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ここか……アイドルライブの会場は……?

 休憩ブースとして用意された大会議室は教室にして二クラス分。かなり広々としたスペースに丸テーブルと椅子がいくつも設置されていて、さながら喫茶店のテラス席を彷彿とさせる様子だ。

 なんなら模擬店で買ったあれやこれやも持ち込めるので、来訪された方がお食事がてら小休止するのに適した場所と言えるだろう。

 

 そんな室内の三分の一くらいを、もう見た目からして彩り豊かな俺の仲間達が陣取って過ごしている。

 それはなんていうか、別に奇抜な服装ってわけじゃないはずなのにさながら仮装パーティーめいた非日常感があり、俺は一般陰キャ学生代表としてゴクリと唾を飲んだ。


 普通に世界屈指の達人レベルの集いとも言いかえられるからね。そうでなくともやれ伝道師だ使徒だ精霊知能だとやたら個性的な人達もいるわけで、なんならそこにただ一角混じっているうちの父ちゃん母ちゃんが逆に異質に思えるほどだ。

 そんななかに俺も今から突撃するのか怖ぁ……と考えつつも、その上でなぜかそんな一団に話しかけている、これまたオペレータの気配を醸す女の子達にも俺は気を取られた。

 

 五人組で、揃って俺と同年代くらいの美少女さん達だ。こちらもやけに存在感があって、なんだろうアイドルみたいにキラキラして見えさえする。

 っていうか以前にも見たことがある人達だ。それこそ夏休みの時、一度だけ遠目でちらっと見たことがあるね。今は仲間達の近くのテーブルに座っていて、何やら緊張しきりにそれでも愛嬌良く雑談している様子だ。

 

 まさかこんなところでこんなタイミングで会うのか。

 そりゃ関口くんからは来てるから会うことになると思うとかって言われてたけど、予想だにしなかった流れだよ、これは。

 

「────噂をすれば救いの光が一筋の旋風を巻き起こしながら御降臨くださいました。さあみなさんご起立し御方の来訪をお称えください、我らが救世主山形公平様の御降臨です!!」

「救世主様バンザイ! 救世主様バンザイ!! 救世主様バンザイッ!!」

「えぇ……? こ、こんにちはみなさん、ごく普通の人間です」

「気持ちは分かるけど山形くん、すさまじい前提のところからの挨拶をしてきたなあ……」

 

 意を決して近付けば、当然のように始まる伝道師と使徒のアレ。もはやいつも過ぎて周囲も当然のようにしているけど、その場にいる初見の方々には悪目立ちも良いところだろこんなの!

 女の子五人組も目を丸くしてそれでもなぜか立ち上がってるし。止めて座ってて居た堪れないからマジで。

 

 しかしすっかりと宗教色豊かになってしまった空気に、ロナルドさんのツッコミが染みるよほんと。この人マジで常識的な方で安心感の塊だなあ。

 根本的に俺の知り合いの探査者さん、ボケか天然ボケか狂信者しかいない気がする……と、そこはかとなく自分の交友関係におけるボケとツッコミのバランスに目を向けそうになるけどそこはぐっと堪えてさらに近寄る。


 すると件の五人組が、立ち上がったまま俺に笑顔で話しかけてくる。

 いかにもリーダーっぽい、赤く染めた髪色の子が代表して一歩踏み出してきた。俺の眼の前に来る形になるね。

 

「やっと会えた! シャイニング山形さん、お疲れさまです!!」

「アッハイ、お疲れさまです……あの、もしかしてですけど探査者アイドルグループの?」

「ご存知でいてくれたんですね、光栄です! はい、いかにも私達が探査者アイドルユニット"ハミングバード・サーチャーズ"でーす! ほらほらみんな、揃って揃って!」


 やっぱりか。

 などと考える間もなく五人横並んで、俺ばかりか周囲の、大会議室内にいる人達全員に向けてポージングする彼女達五人。

 そう、彼女達こそがこないだの夏、ショッピングモール内でイベントをしようとしてダンジョンに邪魔されていたアイドル達。

 俺と関口くんがそれを踏破し、無事にイベント開催にまで漕ぎ着けられたあのグループ、ハミングバード・サーチャーズ──通称ハミバの人達なのだ。

 

 赤い髪の子がセンターとなり、左右をそれぞれ青い髪の子と、黄色い髪の子が左側。黒髪に銀のメッシュを入れた子とピンク髪の子が右側に並び、各々異なるポージングをしたのだ。

 そして口上つきの自己紹介をしてくる。ここがイベント会場だったのか……!?

 

「燃えて輝くアイドル魂! D級探査者、近江マコト!!」

「クールに靡くアイドル魂! D級探査者、群馬チトセ!」

「いつもニコニコ、アイドル魂! C級探査者、青森カナコ!」

「光を浴びて、アイドル魂! C級探査者、海北アキラ!」

「キュートにギューッと、アイドル魂! D級探査者、宮崎キィラ!」

『みんなの心を一つに合わせて、目指せS級アイドルパーティ! 五人揃って! ハミングバード・サーチャーズッ!!』

 

 次々に流れるように浴びせかけてくる、それぞれ個性的かつ躍動感のあるポーズと名乗りだ。

 堂々たる振る舞いからのそれに込められた気迫は、アイドルとしての矜持を感じさせる立派なものだ五人とも!


 最後には声と動きを合わせた、完全にユニゾンされた構えで揃えてのユニット名の名乗り。

 すごい……! 大会議室がいろんな意味で今、アイドルライブの舞台に思えちゃったんですけど!

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― 新着の感想 ―
まぁ主人公の存在がボケみたいなもんだし、、、性格はツッコミ担当だけどね、うん、本当に、まぁ、、、強く生きて、、、
ご存知でいてくれたんですね、って…… 息を吐くように人助けをして、助けたことも助けた相手もすぐに忘れるストイック救世主と思われてたのか……?
2025/10/10 17:43 こ◯平でーす
ハミバ(ハミングバード)って聞くと、アイドル戦隊ハミングバードの五式戦闘機と“マイクを持った青い鳥”エンブレムを思い出しちゃう(笑) 普通(一般人)の生活がしたい公平にとって、狂信者たちの行動はSA…
感想一覧
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