表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
第三部後日談編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1780/1871

いつの時代も蠢くワルの、後ろにいたのが委員会

 おもむろに明かされる、委員会という組織にまつわるいくつかの極めて重大な事実。総務部だ教務部だと言った内部部署の名称に、それらを管理しているというアスタファノスやホリオスなる一部幹部の名。

 そして何より、過去のモンスターハザードにおいてヴァール達と幾度となく戦ってきた結果として……すでに委員会の戦力は確実に、著しく減損しているということ。


 これにはさしものヴァールも絶句している。自分達が長年争ってきた、追い続けてきた組織が実は着実に追い詰められていたってんだもんな。

 俺達と誓いを結んだ途端、ペラペラとそのへんを軽妙な語り口で喋るようになった調子のいいオジサンアバター・悪魔アドラメレクはなおも笑いながら語っていった。


「まあオジサンも世間話の合間に聞いた程度のことだからねえ。どこまで本当なんだかって感じだけど、少なくともセクションの一つ二つは壊滅してるのはたしかっぽいねえ」

「過去にあそこまでの大騒動を、片手の指では利かん程度に引き起こしているのだ。あり得なくもない話だが、お前がそれをたしかだと判断するに至った根拠は何かあるのか?」

「その壊滅したっていうセクション、庶務部だったかな? のリーダーだったっていうモノともいくらか話したからだねえ。君……ソフィア・チェーホワやらマリアベール・フランソワ、アラン・エルミードにフローラ・ヴィルタネンやらの名前を引き合いに出しては、場末の居酒屋で散々愚痴られたねえ。あいつらどうかしてるってねえ」

「えぇ……?」

「ちなみにそのモノ、今は研究部のホリオスの補佐みたいだねえ。名前は知らんけど、結構気さくでお金払い良かったねえ。夜の帝王を自称して地元のチャンネーに集られて笑い泣きしてたねえ。女は怖いねえ」


 知らんがな。

 心底どうでも良い情報まで開示してくる割に、一緒に酒飲む仲にまでなっといて名前も知らないといういい加減さに頭が痛くなる。

 なんなら夜の帝王でお姉さん方と遊んでるっぽいって下りでうちの精霊知能達が揃って呆れ返ってるのがなんだか怖い。おう、リーベちゃんチラッとこっち見るのやめてもろて。

 

 しかし、そうか。ソフィアさんにマリーさんにエルミードさんにヴィルタネンさん……ものの見事に歴代モンスターハザード解決における立役者、時の英雄達の名前だ。

 庶務部ってのが彼ら彼女らを相手取る部署で、そこの幹部として夜の帝王(自称)さんは暗躍し、そして失敗した。それでセクションごと潰されて、落ち延びた自身は稼働中の研究部に移籍、左遷? と。そういう感じか。


 誰よりもモンスターハザードに詳しい、ヴァールがアドラメレクの供述を受けて考察している。

 

「第四次、第五次、第六次……毎回参戦していたワタシをわざわざ引き合いに出したあたり、第一次もか? 見事に委員会が主導しているハザードだ。おそらくはそれらを引き起こしていたのが庶務部だったということだな」

「ヴァール。その庶務部の幹部とやらに心当たりはあるのか?」

「…………いや、ないな。第一次のアーヴァイン・マルキシアス、第四次のヨアキム・バーンズ、第五次および第六次のラドリー・ウェルトシュタイナー。それぞれの首謀者と言うか実行犯リーダーは揃って人間だった。そもそもこれまでのハザードで概念存在らしいモノどもなど、相手にした記憶もない」

「ってこたァ、裏からそいつらを操ってたのがソイツってェわけか。テメェは表舞台に出ず、好き放題してくれるぜ」

 

 つらつらと、歴代ハザードのなかでも該当する英雄達が打ち倒したんだろう主犯格の名を連ねていく。どうでもいいけど第五次と第六次、同一人物による連続犯行だったんだね怖ぁ……

 ともかくそうした連中もやはり全員人間だったあたり、シャーリヒッタの言うようにそれらを裏で操作していたのが委員会は庶務部セクション、そしてそこを管理統制していた夜の帝王さんなんだろう。

 

 しかして度重なる失敗を受けてセクションは壊滅。夜の帝王さんは今や研究部リーダー・ホリオスとやらの補佐役になったってわけだね。

 こういう流れで言うともう一つ、ハザード由来で潰れたっていうセクション・教務部。こちらもこちらで、庶務部とはまた違った形でモンスターハザードに関与していたんだろう。

 ヴァールに視線で問いかける。彼女もまた、確信はないながらもと前置きしつつ考察を進めた。

 

「庶務部の関わりのなかったハザード、すなわち第二次、第三次、第七次。これらのほうに教務部は関わっていたとも見られるな。能力者解放戦線、反能力者連合、ノインノア・ジェネシス……については、さらにバックに人間側の巨大財閥が関与していたのでどうとも言えんが、たしかに不審な資金の流れがあったのは覚えている」

「あ、ノインノア・ジェネシスは研究部が絡んでたねえ。そこは間違いないねえ、ホリオスが自分から言ってたからねえ」

「では第二次と第三次か。それぞれオーヴァ・ビヨンドと権藤平之助という名の首謀者どもだったが、そちらには教務部が力を貸していたわけだな。ここに来てまさか、今さらやつらのバックを知ることになろうとは……」

 

 とうとう頭を抱えだしちゃった。心配したリーベとシャーリヒッタがヴァールの背中を擦り、頭を撫でて慰め労っている。

 この100年、散々手こずらされたモンスターハザードにマジで軒並み、委員会が絡んでいるんだものな。


 それまでにも知識としてはあったろうけど、改めて過去を振り返ったことで実感が湧いてきたみたいだった。

 可哀想に……アドラメレクですらどこか気の毒そうに眺めてるんだから、WSO統括理事って本当に大変な役回りだよなあ。

「大ダンジョン時代クロニクル」

https://ncode.syosetu.com/n5478jx/

第二部・第二次モンスターハザード前編─北欧戦線1957─

8/1から毎日0時に連載しています!

よろしくお願いしますー


「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史完結しました!

https://ncode.syosetu.com/n5895io/

よろしくお願いいたしますー


 【ご報告】

 攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど

 書籍版、コミカライズ版併せて発売されております!


書籍

 一巻

 amzn.asia/d/iNGRWCT

 二巻

 amzn.asia/d/aL6qh6P


 コミック

 一巻

 amzn.to/3Qeh2tq

 二巻

 amzn.to/4cn6h17

 三巻

 amzn.asia/d/cCfQin2


 Webサイト

 PASH!コミック

 https://comicpash.jp/series/d2669e2447a32

 ニコニコ漫画

 https://sp.seiga.nicovideo.jp/comic/63393

 pixivコミック

 https://comic.pixiv.net/works/9446


 電子版、書籍版、コミカライズともに好評発売中!

 よろしくお願いしますー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ソフィアさんはヴァールと…同化してるぜ! 神奈川さんとステラも…同化してるぜ! 山形はアルマと…同化してるぜ! 山形とアルマは単独でも…どうかしてるぜ!
2025/08/29 12:41 こ◯平でーす
心配めさるなリーベ嬢。 彼はチャンネーと遊ぶ夜形公平となるぐらいなら ソシャゲでウルトラレアに全力を注ぐ ガチャ形公平となって爆死して泣いてる⋯ハズ。
真面目な話が『夜の帝王』というパワーワードひとつでギャグになってしまう不思議·····。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ