アメリカンピザとイタリアンピザ、どっちがお好き?
さてお食事前の話も一旦このへんにして、と言わんばかりにご飯をいただく。さっきも述べたが今回はいろいろパーティーサイズの料理ばかり、さながらビュフェかオードブルってなもんだ。
まずは目についたのでピザとかもらっちゃうよ。チーズがたっぷり、サラミとトマト、ピーマンもドッサリの割とレトロスタイルなやつだ、大好き。
『良いねえ、良いねえ! ピザはなんでも好きだけど個人的にはピーマンが乗っていると特に嬉しいよ、僕は! 独特の青い風味がチーズの濃厚さやトマトのフレッシュな果汁の味わい、サラミの重厚な肉の脂身と絡み合ってさながら四重奏ってやつさ。生地の焼き具合も良いね、アメリカンスタイルって感じで分厚くて良い。食感が楽しめる!』
脳内のアルマさんが食レポを始めているけど、まあ俺としても概ね同感だ。ピザにピーマン乗ってるやつって意外と見かけなくなってきている気がするので何やらありがたい気すらしてくるもの。
ピザの他にもコーンスープはコーンがたっぷりでかつ、濃いめの味付けながら温かくて優しい味わいだ。あとハンバーグも良いお肉使っているのかな、食べた途端に肉汁が舌の上でじんわりとろけてまるで溶けるように味わいを響かせてくれる。
サラダも絶品だ。生野菜の鮮度の良さは言わずもがな、ポテトサラダとか海鮮サラダなどのバリエーションも豊富である。
リーベやシャーリヒッタ、ミュトスにあとオノスケリスもこれには喜んで舌鼓を打っている。そうそう、お肉とか油気だけじゃなくてお野菜もしっかり食べるんだよー。
「はあ、美味しいですー! 思わずうっとりしちゃいそうなくらいの味わい。ここの料理人の人達、前に来た時より格段に現世の料理に手慣れてきてますー?」
「ああ、なんつうか慣れた感じがしてきてるなァ、フライドポテトもいい揚がり方だぜ、塩気もいい具合に効いてるぜ!」
「うひょひょひょ、お酒おいしい~。どこでも果実酒はあるんですねぇ、しかも元いたところよりスッキリしててクドくなくて甘くて何より度数が高い! こりゃカパカパいけますよう」
「分かるんですけど! あんたミュトスだっけ? どこの神話圏の神だか知んないけど、どこだろうと現世のお酒に勝るものはないんですけど!! ……っていうかアッチで美味しかったり有名だったりするお酒って、仕方ないけど大概変な逸話やら効果付きだからおちおち楽しんでもいられないんですけどー」
「怖ぁ……」
なんならすっかり酒飲んでるミュトスとオノスケリスが怖い! 何が怖いってミュトスはともかくオノスケリスだ、中身はもちろん数千歳だけど外面は大分幼気だから、いろいろ法に引っかかってないか不安になるんだよね。
まあ悪魔に現世の法もへったくれもないんだろうけど、外でも酒とか飲んでたらさすがに職質とかされちゃいそうだ。
そのへんどうなんすかね? と同じくワインを飲みつつステーキを食べている織田に問いかける。後で俺も食べよ。
彼はすぐにこちらに気づいたら、よく咀嚼して肉を飲み込んだあとナプキンで丁寧に口元を拭って微笑みかけてきた。やだ、動作が紳士的なイケオジ……
「もちろん、そこな悪魔には我が居城内でのみ飲酒を許しています。それも飲酒した時点でその日一日は外出させませんし、飲酒するにしても量の制限と時間帯も取り決めしています」
「そっか。さすがにそのへんは、往来で酒臭くされても困るものな」
「誤魔化すだけならばどうとでもできますが、そもそも誤魔化しが必要になる行為自体を避けるべきですからね。オノスケリスもそこは理解しているようです」
「悪目立ちしたくないしー? 今やすっかり北欧さんとこに世話になってるけど、立ち位置的には依然として委員会から粛清されかねないわけだしー。おちおち表を一人で出歩くこともできないんですけど! 外出時は大体他の英雄のおっちゃんとか戦乙女のお姉ちゃん達と一緒なんですけど!」
「ああ……オメーそうだよな、普通に委員会からしてみりゃ裏切り者だもんなァ。普通もうちょいビクビクしてる気がすっから、すっかり忘れてたぜ」
シャーリヒッタの物言いに思わず何度もうなずく。そうだよ、あまりに堂々と生活を楽しんでる感全開だから忘れてたけどこいつ、そもそも委員会を裏切る形になってるからここに身を隠してるんだよ。
こっちに情報提供をしてくれた時点で本人曰くだけど、委員会は粛清しにかかるそうな。ずいぶん乱暴な話だけど、悪の組織あるあるではあるよね。
で、それゆえに俺に保護を求めてきた結果、織田に引き渡して今こうして従者まがいの賓客扱いってわけだった。
ものすごい馴染み方してて全然違和感がない。ちょっとは怯えとかしてそうなもんだけどなーってのは俺にも分かる話だよ。
けれどオノスケリスはそんな意見に、むしろ胸を張ってドヤ顔で言うのだった。
「一応でも庇護先を見つけたんだし、それならビクビクしてても仕方ないじゃん? 悪魔オノスケリスちゃんは"今さえ良ければ何でも良い"を標語に現世を謳歌するんですけど!」
「刹那主義ですねー……悪魔らしいと言えば悪魔らしい、んでしょうかー?」
「その主義ゆえに現世に仇なされるのも、困りものなのですけどねえ……」
全力で今をエンジョイする、彼女なりの信念というかスタンス。それ自体は別に悪いことでもない。
ないんだけれど、それでやったことがサークルへの協力だからなあ。直後に自分の保身に走って今ここにいることも併せ、ソフィアさん的には結構複雑な面持ちでいるようだった。
分かるよ……
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一巻
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二巻
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三巻
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