはずもない。

 一応、ネット動画とかだと"特定のスキルを持っている者のみが得られる幻のスキル!? "みたいな都市伝説系のネタとして扱われているみたいだけど……つまりそれって学術的には眉唾扱いされてるのと同義ってことなのだ。

 丹波先生もさすがマニア、そのへんにも明るいようで困惑しつつも俺達に問いかけてくる。


「派生スキル……都市伝説とかオカルト話としてはよく聞く類のものだけれど山形くん。君もそういったものがこの世にはあると思っているのかしら。でなければ進化スキルと統合スキルまでは分かるけれど、派生スキルをそこに並べたりはしないものね」

「えーと……まあそうですね。あると思いますよ、派生スキル。実際調べてみても分かるんですが、"元となるスキルを補強する類のスキル"が際立って目立つ分野があるんですよ。召喚系スキルなんですけどね」

「それは、たしかに論拠の一つとして上がってるのは、見るけれど」

「僕はその論拠には賛成ですね。《連鎖顕現》、《二重召喚》《武装化顕現》、その他諸々。召喚系として世間でも知られているそれらスキルはすべて、言っちゃうと《召喚》という元となるスキルを保持していることが前提です。特定のスキルを保持していなければなんの役にも立たないスキルがある以上、それらは元になるスキルから派生していると考えるべきだと僕は思っています」

 

 思っているっていうか実際、真実なんだけどねこれ。

 丹波先生には当然そのへん伝わらせないようにあくまで個人の考えとして示すんだけど、並んで聞いている香苗さんと宥さんはもちろんこれが"コマンドプロンプトによるネタバラシ"だと気づいている。

 だから見てごらんよ、目をキュピキュピ光らせてメモにペンを走らせてるよ怖ぁ……

 

 派生スキルにおける代表例を、これまで知り合った人達に関係するなかで挙げるならばやはり今言った通り、アメさんや愛知さんが保持している召喚系スキルってことになるだろう。

 それぞれアメさんは《武装化顕現》、愛知さんは《連鎖顕現》を保持しているけど、それらってのは元となる《召喚》がなければなんの効果も発揮しない、死にスキルそのものなのだ。


 当然の話だよね。召喚したモノを武器にしたりそこからさらに縁類を喚び出すスキルなんだから、まず召喚しないことには何も始まらない。

 だもんでこの手のスキルは内部データにしっかり獲得条件が定められているのだ。《召喚》スキルを保持している者に限るという、前提条件がね。

 

「たしかに、召喚系のスキルは特に《召喚》を中心に、それをサポートするかのような効果のスキルが多いわね……だけどスキル学の権威、相島教授はそうした意見に対しては"使い所の見つからないスキルを持つ探査者もいる。召喚系スキルは特にそれが多いだけだ"とする主張をしているわ。そこについては?」

「使い所が見つからないものと、そもそも特定条件を満たさなければ発動さえままならないのとでは話が異なると思いますよ? 正直なところ、このへんは学会での研究もあまり進んではいない印象はありますね、個人的にですけど」

 

 使い所がないスキル──というのは結局のところ、使い所が限定的で見つけにくいスキルってのが大半だろう。

 それこそ、たとえば決戦スキルとかね。そういうのと、《召喚》がなければ使えない、翻れば《召喚》があるなら使える派生スキルとでは分類を同じにすること自体がちょっとどうかなって思うかな、俺ちゃんとしては。

 

 ただ、正直派生スキルについての研究なんてさっき言ったとおり都市伝説扱いなもんで、まるで行われていないからね。このへんの誤謬とか誤認も当然なんだ。

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― 新着の感想 ―
最先端どころじゃない指導を受けていたわけか、おかし三人娘。そりゃ中学生マスタリースキルも対抗心燃やしますわ(ヤベー争いだ)
2025/10/23 18:22 こ◯平でーす
狂学者マッドアカデミストが公平を拉致していきそうなレベルの学術的資料だったね。 権威主義の学者/教授連中が公平を暗殺しに来たりして。(公平ならあっさり返り討ち。)
学会はそういうものだね、前提として先人やその手の権威の持つ情報を基にするせいであらゆる角度から精査するというのが大事なのに形骸化されている、じっさいに薬学で事故から生まれたとかふざけてした行為から生…
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