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ふーん、年相応のドヤ顔もいいじゃん

 少ししてから、今度こそ私服に着替えたうちの家族達がリビングに現れた。特に派手すぎるわけでもない、落ち着いた感じの色合いとファッションだ。

 これで準備も整ったかな? まあ忘れ物があるならそれこそ俺なり精霊知能なり、空間転移持ちがいっちょワームホールを開いて取りに行けば良いだけの話だ。そのへんはお任せあれだね。

 

「というわけで用意は良いかな? ワームホール開けるけどー」

「そ、そういえば公平のそういう、スキル的な力を実際に見るの初めてかも……やだわなんか緊張してきた」

「しかもここから関東のホテルまでを一瞬で行き来するんでしょ? え、それって通り抜けてる間に手が滑ったりしたら大変なことになるやつとかじゃない?」

「公平! しっかりやれよ公平! うっかりするなよ公平!!」

「するかそんなうっかり! ちゃんとやるに決まってるだろ、これでも空間転移にかけては本家本元だぞ!」

 

 謂われない……とまでは言い切れないのが普段の俺ちゃんのちゃらんぽらんぷりのツケというべきだろうか? とにかく俺にやたら釘を刺す家族に負けじと反論する。

 ワームホールを潜ってる間に閉じたらギロチンみたいになるんじゃないか、なんてどういう思考してるんだうちの妹ちゃんは。

 

 ここはぜひとも俺の力というか権能を御覧いただき、納得してもらうべきだろう。コマンドプロンプトという存在、そのものの持つ因果の力は伊達ではないのだ。

 コホン、と咳払いをひとつ。リビングの一箇所にみんなを集めてスペースを空けて、何も無い場所へと手をかざして俺は権能を行使した。

 

「開けワームホール!」

「これで何も起きなかったら逆におもしろ──あ、なんか出た!?」

「な、なんもないところに穴が、虫食い穴みたいにポッカリと!」

「こ、公平がしてるの、これ!?」

「ふっふっふ、いかにも」

 

 途端にワームホールが開けば、舐めてるとまではいかないものの実感の湧いてない様子だった父ちゃん母ちゃん優子ちゃんの驚きに染まった顔と声を堪能することができた。

 ドヤァ……そうでございますこれがワタクシめの権能、空間転移でございます。それも精霊知能達の扱うワームホールと比べても格段に高クオリティの、ぶっちゃけ今俺に作れる最高品質のワームホールに仕上げてみた。

 

 ワームホールに品質もへったくれもあるかよって感じなんだけどあるんだなー、これが。

 展開速度とか維持時間とか座標の精度確度はもちろんのこと、潜った時に五感に与える感覚の心地よさとか違和感の無さとか、細かいところで結構、使い手による差異はあるのだ。

 

 そんでもって今の俺ちゃんの作ったやつの出来栄えは、精霊知能達にとっても驚嘆に値するレベルのものだったみたいだ。

 リーベやシャーリヒッタ、ミュトスが息を呑んで今しがたの空間転移を評していた。

 

「す、すごい速度ですごい精密さのワームホールを拵えましたねー……これはリーベちゃん達精霊知能では作れないですよー」

「オレが知る限りではアフツストのやつが一番空間転移技術が高ェはずだけどよ。父様はさすがだぜ、見たことねェレベルで仕上げて来られた! ミュトスよう、オメーさんはどう見る?」

「い、いやーミュトスちゃんてば空間転移は使えないもんですから、タハー! ですけど、今しがた垣間見えた権能の強さと深さは……三界機構のみなさんが頭のなかでびっくりしているくらい、とてつもないものだとは分かります」

 

 ちょっと大人気ないくらい、ガチでワームホール組んだからね。さすがにミュトスの中の三界機構達にも驚かれるくらいとは思ってなかったけど、へへへ、それが却って俺ちゃんの腕前を物語ってくれてるね。ドヤ顔で鼻の頭とか擦っちゃう。

 さておき、できあがったワームホールを見る。ぽっかり空いた空間の向こうには、決戦の時にも空間転移先に使用したホテル前の簡易テントの中が見える。


 つまりここを潜れば即座に首都圏は高級ホテルの敷地内ってことになるね。リニアモーターカーもびっくりの瞬間移動だ。

 さっきも言ったけど、丁寧に拵えたからあと一時間でも維持できるけどそこまで待つ理由もない。なのでさっさとワームホールを抜けるよう、俺は家族を促す。

 

「ほら、入った入った。ここを抜ければそこは首都圏だよー」

「あ、ああ……お前、本当になんだかすごいヤツなんだなあ」

「ビックリするわ……まあ、変にドヤってるところはやっぱり公平だけど」

「せっかくすごいのにドヤ顔晒したらダサいよ? そこは澄まし顔じゃないと、兄ちゃんが好きなゲームの主人公みたいに」

「ひどい。ていうか心のなかでちょっぴりドヤってたのが表に出てた!?」

「そこで動揺しちゃうところが語るに落ちてますねー」

 

 たまにはすごいとこ見せてドヤったろ! と、心の14歳の声に従ったのがいけなかった。優子ちゃんに盛大にからかわれてしまい、我に返った心地でつい顔が赤くなる。

 結局、俺はコマンドプロンプトでありつつも山形公平なんだよなあ。なかなかカッコよくドヤ顔はできんわ。

 

 なんだか肩透かしじゃないけど、脱力しつつもみんなをワームホールへ促す。何はともあれ、さあ打ち上げだ。

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― 新着の感想 ―
公平の両親は、一度ワームホールによる空間移動を経験しているはずだよねぇ(笑) あの時、ワームホールを作ったのは、“かわいいかわいい”リーベちゃんだったかと…。 まあ、妹は…、公平のシリアスなところは見…
 閃いた!外出中に急に催した時に浄化槽とお尻を直接つなげば!
靴どうしたんだろ
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