表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1801/1822

これはシークレットゲストですわ(白目)

 老若男女勢揃いのグループで、すでに駐車場にて待ち構えているらしい仲間のみなさんに俺と梨沙さんは苦笑いするやらなんとやら。

 とにかく10時を迎えたらやって来るだろうし、速攻で出迎えないといけないなーなんてことを話しつつクラスへ戻る。

 

「ていうか、御堂さんとかフランソワさんとかも私達の演劇を見るかもしれないんだよね……? うわ、ヤバ、緊張してきたかも」

「ま、まあそれはその、あると思うけど。大丈夫、緊張せずリラックスリラックス……はは、ははは」

 

 俺の仲間達が何しに来るかったら、言うまでもなく俺の学校の文化祭を見に来るわけで。とりわけ俺のクラスの出し物、演劇"勇者関口物語"も当然見に来るだろうことは想像に難くないわけで。

 梨沙さんからすればそんなの、緊張しないはずがない案件だ。世界的にも名だたる探査者の揃い踏みなんだぞ、いい加減にしろ! ってな話だ。

 

 こればかりはどんなにとりなしても、リラックスとか口で言ってもとてもじゃないけど落ち着かないだろう。

 最悪、演劇前に一発シャイニングするかなあ。気休めくらいにはなるだろうし──と、考えつつも教室近くまで来て俺は、少し前から感じていた違和感について口にした。

 

「……なんだ? 関口くんのほかにオペレータがいる? 教室に?」

「公平くん? ……なんか、教室の前に人が多いね」

「あ、うん。これは、まさか」

 

 1年13組の教室内、本来ならば先に戻っている関口くんの分しか感知しないはずの俺の称号《心いたわり寄り添う光風》の効果、オペレータを察知するソレが二つ、気配を感じ取っていたのだ。

 同時に梨沙さんが異変だと言うほどに、うちの教室の前に人が大勢集まっている。何か、内部を遠巻きに見るようなまとまりぶりだ。


 なんじゃらほい? 実におかしな話だ、この学校には俺と関口くんしかオペレータはいないのに。

 なんで二人、関口くん分裂でもした? それにこの人だかりは?

 

 まさかの関口くんプラナリア説はジョークにしても、あまりに異様な風景だ。人の合間を縫って教室へと近づきつつ、俺は内心にて演算した。この場合に考えられる可能性はいくつかある。

 まずは誰かしら、校内の人間がこのタイミングでステータスに目覚めた場合。これだとすでに探査者の関口くんに相談しに来たってことだろうし、話の流れとしてはおかしくはない。

 そもそもそんな確率何千万分の一だよ? ってのがあるけどね。

 

 次に考えられるのは外部からの来訪者だ。この場合だとさらに細分化され、無害なオペレータかそうでないかに分かれる。

 要は誰かクラスメイトの知り合いが探査者で、いつの間にやら教室にやって来ていたってパターンか、何かしら害意ある能力者が不法侵入しているってパターンか。

 

 で、後者だとしたら今頃教室周辺は大騒ぎのはずなのでそれはなし。となると前者、誰かの知り合いのオペレータが来ているのが現状、確率としては一番高いかな?

 ましてや先ほどのSNSでのメッセージ、今まさにこちらに向かっている仲間達の名がずらりと並ぶなかで一人、決定的な人がいなかったのも加味すれば……おそらくはこれ、その人なんだろうな。

 

 今回の文化祭におけるシークレットゲストがどうのって話、あったもんなあ。この人だったらまさしくシークレットにふさわしいだろうさ、何しろ事実上世界で一番の権力者だし。

 あたりをつけつついよいよ教室へ。なかがうかがえる位置まで来た時点で、肉眼でたしかめることができたために即座に隣の梨沙さんが立ち止まりフリーズした。俺も倣って立ち止まる。

 

 ビンゴだ。

 見れば教室内、関口くんやさやかちゃん先生を前に微笑みとカリスマをもって接している、よく見知った友人がそこにいたのだ。

 

「うふふ……なんだか趣深いですね、日本の学校というものは。ここが山形様の学び舎、そして文化祭ですか」

「は……はいぃ〜。あ、あの、ど、どういった御用向きで、こ、こちらの学校のこちらの教室にまでぇ〜……?」

「ええ、私の大切な友人たる山形公平様にご挨拶をと思い伺いました。他の面々は来客として来るようですが、私だけは文化祭におけるゲストということで先に入らせていただきましたので。ふふ、遅れ馳せながら御機嫌ようみなさま。WSO統括理事、ソフィア・チェーホワと申します」

「お、お疲れ様です統括理事…………っ!!」

「怖ぁ……」

 

 ウェーブがかった金髪を靡かせる、ゴシックロリィタ調のドレスがトレードマークの美少女。高校生である俺達とそう変わらない見た目ながら、その実年齢は100歳をゆうに超える"永遠の探査者少女"。

 そうだね、ソフィアさんだね。完全にビビリ散らかしているさやかちゃん先生と関口くん、はたまた他のクラスメイトや教室の外から眺めている群衆を前に、それらすべてを圧倒するかのようなカリスマ性を発露する佇まいでたおやかに微笑んでいるよ。

 

 やっぱりシークレットゲストってこの人のことだったのかぁ……っていうか今このタイミングで、校内に姿を表して良かったのか? シークレットだろうに?

 困惑しつつもいい加減なかに入る。いつまでも放置していてもみなさんにもソフィアさんにも悪い、明らかに俺への挨拶のために来てるみたいだしね。

 これはまた、悪目立ちしそうだぞう。

「大ダンジョン時代クロニクル」

https://ncode.syosetu.com/n5478jx/

第二部・第二次モンスターハザード前編─北欧戦線1957─

8/1から毎日0時に連載しています!

よろしくお願いしますー


「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史完結しました!

https://ncode.syosetu.com/n5895io/

よろしくお願いいたしますー


 【ご報告】

 攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど

 書籍版、コミカライズ版併せて発売されております!


書籍

 一巻

 amzn.asia/d/iNGRWCT

 二巻

 amzn.asia/d/aL6qh6P


 コミック

 一巻

 amzn.to/3Qeh2tq

 二巻

 amzn.to/4cn6h17

 三巻

 amzn.asia/d/cCfQin2


 Webサイト

 PASH!コミック

 https://comicpash.jp/series/d2669e2447a32

 ニコニコ漫画

 https://sp.seiga.nicovideo.jp/comic/63393

 pixivコミック

 https://comic.pixiv.net/works/9446


 電子版、書籍版、コミカライズともに好評発売中!

 よろしくお願いしますー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ソフィアさんをゲストで呼ぼうと思うこと自体、イカれてる… まあ流石にソフィア側からの打診だろうけど
てっきりヴァールさんは、アンジェさんとランレイさんを運ぶためにスタンバってると思ってました。でもコレ、ハミバ絡みで地方局とか地方新聞社の記者が居たら大騒動になるのでは?
最弱のフードファイターが最強のフードファイターの教室にやってくるとは、なんて身の程知らずな! でも、逆転の発想をすれば、食事量で遠野さんをドン引きさせることができる唯一の存在か!?
2025/09/19 12:33 こ◯平でーす
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ