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教師陣にすらシークレットだったゲスト

 その後もしばらく教室を見て回り、主に俺とアレコレ話していたソフィアさん。

 とはいえ、もうそろそろ10時を迎え外部からのお客さんが立ち入れる頃合いになるということで、控室として用意された部屋に戻られることになった。

 

 そもそも暇つぶしと言ったらアレだけど、本当に興味本位で俺ちゃんに会いに来ただけだもんですごく気軽なムーヴをしてらっしゃるなあ。

 関口くんや梨沙さんともいくらかやりとりもしてたし、この時ばかりはWSO統括理事でない一個人としてのソフィア・チェーホワさんになっていたようにさえ、俺には見えたよ。

 

「それではこのへんで御暇いたしますね、山形様。関口さんも佐山さんも演劇頑張ってくださいませ。私も午後から講演会でひとつ席を設けますので、よろしければそちらもご参加いただけると嬉しいです」

「お疲れ様です、ソフィアさん」

「が、頑張りますっ! ありがとうございます、統括理事!」

「きっと講演にもいかせてもらいます。勉強させてもらいます、チェーホワさん」

 

 社会的には間違いなく雲上の人っていうか、まずもってなんでこんなところにいるんだ感しかない方からの激励に、直立不動で応える関口くんと梨沙さんに分かりみが深い。

 そりゃそーなるよ、普通に。俺も本来、一学生としてはそうなって然るべきなんだろうけど、お互いいろいろややこしい身の上だもんで友人関係としてそこまで緊張もないのでこの二人の反応がどこか新鮮だ。

 

 すっかり教室の外が人集りなのだけれど、それでもソフィアさんが帰られるとなれば海を割るかのごとく道が拓ける。すげー、預言者か何か?

 そのなかを優雅に楚々として、付き添いの教師さんや外で待機していたSPさんをも引き連れて、統括理事はかくして教室を去っていった。

 

 少しの沈黙、後、盛大な深呼吸があちこちで聞こえた。

 糸を寄り集めてぶっとい綱になっていたかのような緊張が、ぶつりと切れた感じだな……さやかちゃん先生筆頭にみんな、なぜか俺の下にまで駆け寄ってきたよ。

 いや本当になぜ?

 

「や、や、山形くん〜……! 統括理事がいらっしゃるなんて聞いてませんよお、知ってたなら教えといてくださいようー……っ!!」

「お、お、お前な山濱……! 心臓に悪すぎるぞさすがに、いきなり目の前に永遠の探査者少女が現れた時の俺の心情も理解してくれよな!」

「公平くん、えっ、知ってたもしかして……? び、びっくり通り越して魂抜け出るかと思っちゃったよ! 前にもチェーホワさんをお見かけしたことはあったけど、あ、あんな長くやり取りするなんて」

「ええっ!? ちょ、ちょっと待って誤解ですけど山形ですけど! 俺も知らなかったんですってソフィアさんがシークレットゲストだなんて!」

 

 怖ぁ……なんてこった俺も知らなかったのに知ってて黙ってた感じになっている!

 いやまあ、彼女がここに来た理由がそもそも俺だろうから、そう思われてもいたし方ないところはあるかもだけれど誤解だ、さすがに!

 

 言っちゃうと東クォーツ高校が、文化祭のシークレットゲストなんてものにわざわざ天下のソフィアさんに打診したのも俺との関係性ありきだろう。

 単なるゴシップネタなど通り越していて、世間的にも俺と彼女がそれなりに親しい間柄なのは割れてるから、そこに望みをかけて話を持っていったんだな、たぶん。

 

 でも誓って言うけど俺も知らなかった、これは知らなかった。精々香苗さん達といっしょに外部訪問者の形で来るのかなくらいに思ってたんだよ。

 ……ああでも、学校からするとそっちのほうが対応に困るのはあったのかもしれない。統括理事が一見物客としてやって来るのが見込まれるなら、混乱を避ける意味合いでも先にこちらからゲスト扱いできないか試してみよう、とか。

 そういう思惑もあるのかもね。だったらなんていうか、先生のみなさんお疲れ様ですって感じだ。

 

「っていうかさやかちゃん先生、知らなかったし聞いてもなかったの? え、シークレットゲストってマジで一部以外の教師にもシークレットなやつ……?」

「た、たぶんそのはずですよう! じゃなかったら私だけ知らなかったなんて、考えたくもないことになっちゃうじゃないですかあ! ……えっ、本当に他の先生も知らなかったですよね? えっ、私だけ除け者なんかじゃないですよね? えっ?」

「えぇ……? お、落ち着いて先生。そんなことないから、絶対そんなことないから」

「そ、そうだよさやかちゃん先生。ほら他の先生も廊下とかで唖然としてるの見たし、うん!」

 

 いかん、あまりの緊張からの緩和でさやかちゃん先生がわけわかんなくなって来たのか、あらぬ疑心暗鬼に駆られだしている!

 これにはたまらずクラスのみんな、関口くんや梨沙さんまで含めてみんなで彼女を慰める宥める。なんだかんだクラスのみんなに好かれているのがこの先生だ、変なことで落ち込んだりされたら堪らないしね。

 

 ああちなみに、マジでさやかちゃん先生以外の教師陣も軒並み知らなかったと思うよ。教室の外、ちらほら先生がいてソフィアさんの姿に目を丸くしたり驚いたりしてたもの。

 つまり彼女の存在、シークレットゲストについては本気で校長クラスしか知らなかったんだろう。


 それはそれで良いのかなあ? と思わなくもないけれど、まあ大人の世界の話だしなんとでもなるんだろう。

 にしても文化祭開始直後からなんともはや、サプライズだったなあ。

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― 新着の感想 ―
これシークレットゲストの打診すごいよな⋯ 窓口ってWSO本部だよね、打診したのは校長なんやろか⋯?
講演って、何をどうしゃべる気なんだろう、ソフィアさん…?
ソフィアさんが『シークレットゲストだとは知らなかった』だけで、来ていることには気づいていましたよね、公平は。 さやか先生だけが知らなかったら、除け者というか、虐めになっちゃうよ(笑) まぁ、パニクって…
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