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"攻撃(セメ)"は最大の"防御(ウケ)"だからよォ……!

 まずは一体、三木さんが弓矢でスマートに敵を仕留め。

 残る二体のうちもう一体のゴブリンナイトを、駒野さんが油断なく刀にて打ち倒した。

 

 となると残る一体については庄田さんが受け持つ形になる。さっきの彼自身が言っていた役割的には、ここから駒野さんや三木さんがやってくるまでの間、彼はひたすら防御による足止めを行うはずだったんだけど……

 これがまた意外な話で、彼はむしろ積極的に攻撃行動に移行していた。手にした盾を鈍器代わりにして、ゴブリンナイトと腰を据えての殴り合いを展開していたのだ。

 

「ぐぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃー!!」

「っしゃあ! アサルトパリィ・クロスレンジ!!」

 

 遮二無二剣を振るう敵の攻撃を、いくつかは受け止めて弾き返しいくつかは身のこなしで避ける。

 その上で彼は片手に持った盾を器用に持ち替えて、隙をついて殴りかかっていたのだ。技名も叫んでいるけどスキルの宣言はしていない……《盾術》は持ってないのか。

 

 そもそもあの動き、盾を防御だけでなく攻撃にも使用する振る舞いはどことなく師匠の宥さんを思わせる。

 宥さんも元々はガード専門のタンク役だし、影響を色濃く受けているということだろうか? 彼女に目をやると、気づいて俺に説明してくれた。

 

「庄田くんも《盾術》はまだ持っていませんが、私の技術である受け流し技やパリィはいくつか教えました。彼はそれを、アサルトパリィというカウンター気味の技に仕上げようとしているみたいですね」

「宥さんがこの間の探査で見せてくださった技、シールドパリィ・フルムーンでしたか。あれよりは明らかに荒削りですけど、予備動作は同じように見えましたね。味方に受け流すより、弾いてカウンターを入れる方向にアレンジしたってところでしょうか」

「そうですね、おそらく……とはいえ動きは私から見てもぎこちないですし、威力もサブアタッカーをこなせるところにまでは到達していませんが。そこは今後の成長次第だと思います」

 

 師の教えを、オリジナルに伸ばそうとしているのが庄田さんのスタイルか。カウンター重視なのは関口くんを思わせるけど、決定的なスタンスのところで彼とは異なる思想だな。

 関口くんの場合、自らの基本的な役割はスキル《勇者》による仲間のバフとサポートだと認識している。それゆえに最低限身を守るための自衛策として各種カウンターを編み出したんだ。

 

 だけど庄田さんの場合、そもそも敵の防御を引き受ける役割に留まりたくない、もっと前に出て自分も戦いたいというアグレッシブさを感じる。

 もちろん本命の役割たるタンク役というのも忘れてはないと思うけど、元々の性格がアタッカー的なんだろう。盾も鈍器なんだから殴ったってええやろ! 的な勢いを今、まさにアサルトパリィなる技を駆使する彼からは伺えるね。

 

「攻撃は最大の防御って言うもんなァ! 大体、しこたま殴ってんなら殴られる覚悟もしとけってんだよ、モンスター!!」

「ぐっ、ぎゃっ!? ぐぎぎゃっ!?」

「オラオラァ!! 見とけ逢坂、俺の"防御"をよォ!!」

「え? あっ、はい」

「ぷふっ……イキってんのにスルーされてんのオモロ……」

「えぇ……?」

 

 俺の推測を裏付けるように、闘争心旺盛な言動を繰り返しつつゴブリンナイトの攻撃を弾き、そこからのカウンターを入れていく庄田さん。

 地味にカウンターの精度すごいな、いくらか傷を負ってはいるもののほとんど一方的に攻め立てている。モンスターが弱めなのを考慮しても良い反応力と速度、そして戦闘センスだ。

 

 それは良いんだけど、もはや隠すことなんてありませんと言わんばかりに逢坂さんに見てくれアピールするんだけど、ド天然な逢坂さんがまったく気にもしてないのがなかなかアレだね。

 これにはたまらず真山さんが吹き出し、肩を震わせて小声で呟いている。怖ぁ……案外仲悪くないかなこのパーティ? いや庄田さん絡みがちょっと揉めてるだけかな。


 まあ、こういうのも青春だろうし。俺知ってるよ漫画とかラノベとかで見るやつだし。そのうちなんか河原で殴り合いとかして前よりさらに絆が深まったりしたりしなかったりするんだろう。

 そこは俺の預かり知るところではないのでさておいて、順調にゴブリンナイトを追い詰める庄田さんは、いよいよトドメの一撃を放つところだった。

 

「終わりだゴブリンっ!! オラァ────!!」

「ぐぎゃぎゃああああああっ!?」

「っしゃあ! はぁ、はぁ、勝った、勝ったぜ俺はぁ!!」


 かなりの猛攻、しかも攻撃を受けつつだから多少息を切らしつつも、総合的に見れば余裕の勝利。

 うん。全体的に見てこのパーティ、アタッカーはみんなE級って括りだと練度高めだな。支援と回復役もきっちりいるから、戦闘前後の準備もきっちり整えられそうだし。


 人間模様でいくらか、爆弾を抱えてそうな気はするけどそこは考えても仕方ないところだし。客観的に見た時、今のところはみんなしっかりしたパーティだと言えると思う。

 さすがは宥さんの弟子達って感じだね。

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― 新着の感想 ―
ゲーム内ならともかく、紙装甲低筋力の魔法使い職がナイフ1本で突撃するような(ロードス島戦記)“性格”は問題ありだと思う。 盾職は全体の状況を把握して、敵のヘイト管理をできないといけないのに、好きな娘に…
関口くんやおかし三人娘もこれ(庄田さんの色ボケ具合)を見せられたのか……
2025/05/11 08:26 こ◯平でーす
余裕かもしれないけど、どこか泥臭くてスマートではないんだよなぁ
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