表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1648/1824

ポテトを一本ずつ食べる人と複数本まとめて食べる人の溝は深い……

 楽しかった打ち上げからも一日が経ち、今は月曜の放課後。東クォーツ高校1年13組は相変わらず、差し迫った文化祭に向けての準備をしたりしている。

 と言って今日は俺ちゃん、そちらには参加せずにクラスメイトのいつもの友人達と街に繰り出してるんですけどね。どうも山形公平です。

 

「準備も粗方終わったし、俺らもあんまやることねーもんなー」

「だねー」

 

 駅前のファストフード店でハンバーガーセットを食べながら雑談する、俺を含めたいつもの六人。

 梨沙さん、松田くん、片岡くんに木下さんに遠野さん。入学して早々に仲良しになった彼ら彼女らとこうして過ごすのも、探査業方面でのあれこれが片付いてからだとなんだかウキウキしちゃうね。

 

 さておき松田くんが言うように、今日っていうか今週以降俺達ってば文化祭の準備についてはそこそこに終えて、割合通常の放課後に戻り始めていたりする。

 演劇用の小道具やらもシナリオも作り終えたし、梨沙さんや関口くんはじめとした役者陣の仕上がりも上々。となると、もう根を詰める必要もないから後は安らかに当日を待とうって感じになったのだ。


「にしても梨沙、演技めっちゃ良いよねー。関口くんは元からガチ芸能人みたいなもんだし役者だって似合ってたけど、こっちもさすがだわ」

「え? そんなことないって、普通普通。ってか関口くんがうまいこと演ってたから釣られて上手に見えてたかもじゃない?」

「関口くんはたしかにすごいよな……だけど佐山さんの魔法使いも良いと思うぞ俺。何より詠唱が良い、アレをきっちり読み上げるのはすごいことだ」

「そ、そうなんだ……?」

 

 フライドポテトをみんなでシェアしながらも、木下さんが楽しげに梨沙さんを見て笑った。

 演劇"勇者関口物語"における魔法使い役である彼女の演技が、演劇部さながらの見事なものだったことを受けてのものだ。


 たしかに、小道具を作りながら横目に見てる限りでも彼女の演技はかなり上手なもののように思えた。

 関口くんは言うに及ばず、多芸多才ぶりを発揮して俳優か何か? ってくらい迫真の演技だったんだけど梨沙さんも相当良い演技をしていたよ。

 

 なんなら片岡くんも同意しているけど、若干ピントがズレているというか、演劇内でスキルを使う際になぜか前口上としてある詠唱的な何かをきっちり口にしている姿勢を評価しているみたいだね。

 梨沙さんにはピンときてないみたいだけど正直、俺には分かるよ……詠唱という中二イズム全開の文脈に全力で、衒いもなくぶつかりに行ける梨沙さんはかつて中二だった者からすると眩しく見える。


 アレを野郎がやれって言われたら、大概の人が過去の古傷に悶えるか苦笑いするかだと思う。もしくは現在進行系でやらかすか。

 そもそも現実の魔法系スキルに前口上なんて必要ないんだけど、そこはそれ演劇ゆえの見栄とかなんだろう……そんな見栄を全力で演じ切ろうという梨沙さんは、経験の有無など問わずにこと"勇者関口物語"に限っては立派な役者さんなんじゃないかなと俺は思うわけだ。

 

「梨沙、すごく魔法使いって感じだったよ! 実際の探査者さんかどうかはともかく、魔王と戦う勇者の仲間って感じはしたから自信持って!」

「あ、ありがと……なんか照れるじゃん、もうー。こ、公平くん的にはどうだった? たまに指導してくれてるけど、変じゃないかな私の魔法使い」

「指導って。たまに聞かれて一言二言答えてるだけだよ? まあそれはそれとして俺も、梨沙さんは素敵な女優さんだなって思うけど」

「そ、そう!? そうなんだ、へへ、えへへ」

 

 遠野さんに続いて俺も彼女を讃えれば、梨沙さんは照れて笑って、それを隠すようにポテトを食べ始めている。俺も貰おう、塩気がうまい!

 ……二学期が始まってからこっち、俺は俺で首都圏の事件のことで忙しかったけど。梨沙さんや関口くんはじめクラスのみんなも文化祭の用意でしっかり忙しくて大変だったんだよね。

 

 それを乗り越えて今、きっちり準備万端に仕上げたクラスのみんなは本当に立派だ。梨沙さんだけじゃなくこの場にいるみんなも、教室のみんなも全員が一丸となって頑張った結果だね。

 文化祭まであと10日ほど。その間も細かい調整とかはあるだろうけど、後は野となれ山となれだ。特に役者さん達には、悔いのない演技をしてもらえるように祈るばかりだよ。

 

「よーし! じゃあよう、今日はしっかり食って文化祭に向けての英気ってやつを養おうぜ! 俺さ腹減ってんだ、ハンバーガー追加で頼んじゃうぜ!」

「あ、じゃあ私も! えーっとチーズバーガー2つにテリヤキバーガー2つ、期間限定のバーガーは3つとあとチキンナゲット一番多いやつ!」

「真知子!?」

「あんた本当に体壊すよ!?」

「えぇ……?」

 

 グループの仕切り役、松田くんが締めくくって立ち上がり、カウンターで追加注文しようとしているところに便乗して遠野さんまで立ち上がった。

 追加でしていい量っていうか、そもそも一食分で頼んでいい量じゃないボリュームでアレコレ言い出して、堪らず梨沙さんと木下さんが止めに入った。時刻は16時頃、今このタイミングでそんな量食ったら俺ならまず夕飯食えなくなるやつだコレ!



『さすがだ! さすがだよ遠野真知子、君は期待を裏切ることはない! 公平、お前も彼女を見習え! 何をハムスターみたいにもそもそとポテト一本ずつ食ってるんだ、良いから貪れ追加で各バーガー全種注文しろ!!』

 

 

 するか馬鹿野郎! 誰がジャンガリアン山形くんだはっ倒すぞ!!

 脳内のアルマがすっかり"推し"になった遠野さんに感銘を受けてはしゃぎだすのを一喝。こいつホント、遠野さんリスペクトしすぎじゃなかろうか?

 怖ぁ……

【宣伝】

コミカライズ版スキルがポエミー3巻、5/2に発売予定です!

最終巻となりますのでぜひともよろしくお願いしますー!


「大ダンジョン時代クロニクル」第一次モンスターハザード編完結!

https://ncode.syosetu.com/n5478jx/

第二次モンスターハザード編はお盆頃にスタート予定です!

よろしくお願いしますー


「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史完結しました!

https://ncode.syosetu.com/n5895io/

よろしくお願いいたしますー


 【ご報告】

 攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど

 書籍版、コミカライズ版併せて発売されております!


書籍

 一巻

 amzn.asia/d/iNGRWCT

 二巻

 amzn.asia/d/aL6qh6P


 コミック

 一巻

 amzn.to/3Qeh2tq

 二巻

 amzn.to/4cn6h17


 Webサイト

 PASH!コミック

 https://comicpash.jp/series/d2669e2447a32

 ニコニコ漫画

 https://sp.seiga.nicovideo.jp/comic/63393

 pixivコミック

 https://comic.pixiv.net/works/9446


 電子版、書籍版、コミカライズともに好評発売中!

 よろしくお願いしますー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
もういっそアルマに某大食い番組を見せてから義体をあげれば安心安全な気がする、グルメライターとか覆面調査員とか大食い選手権とかしながら過ごしそう。
ジャガリアン山形(笑) 公平「必殺、ハムスター食法!」 遠野「うわばみ食法!」… アルマ『さすがは遠野真知子。公平が彼女並に食べてくれたら…。』 公平「俺の胃は人並みにしかないの!まあ、遠野さん並に食…
お前の物は俺の食べ物、俺の物も俺の食べ物なジャイアルマン…… スキル前の詠唱も神奈川さんがやれば様になる…さすが歳を取らない中卒(?)
2025/04/28 08:49 こ◯平でーす
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ