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今さらですが、本当はスゴイぞリーベちゃん

 パーティ内の人間模様もいろいろあるんだなー、とあたふたする逢坂さんが宥さんに抱きつき始めたのを薄っすら微笑み目で眺めつつ、けれど俺は庄田さんと真山さんに目を向けた。

 いや、より正確に言えば真山さんの《医療術》をだ。初めて見かける回復系スキルの効果と威力、この目で確認させてもらいたかったのだ。

 

「私の称号リジェネレーターで付与されてる再生能力は機能してるみたいね……ほとんどの傷が薄っすら癒え始めてるわ。さっさと治さないと《医療術》の経験値が稼げないわね、危ない危ない」

「……使用経験を重ねて《医療魔法》にステップアップさせたいのは分かるけどよう。そうあからさまだとまるで実験動物か何かみたいで複雑なんだが」

「馬鹿な独り善がりでイキったアピール繰り返して、挙げ句に怪我したアホなんてこんなもんでしょ? 初戦よ初戦、ダンジョン入っていきなり何やってんのよ、アンタ」

「ぐ、ぐうの音も出ねえ」

 

 かのスキルが進化するのに、使用回数が関係していると先程知ったからか、使用意欲の高い真山さんが辛辣に庄田さんを叱りつける。

 まあ使用するために怪我しろ、みたいになっちゃってるところはあるので彼の気持ちも分かるんだけど、自分本位なムーヴで負った怪我だってのも事実ではある。本人も自覚があるからこそ、無理な反論もできずに頭を掻くばかりのようだ。


 というか、真山さんの言うように庄田さんの怪我、すでに治り始めているな。効果の小さな《再生能力》を、パーティに付与する称号である《リジェネレーター》がしっかり機能している証拠だね。

 元々のスキルの効果なら、もう少し効果が高いんだけどまあ、不特定多数にスキルを付与するってんならこのくらい威力が抑えられていても無理はないか。

 この称号、すごく強いな……長期戦になればなるほど輝く類だろう。これ一つとっても、真山さんの探査者としての価値は非常に高いものになるのが予想できるね。


「ったく。これに懲りたらもうちょいまともなやり方で頑張んなさいよ? 美晴は賢い子なんだから、見せかけだけのカッコつけになんて惹かれないわよ──《医療術》、ヒーリング・アクティベーション!」

「! 真山さんの手から、緑色の波動が」

「魔法系スキルに似たエフェクトですね。あれが《医療魔法》の前身、《医療術》の発動です」

 

 はあ、とため息を一つして真山さんはいよいよスキルを行使する。庄田さんに向けて手を翳し、《医療術》を発動したのだ。

 途端、そこから放たれる緑色の波動。波打つように波紋を広げていくそれは、淡い粒子をも放ち負傷者に流れ込んでいく。

 

 治癒効果のある粒だ……特に傷口に集中して付着し、優しく発光している。庄田さんのほうには大した違和感もないようで、ごく普通に直立不動のまま、目を瞑ってスキルを受け入れるがままだ。

 この光景、香苗さんも言うように魔法スキルの発動時に近い。心象風景を映し出しているわけじゃないけど特定の現象を発現させるってのは、まさしくこのスキルが進化したら《医療魔法》になるのを示しているふうにさえ思える。

 

 とはいえ魔法スキルほど即効性のある効果ではないようで、ここからやんわり3分くらいして、庄田さんの外傷がすべて消え去るのを俺は自前のスマホのストップウォッチで確認した。

 うーん、ここまでかかるとさすがに戦闘中に有効活用するのはあまり現実的じゃないかもなあ。いやまあ、これについては俺の認識がおかしい可能性が高い。


 何しろ比較対象があのリーベだからなあ。これについてはあの子のスキルを知っている人なら誰でも抱きかねない危険な勘違いだろう。

 やんわり小声で、香苗さんのそばに近づいて囁く。

 

「今のが平均的な《医療術》の発動から目的達成までにかかる時間とすると……大きな声では言えませんけど、リーベの《医療光粉》がどれだけ度を超えたスキルなのかよく分かりますね」

「そうですね……正直な話、《医療魔法》でも他の回復系スキルでも《医療光粉》並の速度と威力にはまったく及ばないのが実情でしょう。事実上リーベちゃんしか保持していないゆえのスペシャリティなのかもしれませんが、すさまじいスキルですよ、あれは」

「発動すれば一瞬で大概の傷を癒せますからね。時間をかければ、半世紀以上も損傷し続けた内臓さえも。俺のポエミースキルがいろいろぶっ飛んでるのはもちろんですけど、リーベもリーベで突き抜けてるんだなって再確認した思いです」

 

 ともに語るのはリーベのスキル《医療光粉》だ。

 あれこそはおそらく現世に存在するなかでも唯一無二、本来存在しないがゆえに最高峰のラインさえ超えたまさしくチート級の回復スキルだろうさ。

 

 何しろ本気で放てば、毎秒崩壊していく俺の体でさえ維持し続けてくれたほどだ。さすがに平時にそんな出力使ったら治癒効果が強すぎて逆に良くないことになりかねないけど、やろうと思えばそのくらいのことができてしまう。

 そしてこれは、言うまでもなくオペレータ用スキルにはまずありえない出力なわけ。

 

 今まで身近すぎて当たり前に思っちゃってたけど、精霊知能のスキルも大概ぶっ飛んでるんだよなあ……

 そのことを今さらながら、痛感する思いの俺である。

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― 新着の感想 ―
 最高峰の医療光粉でもカルトの洗脳は治すことは出来なかったと某教授は悲しそうに語ったとかなんとか。
逢坂さんのマスタリースキルについての話の時もサウダーデさんを持ち出すことといい、比較対象がいちいちヤバすぎる。こんな同期や後輩は敬遠されますわ。直近の世代と交流するなら直していかないと。 とりあえず、…
2025/05/13 08:00 こ◯平でーす
まあ、邪悪な思念アルマとの最終決戦で、リーベが公平の身体を維持し続けた《医療光粉》は、『瞬間再生インスタントリジェネレーション』とか『死者蘇生レイズデッド』レベルだよねぇ(笑) システム側のスキルで…
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