そのうち三代目や四代目も日本に来るんじゃないかな(適当)
元の席からこちらに移動してきたロナルドさんとサウダーデさんを皮切りに、見れば結構な人があちこち席を移動して思い思いの人と交流し始めている。
特に呑兵衛グループの人達とうちの家族だね。父ちゃんはサン・スーンさんとマリーさんを交えてその場に留まっているものの、母ちゃんと優子ちゃんもなんかエリスさんやリンちゃんのグループに混じってアレコレ話している。
かと思えば葵さんは隣のアンジェさんグループにスライドしてさっき言ってた、みんなでダンジョン探査しようぜーって話をしてるし、なんならこっちに来ようとしてた神奈川さんまで彼女に呼び込まれて話を聞いている。
他方、シャルロットさんもその場を離れてダンジョン聖教はウィリアムズさんとオールストレムさんの元まで来てるし。やっぱり自分とこの組織の方と一緒だと心安らぐのかもね、分かるー。
「シャルロット様! わざわざ御足労いただかずとも我々のほうから伺いましたものを」
「構いません、今は無礼講というものです。騎士団長オールストレム、そして騎士ウィリアムズ。此度の件では私の個人的都合から、あなた達にも大変な苦労をかけてしまいました。ここに、謹んでお詫びします」
「何をそのような畏れ多い! ……むしろ七代目様のご事情に一切気づくことなく、こちらこそ勝手な真似をしておりました。この罪は聖都に戻り次第償いを開始しますが、さておき、今のこの場を借りて謝罪したく存じます」
「謝罪を受け入れます──今後、私も聖女として行った様々な失態の責任を取ることとなりましょう。お互いに贖罪は茨の道となりますが、粛々と行って参りましょう」
「かしこまりましたっ!」
聖女然、というにはちょっと厳粛な気もするシャルロットさんに、二人が跪いて頭を垂れる。怖ぁ……騎士ムーヴガチ勢初めて見た。
さておきシャルロットさんも聖女として、日本でいろいろやらかしてしまってはいるのでその落とし前をつけていかなきゃいけないみたいだ。事情に拠らず相当な暴走ぶりを見せていたから、正直なところそこは仕方ないところではある。
ただ、それはそれとしてシャルロットさんの状況がそうするしかないほどに凄惨なものだったことは間違いないんだ。
今にも尽きそうな命を、せめて復讐とダンジョン聖教のために使い尽くそうと足掻いていた彼女の覚悟と決意は、安易に否定して良いものでは絶対にないと思う。
幸いにして今では肉体面での損傷は治療されて、人並みと変わらない健康体になったものの……
心に受けた傷も依然そのままだろうし、これ以上彼女に負担がかかるようなことにはなってほしくないってのが俺の本音だ。
「ダンジョン聖教、穏便な形に収まると良いなあ」
「うん? ああ、そこはどうしても気になるな公平殿……しかし今回の事件においては功績もたしかにあるのだ。そう悪いことにはなるまい」
「サウダーデさん。そうですね。そうなってほしいです……あ、どうぞ一献」
「おお、これはこれは。公平殿もドリンクのおかわりを頼むと良い、改めて乾杯といこう」
静かに祈る俺のつぶやきに、隣りに座ったサウダーデさんが応えてくれた。手にはお猪口と徳利、せっかくなのでと一献お酌をさせてもらえば、彼は俺にもドリンクの注文を促してきた。
最初の乾杯時は席が離れていたからね。改めてということなら俺としても嬉しい話だ。
ちなみに俺は今回、ひたすらコーラを頼んでは飲んでいる。シャーリヒッタもコーラでリーベとミュトスはオレンジジュース、ヴァールは酒──ウイスキーとかキツめのものをチョイスしてるね。
前回の、倶楽部案件の時の打ち上げでも似たような感じだった。基本的に俺ちゃん炭酸系が好きだからねーってことでまたコーラを頼む。
さすが貸切なだけあって、結構な数の店員さんがいてくださって、どんなタイミングの注文にも迅速に応じてくれる。
すぐに代わりのコーラが来て、俺はグラスを受け取った。それを見て、サウダーデさんも話し込んでいるロナルドさんと神谷さんに話しかけていた。
「太平洋にお住まいの四代目聖女、フローラさんも気にしてたなあ。神谷さんのほうにも連絡が来てたりしました? もしかして」
「ええ、決戦を終えたその日の夜に連絡が来ましたね。なんならマルティナからも。ずいぶんと心配させてしまっていたようで、そこも反省点です」
「……失礼、二人とも。改めて公平殿を交えて乾杯といこう。偉大なる先達と、ともに一つのダンジョンに向かう同志と、そして最も新しく誰より強く優しい後輩と杯を交わす、今宵は俺にとって素晴らしい宴の夜だ」
神谷さんとも旧知なんだろう、ロナルドさんが太平洋にお住まいらしい四代目聖女さんとのことについて話していらっしゃる。
フローラ・ヴィルタネンさんだったか。たしか第六次モンスターハザードの時に活躍された方だって依然、織田から聞かされたな。今は太平洋にいるとも。
さておきサウダーデさんの呼びかけに二人はうなずき、それぞれビールと焼酎の入ったグラスを掲げた。サウダーデさんもだ。
もちろん俺もコーラ入りグラスを掲げる。新入りの俺が交わすにしてはあまりに場違いというか大御所しかいないんだけど、誘っていただいたからね。ありがたく頂戴しよう。
「それじゃあどうもお疲れ様です、改めまして。乾杯ー」
「乾杯!」
ゆるーい俺ちゃんの音頭にも、しっかり応じてグラスを合わせてくれる御三方。
なんか良いなあ、こういうの。結構宴の楽しみってやつを、身に沁みて理解しつつも俺はまたコーラに口つけるのだった。
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