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ついに実現!トップ会談

 開かれた謁見の間、言っても普通のマンションルームに赤い絨毯が敷かれているだけではあるんだけれど、そこには常に漂う緊張感というものがある。

 さもありなん、これから向かう場所に座すモノ……北欧大神オーディン。かの最高神の存在感、魂の格がこれでもかと伝わってくるのだから。空気が引き締まっていないわけもない。

 

 さしものソフィアさんも真剣な表情を浮かべており、これから先に待つのが、あるいはいつも相手にしている政治家さん達以上に手強いだろうことを察している様子。

 ミュトスに至っては顔を青ざめさせているほどだ。これについてはこれはこれで過剰反応じゃ? と思ってひと声かけたけど、返ってきたのはある意味、妥当な理由であった。

 

「ひ、ひえぇ〜……っ。前のところの最高神を思い出させるこの威圧、おっかないったらありゃーしやせん……思えばあの神も、誰かと会う時はやたらめったら威圧を振りまいてましたけど。えっ、もしかしてどこの最高神もこんな感じなんでごぜーますか? 帰っていいですか?」

「えぇ……? いやダメだよ、今回の会談は君も主賓なんだから。それに、そちらの元上司さんはともかくオーディン神については一応の最高神としての振る舞いでしかないからね、この圧は。あまり気にしないでほしい、直に会えば引っ込めると思うし」

「が、合点承知の助〜とほほだよ〜……」

 

 怖ぁ……ブラック企業勤めか何かかな? 元いた魔天世界のところの最高神にずいぶん脅かされていたようで、その時の印象を蘇らせちゃって震えているみたいだ。

 いやまあ、そちらの元上司さんも織田と同じような感じだと思うんだけどね。やっぱり概念存在ってばまず第一に魂の格こそがものを言う世界観だから、誰と面会するにしてもいの一番に自分の存在の力強さをアピールするのは理に適ってるんだよね。

 

 それそのものがヤンキー漫画のメンチの切りあいみたいなムーヴであることからは目を逸らすとしてもだ、織田としても本気でこっちの意気をへし折りたいともへし折れるとも思ってない感じだし。

 どちらかと言えば部下の方々へのポーズですらあるだろうさ。"強くて偉大な最高神"の印象は常に抱かせておかねばならない、上に立つ者って感じの振る舞いだね。

 俺にはとてもじゃないけど真似できないや。感心しながらも居間へと向かう。

 

 俺、リーベ、シャーリヒッタ、ミュトス。そしてソフィアさん。イヴさんは謁見の間に入ることなく入口でお別れだ、また後でお会いすることになるかもだけど、少なくとも織田との話し合いの場にはあまりいてもらっても困るからね。

 この5人で赤い絨毯の導くままに進めば、広々としたリビングに辿り着いた。そしてその奥にある古めかしくも荘厳な意匠の玉座と、そこに座る一体のモノ。

 

 黒髪のオールバックは堅苦しく、今回は質の良さそうなスーツ姿に身を包んだ中年男性。ダンディな感じの細身で、けれど放つ雰囲気はどこか神秘的でかつ、力強い。

 こちらに対して好奇心を宿らせた双眸を向け、しかし気さくに話しかけてくる彼こそがこの場の主だ。一つの神話圏を統括管理する最高神にして、かの領域においては戦いや嵐、裏腹に智慧を司る大神。

 

 北欧神話圏は最高神オーディン。

 現世でのアバター、織田の姿で鎮座しているそのモノは、にやりと笑って俺へと話しかけてきた。

 

「ようこそ我が盟友、山形公平。そしてその仲間の方々よ。北欧神話領域現世支部へよくぞ参られました。心より歓迎いたしますよ、ククク……」

「こんにちは、織田。いやさオーディン神、今日はまたお世話になるよ、よろしく」

「いえいえ、こちらこそご足労いただき感謝に堪えません。ましてや、かねてより熱望していた御仁との会談の場さえ整えてくれたのですからね。せめて精一杯のもてなしを尽くすのがこちらの流儀でしょうとも」

 

 どこか腹に策謀を抱えてそうな胡散臭い笑みを浮かべている織田。まあ、実際にいろいろ画策するところはあるんだろうけどこっちは特に気にすることでもない。

 システム領域に何か仕掛けると、せっかく手にしたいろんなものがご破算になるばかりか自分達さえ危うくなるからね。


 なので何かするにしてもそれはよその概念存在とかに対してであるだろうし、この胡乱な含み笑いなんかは単純に染み付いた性格によるものでしかないと俺はちゃんと理解しているよ。

 なんなら、ソフィアさんも持ち前の眼力でそのへんを直感的に悟っているのかもしれない。先程までよりは緊張を緩めた、友好的な笑みを浮かべて彼に話しかけたのだから。

 

「お初にお目にかかります、概念存在オーディン神。WSO統括理事、ソフィア・チェーホワです。かの高名な最高神にこうして拝謁できること光栄の至り、本日は会談の場を設けてくださり感謝しております。よろしくお願いいたします」

「ええ、よろしくお願いしますソフィア・チェーホワ。私は……いいや私に限らずありとあらゆる概念存在すべてがこの時、この場を待ち望んでいました。おそらくは100年近く前、あなたが現世の表舞台に姿を表した時から、ずっと」

 

 それは、おそらく歴史的な光景だろう。

 WSO統括理事と北欧神話の最高神が、それぞれ現世領域と概念領域を代表する者同士として相対し、名乗り合っている。

 

 ソフィアさんと織田、いやオーディン神。

 二つの偉大な存在が、かくして会談を果たしたのである。

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― 新着の感想 ―
ヤンキーというか、ボス猿の喧嘩(笑) ミュトスが青褪めたのは、前世界(魔天)でのトラウマでしょうか? 末席の水神だったミュトスだから、最高神の威厳(威圧)が怖かったのでしょう。(今は精霊知性なのだか…
>>北欧神話領域現世支部 支部長(本部長?)直々の発言なので、「正式名称並びに発足」が決定しましたね。
ミュトスちゃんが最高神にビビるのは山形くんが国家権力にビビるようなもの。 その国家権力をビビらせるのがソフィア・チェーホワとヴァール。そして、最高神と精霊知能をビビらせられるのがコマンドプロンプト。 …
2025/05/27 06:24 こ◯平でーす
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