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野菜が美味しい店は大体当たりだと思う(主観)

 どういうやり取りなんだと呆れてしまいそうにさえなる、酔っ払い達のやり取りはそこそこに箸を進める。

 健康をそこまで意識しているわけじゃないけどベジファーストってことでまずはサラダからだ。


 新鮮な生野菜サラダに和風ドレッシングがかかっている。レタスを一口頬張ると瑞々しい緑の風味と醤油ベースの程よい味気、何より噛めば響く快音が脳内に心地よさをもたらしてくれる。

 うーむ、フレッシュ! 個人的見解として、どこであれ野菜が新鮮なお店はクオリティが高いように思うのでこれは他の料理にも期待大だぞう。

 

 

『ふふん? 公平も多少は美食の心得を備えてきたかな、そうとも鮮度は大事だ! 肉でも魚でも、調理するにしたって新鮮さは命だからねえ刺身みたいな生食だとなおのことだよ。ちなみに野菜の場合、僕は歯ごたえはもちろんのこと、水分を豊富に含んでいるのがわかるほどに肉厚なほうが好きだね』

 

 

 と、脳内で講釈を垂れるアルマさんもこれにはご満悦の模様だ。美味しいものを食べて美味しいと言えるのは良いことだから、そのまま好きに喋らせておこう。


 ひとしきり野菜を、レタスからオニオンからキュロットからトマト、パセリに至るまでもしゃもしゃ食べるインセクター俺ちゃん。

 咀嚼しながらも精霊知能達ともこれ美味しいねー、ねー。などとほんわかやりとりしていると、何やら向かいの席、ちょうどさっきの酔っ払いグループのすぐ隣に座るエリスさん達の声が聞こえてきた。

 なんとなし、そちらにも耳を傾ける。

 

「ハッハッハー……んんっ、美味しい……唐揚げ良い油使ってるねえ……この、サクサク感と香ばしさがもう、堪らない……お鍋もよく味噌に出汁が効いてコクが出てるよ……あーこれ、焼酎に合うなあ」

「エリスさん……不思議。毎回してるんです、か? 食事の度、独り言」

「はっはっはー! なんか話聞いてると半世紀以上も前からの癖だそうですし、今さら抜けないそうですよ? 裏社会ですら人目を避けてぼっちやってたんですし、仕方ないっちゃ仕方ないですねえ」


 相変わらず食事になるとのめり込むというか、ぼそぼそと独り言でのレビューを始める癖は健在らしい。唐揚げを食べてはつぶやき、お鍋をつついては囁きするエリスさん。

 不老体質として長年、孤独に世界を放浪してきた彼女の来歴ゆえについた習慣のようなもの、らしい。


 おそらくは精神的な孤独感を紛らわせるためのものだったんだろう。それを思うと痛ましい気持ちになる……弟子の葵さんも慈しみの表情とともに、師であり親友である彼女を慮りつつリンちゃんに説明する。

 幼くも優しい星界拳少女はそうした機微を当然、敏感に察したんだろう。努めて普通に、なんでもないようにしながらもうなずき応えた。


「ふーん……料理が美味しい、それ事実。せっかくの機会だし食べまくる! 葵さんも!」

「はっはっはーもちろんですとも! 師匠ばかりに任せてたらこの人、まるまるおなかのプクプクエリスちゃんになっちゃいますからねーはっはっはー!」

「まるまる? プクプク……」

「ハッハッハーしばくぞ。フェイリンさん、この子の言うことは気にしないでさーさー食べよう! 君のことはちょっぴり気になってたんだ、ランレイさんもだけど、あのラウエンさんの一族の末裔だからねえ」

 

 軽口を叩く弟子に笑いながらも、しかしエリスさんはリンちゃんに興味があるらしい。

 無理もない話だ。どうもソフィアさんやヴァール同様、彼女もシェン一族と浅からぬ縁があるみたいだしなあ。

 

 ええとたしか、シェン・ラウエンさんだったか。エリスさんが主導的活躍を見せたという第二次モンスターハザードにおいて、ともにパーティを組んで戦った仲だったとか。

 ということはソフィアさんやヴァールも言わずもがな仲間だったってことだし、もっと言えばこの二人の場合は星界拳始祖のシェン・カーンさんと盟約を交わした張本人だ。

 

 こうして考えると、昔から星界拳は歴史の至る所で活躍してたんだなーって感心するよ。

 そんな古い先達の話はリンちゃんとしても興味津々のようで、強い反応を示しながらもエリスさんに向き直っていた。

 

「はい! 偉大なる二代目里長、ラウエン様がかつてともに肩を並べ戦ったエリスさんとお話できること、とても光栄です! ぜひともラウエン様について、いろいろお話を聞きたいです!」

「ハッハッハー、まあ……そんなに長い付き合いでもないからあんまり話せることも多くないから、そこはごめんね? 何しろ第二次モンスターハザードの時に北ヨーロッパ周辺を巡っていた旅の終盤あたりでやって来た助っ人さんだったからさ、あの人」

「シェン一族の歴史書にもその頃の記述、あります。始祖カーンに続き二代目ラウエン様も若い頃、ソフィア様ヴァール様に協力してモンスターハザードに立ち向かったと。そしてその時にともにパーティを組んだ仲間達がいて、ラウエン様は終生それを誇りに思っていた、とも!」

「一族の歴史書なんてあるんですねえ、はっはっはー! エリスさんについても描かれてるかもしれません。もしかしたらダンジョン聖教にとっても重要な書物かもしれませんねーそれ」

 

 シェン一族側にも一応、モンスターハザードにまつわる記録は残っているみたいだ。

 それを聞いて葵さんが酒をチビリと呑みながら、からかうようにダンジョン聖教について言ったりもするけど実際、その可能性は高いような気もする。


 ラウエンさんが参加されたモンスターハザードについての書物ってことは、つまりは初代聖女であるエリスさんについてのことが描かれているかもしれないってことで。

 ダンジョン聖教にとってもかなり重要なものであるかもしれないってこと、なのかな?

 シャルロットさんや神谷さんはじめエリスさんを信奉するダンジョン聖教からしてみれば、さぞかし貴重だろうからね。

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― 新着の感想 ―
いつか「ダンジョン聖教の聖女3人(エリスさん・神谷さん・シャルロットさん)が星界拳の里を訪れて、ラウエンさんの手記を探す」みたいなエピソードも読みたくなってきた…。
今回のモンスターハザードも聖教の歴史書に書かれるのかな? 原因が『“犯罪組織のリーダーの娘”が、教団にスカウトされて“聖女”になり、教団内部で“犯罪組織の構成員を集めていた”』って、不祥事とか黒歴史で…
ロナルドさんのお婆ちゃんも出てくるぞー! でも、ヒストリアだとあまり良いとこないからクロニクルを待たないと…… このままだと、師匠に割ってないウィスキーのボトルをイッキ飲みさせようとした危ない人に………
2025/04/19 09:21 こ◯平でーす
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